「このドラマがキャリアのハイライト」ライアン・マーフィー、新作ミュージカルドラマに込める強い思い

『Glee/グリー』『アメリカン・ホラー・ストーリー』など、次々に人気シリーズを生み出しているクリエイターのライアン・マーフィーが、新作ドラマ『Pose(原題)』のパネルディスカッションに登場し、「(この作品は)間違いなく僕のキャリアのハイライトになる」と本作にかける強い意気込みを表明した。米Deadlineが伝えた。

彼は自身の作品に"マイノリティ"と言われる存在を次々に起用し、エンターテイメントを通して社会に訴えかけてきたことでも知られている。そんな彼が現在製作しているのは、100人以上のトランスアクター(トランスジェンダーの俳優)、スタッフが参加する新作ミュージカルドラマ『Pose』。このドラマは1980年代に時代を設定し、当時のド派手なニューヨークの社会と、それに相反するダウンタウンの社会、そしてLGBTQサブカルチャーの世界がセグメントごとに平行して進む物語として語られる。

そのパネルディスカッションにはTVドラマ界では初となる有色人種でトランスウーマンの監督になった、アメリカ人作家のジャネット・モックも参加。彼女がメガホンを取ったエピソードのスクリーニングが行われると、モックはマーフィーがこの機会を与えてくれた過程について説明した。

「監督をすることは私のリストにはなかったこと。可能なことだとは思っていなかったの」と語ったモック。しかし、彼女の回顧録「Redefining Realness(原題)」を読んでマーフィーは彼女にアプローチし、このドラマで監督を務めるべきだと説得したという。

「私自身について書くこと、真実を伝えること、私がまだ見ていなかった話を私の物語に反映させること、これら全てを通して私はここに来た。私の本は、トランスの回顧録という点で、有色人種のトランスジェンダーが書いた初めての本。そうして全てが始まった。この本がどうにかライアンの元に届き、彼はそこで何かを見つけ、私に"本の世界から離れて、TVの世界へ来て"と言ってくれたの」

モックが「願望や夢、身体、愛、希望、ロマンスについて語る多くの会話は、私の経験を通している」と語った通り、彼女がディレクションしたエピソードには彼女がこれまで経験してきたことが大いに反映されているそうで、マーフィーはそんな彼女のことを「大統領になれる人だ」と絶賛している。

マーフィーは本作の利益の全てをLGBTQコミュニティヘ寄付することを発表しており、2年前から"平等"のために「Half Foundation」という基金の運営も行っている。長い間、ビジネスの世界は白人の50歳以上の男性によってコントロールされてきた事実に言及し、「世界は"半分"だ。半分の女性、半分の男性、そうあるべきだ。だから僕は"ハーフ"のイニシアチブとなるものを作った。そこには監督の半分が女性、マイノリティ、同性愛者の人々だという考えがある。そして実際に僕たちのカンパニーでは65%がその人たち。それは素晴らしいことであり、難しいことではないんだ」と、今の時代だからこそ響く言葉を投げかけた。(海外ドラマNAVI)

Photo:ライアン・マーフィー(C) FAM020/FAMOUS ジャネット・モック (C) NYKC/FAMOUS