【海外ドラマ入門】7年連続視聴率ナンバー1の『NCIS ~ネイビー犯罪捜査班』が生み出す中毒性

警察やFBIを舞台にして犯罪捜査がストーリーのメインになっているドラマはいくつもありますが、『NCIS ネイビー犯罪捜査班』は少し違った魅力を放つ作品です。難解な事件を解決していくスリルを味わえるストーリー展開はもちろん、個性的なキャラクターも魅力の一つになっています。15シーズン目を迎えた今でも、全米で高視聴率をマークし続ける『NCIS』についてご紹介しましょう。

◆「海軍」にまつわる犯罪捜査ドラマ

『NCIS』は2003年に米CBSで放送が始まった、サスペンスとアクション満載のドラマ。もともとCBSで放送されていたJAG(アメリカ軍犯罪捜査本部)の捜査官たちが活躍する姿を描いた『犯罪捜査官ネイビーファイル』というドラマがあり、そのシーズン8で本作のパイロット版が制作されました。その後、ワシントンDCを舞台とする『NCIS』がスピンオフ作品として本格的にスタートすると、7年連続で全米視聴率ナンバー1を獲得、現在シーズン15が放送されているほどの人気シリーズとなり、さらには『NCIS:LA ~極秘潜入捜査班』『NCIS:ニューオーリンズ』というスピンオフ作品を生むこととなりました。

NCISとは「Naval Criminal Investigative Service(海軍犯罪捜査局)」の略であり、本作は主に海軍にまつわる犯罪を捜査するスペシャリストの活躍を描いています。殺人事件をはじめとした難事件の解決にあたり、時には暗殺事件やテロリストを相手にする事件がメインストーリーになっているエピソードもあります。

◆国際色、個性豊かなチームメンバーたち

NCISのメンバーを率いるチームリーダーは海兵隊の凄腕スナイパーだったリロイ・ジェスロ・ギブス。ティムと呼ばれるティモシー・ファラガット・マクギーは、ノーフォーク地区担当の常駐捜査官としてシーズン1途中から登場し、シーズン2でメンバーに加わりました。アビゲイル・シュートは他の研究機関から引き抜きの話が何度も出るほどの才能あふれる科学捜査分析官。検視官であるダッキーことドナルド・マラードはイギリス出身。ほかにも殺人課の刑事からNCISの捜査官に転身したアンソニー・ディノッゾや、シークレットサービス出身のケイトリン・トッド、イスラエル諜報特務庁(モサド)から出向してきたのちに正式にNCIS局員となったジヴァ・ダヴィードなど、多彩なキャラクターが集まっています。

かつて海兵隊の凄腕スナイパーだったギブスは、責任感が強く常に沈着冷静。ティムはマサチューセッツ工科大学卒でコンピューターに長け、暗号解読やハッキングに秀でているという根っからのオタクキャラに見えて、実はボーイスカウト経験があるなどアウトドア知識も豊富。アビーは、ゴスファッションというインパクトのある風貌や、棺で寝ているなどキャラクターの濃い人物ですが、誰よりも仲間とチームを愛しています。ダッキーはイギリス人ならではのブラックユーモアや博識ゆえのうんちくで煙たがられることもあるものの、検視官として経験豊富。遺体を人間として扱い、話しかけながら向き合うというスタイルが特徴です。このように『NCIS』はメンバーそれぞれが個性的な魅力を放っており、ギブスに率いられたチームが様々な犯罪に立ち向かっていく過程が見どころです。

◆主人公の人間像や背景も注目ポイント

さらには、ギブスの謎や人間像が次第に明らかになっていくところも面白さの一つ。ギブスはもともと自分のことをほとんどしゃべらないキャラクターですが、スナイパーとして凄腕で卓越したリーダーシップを発揮している彼も、人間として完璧なわけではありません。使いにくいという理由で最新の携帯電話を壊したり、ネット用語を理解できなかったりと、電子機器には疎いローテク人間の一面もあります。また、無類のカフェイン好きで、泊まりがけの出張にはミルを持っていくほど。朝のコーヒーを邪魔されて激怒するという一幕も描かれています。同じくカフェイン好きのアビーに、カフェイン入りの炭酸飲料「カフ-パウ(Caf-Pow!)」をさりげなく差し入れすることもあります。アビーは両親がろうあ者であったことから手話が使え、ギブスも手話を扱えることから、二人は他の人に知られずに秘密の会話をすることもできます。

そんなギブスは、プライベートでは実は4度結婚しており、2人目以降の妻とはすべて離婚していますが、最初の妻は悲劇的な形で失っています。木工が趣味で自宅の地下室でボートづくりをしているという一面もあり、ストーリーが進むにつれて寡黙な彼の人間らしい背景が見えてくるのもポイントです。

◆矛盾や破綻がなく、どこからでも楽しめる一話完結型

驚くべきことに、『NCIS』は2003年から続く長寿シリーズにもかかわらず、物語に矛盾や論理的な破綻がありません。それどころか、時には実話を基にしたエピソードもあったりと、見る者を惹きつける飽きのこない新しいストーリーが次々に展開。大きなテーマや謎が主軸にありながら、基本的には一話完結のスタイルであるため、どのシーズンのどのエピソードから見始めても楽しめます。犯罪捜査で悪を追い詰めていくというストーリー展開はわかりやすく、ドラマに入りやすい一方、急展開が起こることもあり、目が離せない工夫がされています。

珍しい組織を舞台に魅力的なキャラクターたちが活躍する人気シリーズ。一度ご覧になれば、長い間支持されている理由が分かることでしょう。(海外ドラマNAVI)

Photo:『NCIS ~ネイビー犯罪捜査班』
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