マーベル世界に異色の『Cloak & Dagger』が仲間入り!二人の若者が特殊能力で悪に立ち向かう

アベンジャーズやアイアンマンなど、言わずと知れた超大作が並ぶ「マーベル・シネマティック・ユニバース」。この世界に、新たな作品が加わった。テレビドラマ・シリーズながら仲間入りするのは、コミックを原作とした『Cloak & Dagger(原題)』。ディズニー傘下の米ABCが運営するFreeformで6月7日(木)から放送が開始した。

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■二人のティーンエイジャーの身に特殊能力が宿る
『Cloak & Dagger』は、不思議な能力を手にした高校生の青年と同年代の少女が、戸惑いながらも互いの能力で助け合いながら悪に立ち向かうストーリー。

高校でバスケットボールのスター選手として活躍する青年タイロンは、警官の射撃によって兄弟を亡くしてしまう。同じ晩、富裕層相手の詐欺を繰り返す少女タンディの父親も交通事故で命を落とす。実は2つの事件のどちらも海上施設の爆発の余波によって引き起こされたもの。全く面識がなく、背負ってきた人生も完全に異なる二人は、ニューオーリンズで起きたこの事故によって結びつけられる。

不思議な能力を身につけた二人は数年後に再開を果たすが、タイロンもタンディも自らの超人的なパワーに戸惑いを隠せない。全13話となるこのシリーズは、アクション作品でありながらスローな語り口が特徴で、時折物哀しいムードすら漂わせる。

■スローな展開は計算のうち?
主人公二人の能力は、互いの見た光景を共有できるというもの。これに加え、タイロンは漆黒のマントで自在に姿を隠し、タンディは短剣を出現させ操ることができる。マントを表す「クローク」と短剣を意味する「ダガー」は作品タイトルになっているほか、「cloak and dagger」は秘密と謎に満ちた作品を指す慣用句。

Forbes誌ではテレビ・ライターのバール氏が、こうした肝心の能力が示されるまでに時間がかかりすぎている点を作品の問題点に挙げている。キャラクター紹介に時間を取りすぎ、ストーリーの中核がなかなか見えてこないというパターンは、超能力モノにありがちな傾向だ。

展開の遅さはEntertainment Weekly誌も指摘しており、この作品に対する共通の感想と言えそうだ。

Hollywood Reporter誌では、ゆったりとした進行はプロデューサーと監督の意図に基づくものではないかと推察。タイロンとタンディの人間性をまずはしっかりと描くねらいがあると見ている。スーパーヒーロー以前に人間である二人に親しみを持たせ、視聴者の共感を深める効果がある。二人の能力もしばらくは判然としないが、これも混乱する彼らの心情を視聴者にそのまま伝える効果を狙っていると考えられる。

■暗くシリアスなムード 深みのある世界観
本作は、明るく万人向けである他のマーベル作品と異なり、深みのあるやや陰鬱なトーンで進行する。Forbes誌では、明るく大雑把なタッチの『エージェント・オブ・シールド』と、深い含みのある『Marvel ジェシカ・ジョーンズ』の中間の立ち位置のドラマだと表現している。「これは、現在までのヤング・アダルトの中で最もダークで物哀しいヤング・アダルト作品の一つだ」とも表現。暗いトーンのヤング・アダルト作品が好きな層には受けるだろうが、娯楽色を取り入れてバランスを取った方がより多くのファンを獲得できるだろうと持論を展開している。

実はドラマ化にあたり、コミックではニューヨークだった舞台設定がニューオーリンズに変更されている。Hollywood Reporter誌は、この点が作品のムードに大きく影響していると分析。暮石の立ち並ぶ墓地といったお約束のシーンや、この地を襲ったハリケーン「カトリーナ」の余波にタンディが苦しめられている点などは、ニューヨークという舞台設定のままでは実現が難しかったかもしれない。

シリアスなトーンが特徴的な『Cloak & Dagger』は、マーベル・シネマティック・ユニバースにさらなる深みを加えてくれることだろう。(海外ドラマNAVI)

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Photo:『Cloak & Dagger』オリヴィア・ホルト&オーブリー・ジョセフ
Eugene Powers / Shutterstock.com