蒸し暑い日々が続いていますね。そんな時にはやっぱりホラーでスカッとするのが一番。そのラインナップとして、ちょっと毛色の違う『iゾンビ』はいかがでしょう? タイトルの通りゾンビ作品ですが、ゾンビの主人公が死体安置所に運ばれてきた死体の脳を食べて、それによって得られた情報をヒントに事件の謎を解いていくという斬新な犯罪捜査ドラマです。
今月初めにセカンド・シーズンのDVDがリリースされた『iゾンビ』より、キャストたちのインタビューを5回に分けてお届け! 第4回は、主人公リヴを特殊能力を持つ霊能力者だと信じ込み、ともに殺人事件の捜査を行う刑事クライヴ・バビノーを演じるマルコム・グッドウィン。
(本記事は、第1シーズンのネタばれを含みますのでご注意ください)
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――ゾンビはお好きですか?
好きだよ。特に『iゾンビ』に出てくるようなインテリなゾンビはね。『28日後...』みたいなゾンビ映画を見ながら育って、『ワールド・ウォー Z』も好きだったな。僕はゾンビ文化のファンなんだ。
――では刑事はお好きですか?
刑事を演じるのはとても気に入っている。実は本作の前に演じた4つの役がいずれも警官で、演じる心構えのために、ニューヨークで本物の刑事たちと仕事をしたり警察の車に一緒に乗る機会を得たんだ。そのトレーニングが今回の役の準備に役立ったよ。クライヴは、僕が演じたほかの刑事ほどの経験は積んでいなくて、僕自身が実際に学んだことでも彼は知らなかったりするので、知っていることなのに知らないフリをする場合もたくさんあったけどね。
――本作に視聴者がハマる理由は何だと思われますか?
コメディとして幅が広いところだろうね。僕がいつも言っているのは「ページから始まる」ということなんだ。ページ、つまり脚本ゆえに、僕はこのドラマに惹かれたんだ。出演者全員がそうなんじゃないかと思うよ。脳みそを食べるゾンビながらもちゃんと社会的生活を送る女性が主人公のドラマというコンセプトを聞くとあまり食指が動かないかもしれないけど、脚本を読んだら「おー」と感心する作品なんだ。つまり、そういうのはすべて(企画・製作総指揮の)ロブ・トーマスとダイアン・ルッジェロ=ライトにとっては舞台装置のようなものなんだ。彼らは、今という時代に存在するゾンビを描くとともにポップカルチャーを引き合いに出している。それに楽しい作品だしね。あと、これは世の終末を迎える前の話で、視聴者は適者生存の話が大好きなんだろう。あのような状況で自分だったらどうするかを想像できるからね。
――では、あなたがリヴの立場だったらどうします?
僕だったら多分...いや、わからないな。僕がひっかかれてゾンビになったら、まず様子を見るかな。人間の脳みそを食べられるかはわからないけど。それなしで生き延びて機能できるやり方を考え出さないとね。
――出演の経緯を教えてください。
数年前のパイロットシーズンの頃、エージェントから概要が送られてきたんだ。たしか、大統領誕生日(2月の第3月曜日)の祝日だった。その1週間後に受けたオーディションは丸一日かかるプロセスだった。ロブやプロデューサーとのワークショップで始まり、スタジオ・セッション、ネットワーク・セッションもあった。午前10時から始まって最後のセッションは午後7時か8時だったと思う。やり方は消去法で、最初はクライヴ役のほかの候補やブレイン役のほかの候補、ペイトン役のほかの候補がいた。僕は、翌日に予定されていたほかの作品のオーディションの準備もしていたんだけど、家に帰る途中で役を得られたという電話をもらったんだ。胸が躍る思いだったよ。
――撮影中はバンクーバーにずっといるわけですが、明日ここを去るとしたら何が一番恋しいですか?
今この瞬間の正直な答えは、グランヴィル通りにあるウィングの店だね。これは繰り返されてるジョークなんだけど、ファンは(ラヴィ役の)ラフル(・コーリ)と僕がグランヴィル通りのその店にしょっちゅう出入りしてるのを知ってるんだ。そこは僕らの間で人気スポットなんだよ。バンクーバーを再訪した時に最初に行く場所を聞かれたら、普通はスタンレー・パークのような有名どころを挙げるだろうけど、僕らにとってはグランヴィル通りのウィングの店、それが目的地だね。
――そこの何が好きなのですか?
