CIA団体が全滅...犯人は? ロバート・レッドフォード主演の名作をリメイク『コンドル』

CIAの秘密組織が何者かに襲撃され、突然の全滅を喫する。難を逃れたのは、偶然にも席を外していた若き職員、ジョー・ターナー。コードネーム「コンドル」の名を冠する彼は、自らの身を護りつつ、事件の全貌を暴けるのだろうか? 『コンドル~狙われたCIA分析官~』は、小説「コンドルの六日間」を原作としたスパイ・スリラー。ロバート・レッドフォード主演の映画『コンドル』(1975年)以来、実に43年ぶりのリバイバルとなる(原作の続編を基にした2014年の映画を除く)現代風のアレンジが絶妙に効いた、堅実なテイストが頼もしいスパイ・スリラーだ。

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◆ただ一人生き残り...
読書好きのジョーが通うのは、アメリカ文学史協会のオフィス。平凡な名前のこのビルは、実はCIAの外郭団体が人目を忍ぶ仮の姿。この秘密機関では、世界中の小説や新聞などに目を通してトリックを類型化し、現在進行中の事件やスパイ活動を紐解く手がかりを見出すというミッションが進行中。

ある日オフィスが何者かに襲撃され同僚たちが血の海に沈むことに。ただ一人生き残った彼は逃走を繰り広げる中で、組織内部の人物が犯行に及んだ可能性が浮上する。やがて明らかになる巨大な陰謀を前に、ジョーは逆転の一手を打てるのだろうか?

◆1975年 vs 2018年
時を越えたリバイバルでどうしても注目されるのは、ロバート演じる75年版との違い。米New Yorkerは、設定とストーリー上のアレンジを賞賛している。旧版では、孤立に追いやられたターナーが通りがかりの女性を人質に取り、やがて恋愛へと発展を遂げる。さすがに一般市民を人質にとる展開が許されない現代版は、マックス・アイアンズ演じるジョーがデートアプリTinderを通じてキャシー(キャサリン・カニングハム『タイムレス』)と出会うように変更。職場での惨殺事件を受けて安全な隠れ家を求めていたジョーは、バーでのデートを経て、やがてキャシーの自宅に身を寄せるようになる。ほかにも、ジョーがコンピューターによるデータ解析を専門としている点もアレンジとして目新しい。

本作での変更点については米Indie Wireも好感。「古き財宝の輝きを曇らせることなく、然るべき要素をアップデートした、ソリッドなスパイ物語」と述べている。シナリオの変化もさることながら、最大の違いは両作の主演俳優の個性。ジェレミー・アイアンズ(『ボルジア家 愛と欲望の教皇一族』)を父に持つマックスは、出演作品数こそ当時のロバートに遠く及ばないものの、その若さがもたらす気性の激しさで作品にプラス要素を与えている。数々の困難を前に、絶望と対峙する術を学ぼうとするジョーの死闘ぶりには目を奪われることだろう。

◆堅実なアップデート
アクション・シーンをふんだんに盛り込んだスパイ・ドラマが多い中で、むしろ堅調な路線を選んだことも本作の特徴。Vultureは、最小限の描写に留めおき、必要なストーリーのみを伝える姿勢は特筆に値すると評価している。スパイものとしてはあと一歩の気迫が欲しいところだが、本作はフィクション・ドラマの世界に踏み出したAudienceチャンネルの初期の作品であり、その意味では丁寧で立派な仕事だと言えるだろう。

あと一歩を期待するのはIndie Wireも同じで、やや粗削りだとの評価。例えば悪役のセリフはもう少し洗練させることができたのではないか、と所感を綴っている。とはいえ、全体の出来栄えは決して悪くなく、すでに広く知られている秀逸なストーリーを手堅くきっちりと描いている点は優秀だとしている。

名作を手堅くアップデートした2018年版『コンドル~狙われたCIA分析官~』は、米Audienceで放送中。(海外ドラマNAVI)

Photo:マックス・アイアンズ
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