この夏、NYで海外ドラマスターに会えるかも?!【海ドラスター登壇のブロードウェイ演目編】

今年の夏、旅行先を考えている人はニューヨークに行ってみるのはいかがだろう? というのも、海外ドラマでお馴染みのスターの多くが舞台に登壇するのだ。

前回のはじめてのブロードウェイ基礎&マナー編に続き、この夏公演されている演目をそれぞれご紹介していこう。

■『The Boys in the Band』

 

『ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則』シェルドン役のジム・パーソンズと犯罪ドラマ『ホワイトカラー』でイケメン天才詐欺師ニールを演じたマット・ボマーが恋人同士を演じるこの劇。『HEROES/ヒーローズ』のサイラー役や映画『スター・トレック』シリーズのスポック役でおなじみのザッカリー・クイント、『GIRLS/ガールズ』でイライジャを演じたアンドリュー・ラネルズも出演している。

演出には『Glee/グリー』や『アメリカン・ホラー・ストーリー』を手掛ける敏腕クリエイターのライアン・マーフィーの名も。1968年にオフ・ブロードウェイで初演された本作は、ニューヨークに住む同性愛者の若者たちの恋愛模様が描かれる。1970年には映画化もされている。

見どころはやはりこの4人の演技派俳優たちが目の前でぶつかり合っていく姿を見られる点。また出待ちするファンにマットらが気軽に一緒に写真を撮ってくれる様子もSNSを賑わせており、こんな豪華なメンバーを拝めるのはなかなかないチャンスだ。

BOOTH THEATRE
222 W. 45TH New York

100分(休憩なし)
8月11日(土)まで
日曜日休演

■『Angels in America』

 

We have been waiting for you. #AngelsInAmerica opens tomorrow.

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アル・パチーノ、メリル・ストリープ、エマ・トンプソンというそうそうたるメンバーが出演した2004年の映画の舞台版。80年代のレーガン政権の時代を舞台に描かれる物語は、ピューリッツァー賞、トニー賞、エミー賞、ゴールデングローブ賞を全て受賞。実は、7時間以上もある驚異的な長さの作品で、2部構成。それぞれを別の日に見ることもできるので、実質3時間30分以上を2度に分けてみるのだが、こんなにも長い劇を演じる俳優の恐ろしいまでのセリフや動きの記憶力、そして体力に感服する。観客もちょっと気合がいる作品だ。

そんなとてつもない舞台を演じているのはアンドリュー・ガーフィールド(『ハクソー・リッジ』)とネイサン・レイン(『グッド・ワイフ』)。アンドリューは、エイズ患者のブライアン・ウォルターを、ネイサンは実在の人物、同性愛者の弁護士ロイ・コーンと更にあと2役を演じている。さすがに体力を使うこの演目は、通常と異なり、週2日の休演日を設けている。7月15日(日)までの期間限定なので急ぐべし!

NEIL SIMON THEATRE
250 W. 52nd New York

一部 パート1
3時間30分(休憩2回)
二部 ペレストロイカ
3時間45分(休憩2回)

7月15日(日)まで
月・火曜日休演

■『Waitress』

 

『SMASH』や『SCORPION/スコーピオン』でお馴染みのキャサリン・マクフィーがブロードウェイデビューを飾ったのは、グラミー賞シンガーソングライターが楽曲を手掛けたミュージカル『Waitress(原題)』。こちらはケリー・ラッセル(『ジ・アメリカンズ』)主演の2006年の映画『ウェイトレス〜おいしい人生の作りかた』をもとにした作品だ。

物語は、アメリカ南部の田舎町でウェイトレスをしているキャサリン演じるジェナの人生を描いたもの。残念ながら『スコーピオン』がシーズン4をもって幕を閉じたこともあり、キャサリンは当初の予定を延長して8月19日(日)まで出演する。『スコーピオン』でも『SMASH』でも披露した彼女の歌声と軽やかなダンスを生で体験できる絶好のチャンスだ。

BROOKS ATKINSON THEATRE
256 W.47th New York

2時間30分(休憩1回)

8月19日(日)まで
月曜日休演

■『Beautiful』

 

#Repost @melissabenoist ... June 7th and I could not be more excited

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『SUPERGIRL/スーパーガール』や『Glee/グリー』で知られるメリッサ・ブノワもキャサリン同様この夏にブロードウェイデビュー! アメリカのベテラン・シンガーソングライター、キャロル・キングの波乱万丈な半生を彼女の大ヒットナンバーに乗せて描いたミュージカル。メリッサは主人公キャロル役で登場している。現在もロングラン公演中で、日本でも2017年の夏に帝国劇場で日本人キャストにより上演された人気作だ。