バラエティに富んだメニューだね。もともとの僕はバッファロー・ウィングなんて全然興味なかったんだけど、その店ですっかりハマってしまったんだ。これまでにかなり注ぎ込んだよ(笑)
――行きつけの店なら、時にはファンが待っていたりするのでは?
いやいや、そんなことはない。単にスタッフと知り合いなだけだよ。僕らが入っていくと「ラフル、マルコム、何が食べたいかわかってますよ。ルイジアナ・スイートですよね」「じゃあ、それを頼むよ」って感じでね。
でも真面目な話、僕はバンクーバーのエネルギーが好きなんだ。ここなら住めるな。僕はニューヨーク出身だから、ダウンタウンにいるのが好きなんだ。都会の雰囲気が味わえるし、同時にグランヴィル・アイランドにもヴィクトリアにも行ける。気分転換にグラウス・マウンテンやウィスラーへも行くのもいい。数分間、車を走らせただけで、すごく移動した気になるぐらいだ。というわけで、僕はバンクーバーの多様さと文化が好きなんだよ。この街を去るとしたら、そういうところを恋しく思うだろうね。
――原作であるグラフィック・ノベルに目を通しましたか?
うん、あのシリーズは全巻読んだ。ティーンエイジャー時代にコミックを読まなくなっていたんだけど、この原作には圧倒されたよ。紙でなくデジタルで読むとフライスルー(擬似的な空間の中を自由に飛び回る擬似体験)ができるんだ。ああいう読み方であんなに楽しめるなんて知らなかった。ダブルタップすればズームインできるし。アプリケーションソフトウェアもいくつか入手した。ただし、本作の趣やユーモア、不機嫌さ、ウイット、そして言うまでもなく設定は原作とはまったく違うんだ。でも、トーンは同じだね。リヴの声はコミックの主人公グウェンの声とマッチしているから。
――ロブ・トーマスとの仕事はいかがですか?
ロブは最高だよ。彼は僕らから最高のものを引き出し、成功させてくれる。彼のもとであらゆる人がフレンドリーで支え合う環境を作り上げている。スタッフ全員が堅実で分別があって、撮影現場でも落ち着いているから、僕らはここバンクーバーでとても良い評判を得ている。これも、ロブ自身がそういう人だからこそなんだ。そのありがたみを忘れないようにしているよ。まるで夢が叶った気分だからね。
――アドリブすることはあるのですか?
僕らはアドリブしていると思われがちだけど、してないよ。脚本に忠実に演じているんだ。僕らが考え出すアドリブよりも脚本がよく書けてるからね。時には成り行きで言葉を言ってしまうような場面があって、まるで適当にやったように聞こえるものだから「ああ、勝手に考え出したんだな」という印象を与えるみたいだけど、そういう場面もちゃんと脚本に書かれているんだよ。僕らも、テイクの合間とか、一旦テイクにオーケーが出たりすると、ふざけたり好き勝手なことをすることもある。それで面白いことが出てきたりするとそのテイクが使われることもあるけど、98%、いや99%は脚本に描かれている通りに演技しているんだ。
――本作の舞台はシアトルですが、同地に行かれたことは?
シアトルは残念ながらまだ探索できていないんだ。ロサンゼルスからバンクーバーまで自分で運転して移動したから、通り過ぎてしまった。シアトルに寄れる余裕を作りたくて、誰かの車に乗せてもらおうとスケジュールまで組んだんだけど、結局うまくいかなくてね。
――クライヴとリヴの関係は第1シーズンと第2シーズンでどのように変わっていくのでしょう?
当初、クライヴは逮捕者の実績を増やしたくてたまらなかったのだと思う。彼はすごく経験が浅いわけだけど、ある種の虚勢を張って、その浅さを隠しているんだ。ロブとダイアンからは、クライヴのそういう点を出しながら演じるように強く勧められたよ。クライヴは自分のやっていることがわかっていないけど、その状態のままでいるようにってね。もっと成功するようになれば、自信もつくし、さらに学んで経験も積めるようになる。ただし、それにはリヴの助けが必要だ。二人は第2シーズンで友達同士になったと思う。前シーズンでは友情からではなく、それぞれに独自のニーズと目的があったから協力し合っていた。でも、その後に親しくなり、すごく良い友人、ほとんどチームメイトのようになるんだよ。
――第2シーズンではクライヴの私生活も語られますか?
