ティーンドラマを変えた名作『ドーソンズ・クリーク』 20年後も受け継がれる遺産

今から20年前の1998年から6シーズンにわたり放送された青春ドラマ『ドーソンズ・クリーク』は、このジャンルを大きく変えた作品としていまだ色褪せることがない。現在でも米国のHuluで配信中のこのシリーズでは、主人公ドーソンら4人の若者がアメリカ東部の田舎町を舞台に、思春期特有の恋、友情、夢をめぐる悩みと喜びを経験する。若者の悩む姿を等身大で描いた手法や性に関する突っ込んだ会話は当時としては画期的で、『The O.C.』『ゴシップガール』など後進の作品に与えた影響は見逃せない。20周年に合わせたアメリカ、イギリスのメディアによる論調を交えて、本作の魅力とその影響をふり返ってみよう。

◆センスあふれる話術で思春期に切り込む

本作はそれまでアメリカに多かった同ジャンルの作品とは異なり、登場人物が抱える様々な悩みをウイットに富んだ会話で赤裸々に打ち明けるのが特徴になっている。青春の葛藤を内面に抱えるだけでなく、キャラクター同士で雄弁に語り合う点は斬新だ。英Guardian紙も取り上げているように、心の病や性的嗜好など、本作のティーンが向き合う悩みは幅広い。教師と禁断の恋に落ちたペイシーが、彼女と寝るために、セックスには責任が伴うという常套句の論破を試みるシーンなど、性に関する突っ込んだ描写も数多い。

こうした青春時代の葛藤が、ウイットに富んだ会話で軽妙に処理されている。気の利いた話術は、ティーン世代が「こう見られたい」と願う理想像の体現でもある。深みと軽快なテンポの両立は、子ども向けと見られていたティーンものに新たな一面をもたらした。米Entertainment Weeklyは、「ありふれたティーンドラマをまったく新しいものへと変貌させた」と評価している。

◆ホラー映画の成功から飛び出したテクニック

『ドーソンズ・クリーク』のユニークなスタイルは、クリエイターであり脚本も手掛けるケビン・ウィリアムソンが同じく脚本を執筆した1996年のホラー映画『スクリーム』を踏襲したもの。同作は縮小傾向にあったホラージャンルに、前述のような会話術でブラックなユーモアを持ち込んだことによって大きな成功を収めた。

この流れを青春ドラマに応用した本作は、のちの同ジャンルに大きな影響をもたらすことになる。2017年にスタートした、ポップカルチャーに傾倒する田舎町のティーンが趣向を凝らした会話を繰り広げる『リバーデイル』にもその特徴は現れているが、本作へのアンチテーゼとして製作されたスクールコメディ『フリークス学園』(1999~2000年)のように、特に本作が始まった1998年からの5年間にかけての影響が色濃く見て取れる。Entertainment Weeklyは、10代の若者の視点から物語を進める黄金パターンは、今日でもNetflixやディズニー・チャンネルなどで生かされていると指摘する。

一方で、純粋に若者の葛藤を扱った作品は減少傾向にある。TV Guideは『ヴァンパイア・ダイアリーズ』や『ティーン・ウルフ』を例に挙げ、変身などのSF、ファンタジー要素なしには作品が成立しなくなっていることを憂慮する。一年で400本以上のドラマが量産されるこの時代に、純粋に若者の成長を主題にした作品が求心力を維持するのは難しい。本作の放映当時とは異なり、若者の手本となるドラマがめっきり減ってしまった点は気にかかる。

◆『ドーソンズ・クリーク』の遺産は現代に受け継がれる

純粋な青春ドラマが減っているとはいえ、『ドーソンズ・クリーク』の影響は、最終話の放送から15年の時を経てなお健在だ。米TV Guideは、「現在30代になる私たちにとって、(主人公たちと同じ10代の頃に)『ドーソンズ・クリーク』を観ることは人格形成に関わる体験だった」と振り返る。ティーンの抱える悩みと真剣に向き合うスタイルは、現在成人したかつてのティーンの成長の糧となった。

また、前述のような他作品への影響も功績の一つだ。Entertainment Weeklyは、機知に富んだキャラクターを通じて、実際に過ごした青春時代よりもさらに豊かな経験を追体験できるのが作品の長所だとしている。

(海外ドラマNAVI)

Photo:『ドーソンズ・クリーク』
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