汚職や殺人が蔓延する実在のタイの刑務所に服役し、ムエタイでのし上がっていったイギリス人ボクサーの自伝ベストセラー小説を完全映画化した『暁に祈れ』。ジョー・コール(『ピーキー・ブラインダーズ』)が、何カ月もの肉体改造のすえ鋼の肉体を手に入れ、孤軍奮闘する主人公ビリーを熱演している本作より、日本版予告編が公開となった。
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ボクサーのビリー・ムーアは、タイで自堕落な生活を過ごすうちに麻薬中毒者になってしまう。ある日、警察から家宅捜索を受けたビリーは逮捕され、タイで最も悪名高い刑務所に収容される。そこは殺人、レイプ、汚職が横行するこの世の地獄のような場所だった。死と隣り合わせの日々を過ごすビリーだったが、所内に設立されたムエタイ・クラブとの出会いが彼を変えていく。
予告編が捉えるのは、収容人数を超えた囚人たちで溢れかえる刑務所のあまりに劣悪な環境や、たった一人の白人であるビリーが全身タトゥーだらけの受刑者たちに取り囲まれ、度々襲撃されるような情け容赦ない世界で言葉もろくに通じず怒りや恐れといった感情を独房の壁にぶつける以外にない余りに痛ましい状況だ。そんな彼が、所内に設立されたムエタイ・クラブの存在を知り、そこに"最後の希望"を見出し、他の刑務所との試合に抜擢され仲間たちの想いも背負いながらリングに向かう様子を捉えていく。
PRIDEやRIZINなど格闘技の「煽り映像」で有名なナレーター・声優である立木文彦がナレーションを務め、ただの"刑務所モノ"でも"格闘モノ"でもない、本作が持つ二つの表情を切り取った迫力の映像に仕上がった。
『ジョニー・マッド・ドッグ』で世界的に評価された監督のジャン=ステファーヌ・ソヴェールは、撮影場所に本物の刑務所を使用し、主要キャスト以外は実際の元囚人やボクシングチャンピオンを起用。本物にこだわり抜いた理由として、「私は観客に能動的になって欲しいと思いました。ただ映画を遠くからエンターテイメントとして眺めるだけではなく、ボクサーや囚人の視点から感じ取り、直感的な方法でビリーの人生を経験してもらいたかったのです」と説明。そのため、本編ではタイ語を知らないビリーの恐怖を観客に味わわせるために余計な字幕は一切入っていない。また、彼の息遣いまでも立体的に聞こえる臨場感たっぷりの音響など、あたかもタイの刑務所に引きずり込まれたような圧倒的なパワーと衝撃の映画体験が待ち受けている。
『暁に祈れ』は12月8日(土)ヒューマントラストシネマ渋谷&有楽町、シネマート新宿ほか全国順次公開。(海外ドラマNAVI)
Photo:『暁に祈れ』
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