そうだね。彼はピアノが弾けて『ゲーム・オブ・スローンズ』のファンで、祖母仕込みのケイジャン料理が作れるんだ。そういう部分が出てくるのは楽しいよ。視聴者と一緒に僕も彼のそうした面を知ることになるからね。
クライヴがニューヨーク・ニックスのファンだというのは、個人的なジョークでもあるんだ。というのは、僕自身はニューヨーク出身で実際にニックスのファンなんだけど、ロブはサンアントニオ・スパーズのファンなんだ。だから彼は「このエピソードではニックスに勝たせてやるけど」とか言ったりしていたよ(笑) ロブが僕らの実際のやり取りを脚本に取り入れたりして、楽しいエピソードだった。そういうわけで、シーズンを通じてクライヴはニックスのマグカップを持っていた。どうやら球団からの許可も得られたみたいで、毎回必ずマグカップが登場するんだ。
――あなたはシリアスな作品にも出演していますが、そうしたものよりコメディの方が楽しいですか?
バランスが取れていれば両方好きだよ。僕はシリアスな作品を演じて育って、その後コメディをやることになったから、どちらのジャンルも突き詰めてはいないんだ。舞台からスタートしたんだけど、例えばシェイクスピアだと喜劇と悲劇の両方ができるからね。
本作で僕は真面目なキャラを演じている。でも、ジョークを言わないでいるというのは実はすごく難しいんだよ。"僕だって遊びたいのに"って感じなんだ。僕もリヴのように違う態度を見せてみたいけど、クライヴは事件をしっかりと押さえておかなければならないからね。事件が真面目に捉えられなければ、目標に向かうリヴの決意を弱めてしまうことになる。常にそのことを心に留め置いておかなくてはならないんだ。一度「僕のこのシーンはこんな風にもできるよ」と提案してみたけど、「いや、君は真面目な演技をしなければダメだ」と言われたよ。でも、クライヴのそんな真面目さがユーモアにつながったりもするんだよね。だから、僕は両方のジャンルを楽しんでいると言えるよ。
――学んだことを知らないフリをしなければならなかったり、抑制を効かせなければならなかったり、そういうのが難しい課題になるというのは興味深いですね。
そうだね、そうした難しい課題が毎日あるんだ。僕らはみんな友達同士だから時にはバカみたいなこともするけど、クライヴはお堅い態度でいなければならないんだ。クライヴは視野が狭くて、何でもズケズケと歯に衣着せない話し方をする真面目人間だから、僕は折に触れてそのことを思い出さないといけない。それでも楽しいけどね。
――おっしゃるように楽しい現場のようですね。SNSでも一緒に外出して楽しそうな写真がたくさん載っていますよね。
うん、本当に素敵なグループなんだ。誰かから「これってそういう風に見せかけているだけ?」と聞かれたけど、僕らは心から楽しい時間を一緒に過ごしているし、応援してくれるファンも大好きだ。突拍子もない発想に基づいた本作に対してファンのみんなが寄せてくれているサポートはありがたい限りだよ。だから、舞台裏の様子やキャラクターの裏話といった話も、機会さえあればファンとシェアしたいと考えているんだ。
<『iゾンビ』インタビューリレー>
【1】ローズ・マクアイヴァー(オリヴィア・"リヴ"・ムーア役)「毎週毎週食べる脳みそについて考えてるの」
【2】ロバート・バックリー(メイジャー・リリーホワイト役)「ゾンビ対策? 電池とガムテープをたくさん用意してメイン州に行くことだ」
【3】ラフル・コーリ(ラヴィ・チャクラバーティ役)「ラヴィにはダースベイダーのようにはなってほしくない」
【5】デイヴィッド・アンダース(ブレイン・デビアス役)「あなたは大嫌いだけど死んでほしくない、とよく言われる」
『iゾンビ<セカンド・シーズン>』は、ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメントからDVDリリース中。
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Photo:『iゾンビ<セカンド・シーズン>』
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