キャロル・キングの曲はあまり知らないという人でも、多くの歌手がカバーしていたり、日本のドラマやコマーシャルで起用されているので耳にしたことがあるはず。海外ドラマファンにはおなじみの『ギルモア・ガールズ』の主題歌Where You Leadもキャロルの作品だ。

メリッサのちょっとハスキーな声が、特徴あるキャロルの声にもマッチしているこの作品。ピアノの弾き語りシーンも多く、舞台上でも明るく強いまさに"スーパーガール"なキャロルを演じているメリッサのパフォーマンスをぜひ見てもらいたい。

STEPHEN SONDHEIM THEATRE
124 W.43RD New York

2時間20分(休憩1回)

8月4日(土)まで
月曜日休演

■『My Fair Lady』

 

『シックス・フィート・アンダー』のクレア・フィッシャー役や、『X-ファイル』復活版でアインシュタイン捜査官を演じたローレン・アンブローズがオードリー・ヘップバーン主演の大ヒット作に挑戦する。3時間近くに及ぶ劇で、貧しい娘から淑女に変化する女性を見事に演じている。

共演者も豪華で、『ダウントン・アビー』のバーティ・ペラム役でイギリス人俳優のハリー・ハデン=ペイトン、『ゲーム・オブ・スローンズ』オレナ・タイレル役で同じくイギリス出身のベテラン、ダイアナ・リグらも出演。

英語が分からなくても、事前にストーリーを把握しておけば楽しめる王道の作品だ。しっかり者の役の印象が強いローレンが、淑女になる姿は見どころだ。

VIVIAN BEAUMONT THEATER-LINCOLN CENTER THEATRE
50 Lincoln Center Plaza New York

2時間55分(休憩1回)

2019年1月6日(日)まで
月曜日休演

■『Hello!Dolly』

 

Eight shows a week. Ticket link in bio. #HelloDolly

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ベテラン俳優ヴィクター・ガーバー(『エイリアス』)がバーナデット・ピータース(『モーツァルト・イン・ザ・ジャングル』)と共演するこの作品は、1969年にはB・ストライサンド、W・マッソー主演で映画化もされている。

この二人が登壇するのは7月15日までの期間限定だが、このあとを引き継ぐキャストもすごい! 7月17日から8月25日までは、『そりゃないぜ!?フレイジャー』のデヴィッド・ハイド・ピアースベット・ミドラーが出演する。どちらの組み合わせも魅力的なので、交代ギリギリの期間に行かれる人は、違うキャストで2度楽しむこともできるだろう。

SHUBERT THEATRE
225 W. 44th New York

2時間40分(休憩あり)

8月25日(土)まで
月曜日休演

■『Mary Page Marlowe』

 

『オーファン・ブラック 暴走遺伝子』(以下『オーファン・ブラック』)で何役ものクローンを演じ、エミー賞主演女優賞を受賞したタチアナ・マズラニーもブロードウェイにこの夏登場する。とはいっても、厳密にはこちらは小さな劇場で公演されるオフ・ブロードウェイ。2008年にピューリッツァー賞戯曲部門を受賞した脚本家で俳優のトレイシー・レッツ(『HOMELAND』)著書の「Mary Page Marlowe(原題)」の舞台版になる。

カナダ人であるタチアナは、10代の頃からカナダの舞台で活躍してはいたが、ブロードウェイは初めて。『オーファン・ブラック』で10役以上もの国籍も性別も違う人間を演じ分けた演技力であれば、素晴らしい作品に仕上がっているだろう。6月19日(火)よりプレビュー公演、本公演は7月12日(木)からスタートで、8月12日(日)まで公演される。

SECOND STAGE THEATRE-TONY KISER THEATER
305 W 43rd New York

公演時間未定

8月12日(日)まで
月曜日休演

この夏に舞台に登場するTV・映画俳優たちは以上だが、オマケ情報として『スキャンダル 託された秘密』のケリー・ワシントンと『レスキュー・ミー 〜NYの英雄たち』のスティーブン・パスクールが共演する秋の舞台情報も少しだけお伝えしよう。

『American Son』:ある真夜中の出来事。フロリダ警察署で、行方不明になったティーンエイジャーの息子を探す母親(ケリー)の姿があり...。現在、『真夜中のパーティ』が公演されているBOOTH THEATREで、10月6日からプレビュー、11月4日からオープニング公演が行われる予定。

セレブで溢れるこの夏のニューヨーク。今までミュージカルや演劇に興味がなかった人も、ブロードウェイなんて敷居が高いと思っていた人も、目の前に広がる舞台での俳優たちの生の素晴らしいパフォーマンスと、気さくな人柄に出会うため、この夏思い切ってニューヨークまで行かれてみるのはいかがだろうか。

(文・Erina Austen)