「X-MEN」シリーズ史上初めてのTVドラマシリーズ『レギオン』。2018年4月からシーズン2が日米で放送開始となった本作は、主演に『ダウントン・アビー』のダン・スティーヴンス、監督・企画・脚本・製作総指揮に大ヒットドラマ『FARGO/ファーゴ』のノア・ホーリーを迎えた意欲作だ。
幼い頃より続く幻覚や幻聴に悩まされ、統合失調症の疑いから精神科病院で治療を受けていた主人公デヴィッド・ハラー。しかし彼こそは、他人の精神を自在に操ることができる地上最強のテレパスで、X-MEN創始者であるチャールズ・エグゼビア(=プロフェッサーX)の息子にして、最強のミュータント"レギオン"だったのだ......。
今回は『レギオン』シーズン2でついに姿を現したヴィランであるアマール・ファルーク/シャドウ・キングを演じるナヴィド・ネガーバンを直撃! 本作や、演じたキャラクターについて語ってもらった。
――『レギオン』はストーリーだけでなく、独創的な映像表現や音楽が印象に残る作品だと思いました。出演を通して本作の魅力をどう感じられましたか?
素晴らしい作品だよ。スタッフもキャストも文句なしだし、とても知的なドラマだ。視聴者はこの世界に飛び込んでいろんな発見をすることができる。すごく深い作品で見た者に考えさせるんだ。私自身、現場での一瞬一瞬を楽しんだよ。
――原作コミックと同様に精神世界をテーマとするなど複雑な内容の本作は、「X-MEN」初のTVシリーズとしてはかなりチャレンジングなドラマだと思います。難解で複雑な内容でありながら視聴者や批評家に受け入れられているのはどんな理由があると思われますか?
この作品は見た者に疑問を投げかける。「自分が日々行っていることは、自分の意思でやっていることなのか、それとも頭の中にいる誰かが言うことをやっているだけなのか?」とね。そして、このドラマは様々な魅力を持っているので、見る者がどんなバックグラウンドを持っているかに関係なく、万人を惹きつけることができるんだ。例えばある人は映像美に、ある人はミステリーの部分に魅せられるといった風にね。ただ、そうした多くの要素を持ちながらも本作には確固たるアイデンティティがあるんだ。
『レギオン』がこれだけ広く支持されていることの理由はノア(・ホーリー)にあるだろうね。彼は自分の内なる声にしっかり耳を傾けていて、誰かをコピーしたりはしない。世界観を含め、すべてがオリジナルなんだ。
――ナヴィドさんは過去に『HOMELAND』や『24 -TWENTY FOUR-』などでリアリティのある役柄を演じていますが、今回マーベルのキャラクターを演じてみていかがでしたか?
こうしたキャラクターの魅力は、自分がなりたいものになれることだね。限界が存在しないんだ。原作では争いが描かれているけれど、演じる際にはそうした表面的な要素だけをなぞるのでなく、役のより奥深い場所にあるものを掘り下げるんだよ。
――あなたの演じるファルーク/シャドウ・キングは、原作よりもサイコスリラー的な恐ろしさを持ちながら、より洗練された知的なキャラクターとなっているように感じました。演じるにあたって、どのようなことを考えていましたか?
原作よりも外見はたしかに洗練されているね。ただ、こうしたイメージは我々が自分で作り出したものかもしれない。自分の内面を知られることを恐れているから、そういう風に装っているのかもしれない。その人は本当の自分を隠していて、別人のように振る舞っているのかもしれない。......そうした考えが頭の中を駆けめぐったよ。
ファルーク/シャドウ・キングは外見で人々を怖がらせるわけじゃない。彼の恐ろしい点は、人々の内面を見抜くことだ。彼は洗練されていて知的で、虚飾に惑わされることなく物事をありのままに見る。それが恐ろしいんだよ。
――デヴィッド役のダン・スティーヴンス、シドニー役のレイチェル・ケラーや、共演シーンの多いオリバー役のジェマイン・クレメンとレニー役のオーブリー・プラザとの共演はいかがでした?
とても良かったよ。みんなが温かく迎えてくれて、これまでのストーリーやキャラクターについていろいろと説明してくれた。私は急遽この作品に参加することになったので、シーズン1を一日で見てから参加したんだけど、とても難解な内容だから、みんなが各キャラクターについて細かい意見を聞かせてくれて、演じる上ですごく助かったんだ。
それと忘れられないのが、撮影初日のことだね。ケリー(Cary)・ラウダーミルク役のビル・アーウィンが本当に親切にしてくれたんだ。シーズン2の撮影が第7話まで進んでいるところから加わった私は9話分の台本を一度に渡されて、それを手にして途方に暮れながらスタジオの通路を歩いていた。するとビルが近づいてきて、「手伝おうかい? 時間があるから、よければ力になるよ」と言って、台本読みに付き合ってくれたんだ。本当に有り難かった。そういう素晴らしい人たちと一緒に仕事ができて幸運だったよ。
――現在、『レギオン』シーズン2の全米放送は終盤に入っていますが、このシーズンの今後の見どころは?
そうだな......。下手なことを言って解雇されたりしないように気を付けないとね(笑) 見どころは、キャラクターの複雑なアイデンティティにあるんじゃないかな。一体誰が善人で、誰が悪人なのかは、視聴者に判断してほしい。各エピソードに小さなヒントが隠されていて、ストーリーが進むごとに少しずつ明らかになっていくから、それを全部合わせればキャラクターの背景を理解できるようになるはずだ。
――最後に日本のファンへメッセージをお願いします。
実はおばが日本人なんだ。ミユキという名前の彼女に日本語をいくつか教わったのに......全然思い出せないよ! とにかく、作品を見てくれてありがとう。私の演技が失望させていないことを祈っているよ。いつか、ぜひ日本に行ってみたい。日本語で「ありがとう。また会いましょう」というのは何と言うのかな?
――フランクな表現だと、「ありがと。またね」ですね。
アリガト。マタネ!
(文/豹坂@櫻井宏充)
日本とのつながりもあるナヴィドが新たに参加した『レギオン』シーズン2は、FOXチャンネルにて放送中!
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Photo:『レギオン』シーズン2
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