往年のコメディ好きにおすすめ!元気なシルバーがこてこてジョークを乱れ打つ『The Cool Kids』

米FOXで放送中の『The Cool Kids(原題)』は、若いハートを忘れないお年寄りたちが織りなすドタバタ・コメディ。老人ホームを舞台に、まだまだ元気な3人の男性と肝の座った1人の女性が、こてこてのギャグの応酬を繰り広げる。ベタなジョークから下ネタまでてんこ盛りで、あえて狙った古いテイストがクセになるシリーズだ。

【関連記事】こんなにたくさんある!コメディドラマ一覧はこちらからチェック

■穏やかなだけが余生じゃない!
本作のメイン・キャラクターは、揃いも揃ってエネルギー溢れる面々。ハンク(デヴィッド・アラン・グリア『ジュマンジ』)、チャーリー(マーティン・マル『サブリナ』)、そしてシド(レスリー・ジョーダン『ボストン・パブリック』)たちは、老人ホームで騒々しい日々を送っている。心なしか元気がないのは、親しかった4人目の仲間を亡くしたからだ。

気の利いた追悼会を開きたいというトリオからは、若者もびっくりするアイデアが飛び出す。砂漠で開催される自由奔放なアートイベント「バーニングマン」のようなことをしたいというハンクに、「人間を焼きたい?」とシドはピントのズレた受け応え。チャーリーは「違う、砂漠の性の祭典だ。俺は毎年行っている」となぜか若さを猛アピール。しっかりしているようで、それでいてどこかズレた老人たちの間に、今日も元気いっぱいの世間話が絶えない。

さて、追悼会の考えがまとまらないうちに、傲慢なマーガレット(ヴィッキ・ローレンス『グレート・ニュース』)が登場。亡き仲間がいつも占めていた大切な座席に、どっかりと腰を下ろす。口の悪い彼女は3人の悪態をついて憚らないが、とりわけリーダー格のハンクとは折り合いが悪い様子。マーガレットを厄介払いしようと画策するハンクだが...。テンポよく飛び出すギャグと、4人の関係性の変化が気になる作品だ。

■周回遅れのコメディ・スタイル
コメディ番組としては周回遅れのスタイルをあえて踏襲した本シリーズ。たとえば「血圧を抑える俺の薬を、奴はよく勃起薬にすり替えていたなあ」というシドの一言で下ネタが始まり、いかにも後付けといった風の笑い声(ラフ・トラック)が被さるという具合。ベタなジョークを連発するテンポは秀逸そのもので、米Hollywood Reporterはフリ・オチ・反撃のループを延々と楽しむことができる、とコメント。現在もなおマルチカム形式のコメディを好む懐かしいスタイルのファンは多く、こうした人々は特に楽しんで観られるだろうと述べている。マルチカムとは、60分ドラマのようにカット毎に丁寧に撮影して編集で継なぐのではなく、セット前に複数のカメラを配置して一気に収録する方式のこと。往年のコメディ番組に多用されていた撮影方法だ。

テイストの古さに触れているのはLos Angeles Times紙も同様。「低いところに実った果実を収穫している」との言い回しで、安易な笑いを多く取り入れている点はきっちりと指摘している。しかし、あえてこの路線を究めていることが他作とは違うとも評価。本作の老人たちはスクーターに挑戦したり、ダンスクラブに繰り出したりと、徹底して若者らしいレジャーに挑戦する。チープな笑いを躊躇せず放っており、その思い切りの良さが評価されているようだ。

■シルバー世代の現役スターたち
メインキャストには素晴らしい俳優が揃う。Hollywood Reporterは、リーダー格のハンク役を演じるデヴィッドはじめ、4人のメインキャストを紹介。名優である彼らにとって、コメディは朝飯前だと力説する。寝ながら演じても素晴らしい作品が撮れるだろう、とオーバーな表現でその技量を強調している。

Los Angeles Times紙は、俳優陣の実年齢を紹介。メインキャストは63歳から75歳までと、経験たっぷりの逸材が揃う。彼らが繰り広げるテンポの良い掛け合いは必見だ。同紙はキャストの演技について、並外れて素晴らしいと絶賛。ドラマがウケている場面であれスベっている場面であれ、キャラクターたちはいつも愉快に感じられる、と述べている。

絶え間ない定番ジョークの波が視聴者を呑み込む『The Cool Kids』は、米FOXで放送中。(海外ドラマNAVI)

Photo:Kathy Hutchins / Shutterstock.com