カナダの小さな田舎町を舞台に、若き弁護士が良心と職務との間で揺れる『Burden of Truth(原題)』。製薬会社を巡るメインプロット一本に絞り、どっしりと腰を据えた展開が魅力の本作。穀物畑に囲まれた町という舞台が、カナダらしさを存分に感じさせてくれる。加CBCが手掛けた本作は、米CWでも7月25日から放送が始まった。
故郷の町で痙攣に苦しむ少女たち
弁護士のジョアンナ(クリスティン・クルック)は、一流の法律事務所で働く有能な社員。生まれ育ったオンタリオ州ミルウッドの町で起きている訴訟事件の弁護に当たるため、故郷を再訪する。町では高校に通う少女たちを原因不明の痙攣が襲っており、その原因がワクチン工場にあるのではないかとの噂が。少女たちは製薬会社を訴えており、その会社の弁護をジョアンナが担当することになった。
製薬会社側に立つ彼女に対し、かつて親しんだ地元の住民からは辛辣な視線が。親友のダイアン(ニコラ・ダミュード)は、少女たちの学校でカウンセラーを務めており、ジョアンナは友情と職務のジレンマを抱える。さらに、顔をよく知る地元の青年ビリー(ピーター・ムーニー)が少女側の弁護士に。ビリーの姪も被害者の一人とあって、彼は個人的にも製薬会社を敵視している。健康被害に悩む女子生徒たちを目にしたジョアンナは良心の呵責を感じ、キャリアに傷がつくリスクを承知で、ビリーとともに原因の究明に乗り出す。
主演クリスティンの硬派な演技
クリスティンは米CW製作の『ヤング・スーパーマン』『ビューティー&ビースト/美女と野獣』などでキャリアを積んだカナダ出身の若きスター。今作『Burden of Truth』では温かさと知性を存分に発揮していると米Boston Heraldは評する。彼女の父親デイヴィッド(アレックス・カーター)は職場の上司でもあり、「良心を捨てろ、そうすれば自ずと完璧な弁護士になれる」が口癖の冷血漢。父と会社に疑問を抱くようになるジョアンナのキャラクター性が興味深く、時折単調に思えるパートもクリスティンの巧みな演技力がカバーしている、と同メディアは絶賛する。
難解な法律用語が飛び交う現場に身を投じたクリスティンだが、米Hollywood Reporterはその挑戦を高く評価。モノローグでは専門用語の多いセリフをこなし、弁護士としての職務に忠実なジョアンナを熱演している。シリアス色が強い本作では、ジョアンナが笑いをもたらすようなパートはほとんど見られず、ドラマ全体としても硬派なトーンに仕上がっている。
丹念に作り込まれた、カナダらしさ漂うシリーズ
ストーリーが進むにつれ、キーとなるいくつかの謎が登場する。なぜ女子だけに症状が起きているのか、という疑問もその一つだ。Boston Heraldはさらに、ジョアンナにまつわる個人的なミステリーを紹介。町にある母校の図書館からは、父の名が削除されている。また、地元住民の女性はジョアンナの名字を知るや否や、顔面にパンチを食らわせる。あまりの拒絶反応にふと、数年前、一家がまるで夜逃げのようにして町を去ったことを思い出すジョアンナ。彼の父は町に何をしたのだろうか?
これらの謎が本シリーズのキーとなっており、シリーズを通じてストーリーを牽引する。サブプロットを些細な事件で埋め尽くすのではなく、シーズン全体にわたってしっかりとメインの訴訟案件を描くという構成を導入したことで、ほかのリーガルドラマとの差別化に成功しているとメディアからの評価は高い。ストーリーはシリアスだが、工業の町カナダのミルウッドに舞台を設定し、町工場や豊かな穀物畑など、カナダらしい風景が目を楽しませてくれる。
『Burden of Truth』は、米CWネットワークで放送中。(海外ドラマNAVI)
Photo:クリスティン・クルック
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