キャラや着こなしはどう違う?オリジナルと日本版、2つの『SUITS/スーツ』

ニューヨークの法律事務所を舞台に、辣腕弁護士ハーヴィー・スペクターと天才的な頭脳を持つ青年マイク・ロスの活躍を描く大ヒットドラマ『SUITS/スーツ』。現在、そのシーズン1をリメイクした日本版がフジテレビで放送され、原作のスタイルを踏襲した、スタイリッシュでテンポの良い一話完結型ドラマとなっている。今回は2つを比較して、ちょっと面白い共通点や違いをいくつかご紹介しよう。

ここまでに放送された日本版のエピソードは、かなり原作に近い。ただし、舞台が日本ということもあり、細かい設定などで違う点も。例えば、マイク(日本版の鈴木大貴)は弁護士資格がないことをごまかして事務所に入るのだが、そのごまかし方が異なる。また、彼の悪友の妹というキャラが新設されている。

日本版で主役のハーヴィーに当たる甲斐正午を演じるのは織田裕二。彼といえば熱血漢的イメージも根強いが、甲斐は「勝ち」にこだわる、ちょっと嫌味な敏腕弁護士。ハーヴィーを思わせる所作や台詞回しも多く、原作のイメージをかなり重視して役作りしていることが感じられる。

とはいえ、甲斐ならではの魅力も。例えばハーヴィー役のガブリエル・マクトは1972年生まれ。シーズン1当時は30代後半だった彼に合わせてハーヴィーは若きやり手弁護士で、若さと不遜な物言いのバランスも魅力の一つだ。一方の織田は現在50歳で、大人の色気と風格たっぷり。辛辣さの裏に重みや円熟味を備え、相棒の鈴木に対しても育てる側としての、どこか優しい目線を感じさせる。ちなみに甲斐の相棒である鈴木役の中島裕翔は、シャープな長身と優しげな顔立ち、さらに時々見せる情けない表情が、かなりマイク感あり! 甲斐の薫陶を受けてスーツ姿がこなれていく経過も楽しみなところだ。

日本版の舞台は東京で、同地住まいの人にとっては馴染みのある景色が多い。第2話で甲斐に勧められて鈴木がスーツを仕立てに行くのは、高級紳士服店「英國屋」銀座本店。安いスーツ姿で入店した鈴木は「失礼ですが、当店にはあなたのお探しのものはありません」と言われてしまうが、これはオリジナルにもあるシーン。英國屋の人はそんなこと言わないだろうと思わなくもないが、超一流テーラーの店内を覗くことができる面白い場面だ。

男性キャラがスーツの着こなしによってそれぞれの個性を主張するのも『SUITS』の魅力。ハーヴィーなら男性的な強さを強調するクラシックスタイルを現代的にまとめた着こなし。甲斐も三揃いやワイドな襟など、同じような特徴のスーツを着ている。ちなみに紳士服では長らく超細身のシルエットが流行していたが、ここ数年はややゆったりめのクラシックスタイルに注目が集まっている。ハーヴィーや甲斐の着こなしは、ぴったりスーツをそろそろ卒業したい人にとって「大人の男」の手本となるかもしれない。

オリジナルは働く女性たちのファッションも注目ポイント。きちんと感がありながらもエレガントで女性らしいスタイルが多い一方、日本のオフィスではちょっと浮いてしまうほどセクシーな着こなしが多いのも事実。鈴木保奈美や新木優子、中村アンが出演する日本版は、より現実的に真似しやすいコーディネートで、セクシーさや優雅さは残しつつ肌の露出や体のラインの出し方がほどよく調節され、すぐに参考にできそう。

共通点も違う部分も、それぞれに面白い2つの『SUITS』。この夏、アメリカでシーズン8に突入したオリジナルも、昨日第4話が放送され今後ますます盛り上がるであろう日本版も、どちらも目が離せない。(海外ドラマNAVI)

Photo:『SUITS/スーツ』
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