スーパーヒーローに欠かせないのが、頼れるサイドキック(相棒)の存在。数あるサポート役の中でも、バットマンを支えるロビンは最も有名なキャラクターと言っても過言ではないだろう。しかし、そんな彼には、どうやら不満がある様子。9月にローンチしたばかりの米ストリーミングサービス「DC Universe」が贈る『Titans(原題)』は、ロビンを中心とする新しいヒーローチーム、タイタンズの物語だ。
日昼は警察官として公務にあたるディック・グレイソン(ブレントン・スウェイツ)は、夜になるとロビンに変身。目元を隠すマスクとマントを纏い、怪人たちを相手にする。純粋なヒーローと少し異なるのは、彼を駆り立てる奇妙な情熱。正義を果たしたいというよりも、どうやらバットマンへの嫉妬が動機。手助けばかりでは自身の評判が一向に高まらないと見るや、単独で悪を裁くようになる。
その甲斐あってか、ロビンもついに兄貴分として慕われるように。強大な悪魔を父に持つ少女、レイヴン(ティーガン・クロフト)はまるで年の離れた兄妹のような絆をロビンとの間に感じている。彼女は肌に触れるだけで相手の思考を読むことができる強力な能力を持っており、ぜひ味方につけておきたい存在だが、距離を詰めてくる彼女のことをロビンは若干煙たがっている様子。その能力ゆえにロビンの真意を知ってしまうレイヴンは、のちに大きなドラマの引き金となる。
他にも魅力的なキャラクターが揃う本作。Washington Post紙は、ロビンに想いを寄せるスターファイヤー(アナ・ディオプ)に注目している。人体実験の被験者という暗い過去を持つ彼女は、苦難を克服し、最強の肉体を持つ戦士として生まれ変わった。ヒーローでありながらレイヴンの命を狙っている、謎の多いキャラクターだ。登場するあらゆるシーンで存在が輝く、シリーズ最高のキャラクターの一人だと記事は紹介している。
また、ロビンの新たな相棒となるホーク(アラン・リッチソン)とダヴ(ミンカ・ケリー)のペアも見逃せない、と同紙。目元をマスクで隠した二人は、私生活では恋人同士。特に物語の冒頭数話ではロビンの活躍がまだ少ないことから、この二人によってヒーローものらしい雰囲気がグッと高まっている。ロビンとダヴは過去に一悶着あった模様で、ロビンが訪れるたびにホークがヤキモキするなど、複雑な人間関係が楽しめる。
このほか、獣に変化するビースト・ボーイ(ライアン・ポッター)も味方に加わる一人。Newsweek誌は、タイタンズ結成までの冒頭こそ各キャラクターのエピソードにまとまりがないように感じられるものの、チームとして機能する今後の展開を予想し、カジュアルに観られる新しいタイプのヒーローものとして期待している。
本シリーズは事前に公開された予告編をめぐって小さな騒動があった。ロビンの「クソ食らえ、バットマン!」というセリフに、原作ファンは動揺。主演のブレントンはFox Newsに対して趣旨を説明しており、彼曰く、件のセリフはアドリブではなく、脚本家のジェフ・ジョンズが用意したセリフだとのこと。ユーモラスな表現を盛り込むと同時に、バットマンとの師弟関係に束縛されるロビンの心情を爆発させる狙いがあったようだ。また、ダヴ役のミンカは、そのセリフによってファンから熱烈な反応を得られたことを喜んでいるという。
例のセリフを好意的にとらえているのはNewsweek誌。バットマンも好きだが、その影でずっと割りを食ってきたロビンに同情できるとし、予告編でセリフを気に入り、本編の文脈の中で観て2度好きになったと述べている。作品全体についても、従来のヒーローものの空気感はそのままに、まったく新しいドラマを展開している点を高く評価。面白みと深みの両方をバランス良く含んだ作品であり、あらゆる原作ファンの琴線に触れるだろうと見ている。
ロビンがついに日の目を見る『Titans』は、米DC Universeで配信中。なお、日本で視聴できるバットマン関連作『GOTHAM/ゴッサム』はNetflixで配信中だ。(海外ドラマNAVI)
Photo:ロビン役のブレントン・スウェイツ
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