エミー賞総なめコメディ『マーベラス・ミセス・メイゼル』にシーズン2 コメディアンか家庭か、選択迫られるミッジ

Amazon Prime Originalの60分番組『マーベラス・ミセス・メイゼル』は、お金持ちの奥様が突如芸の道を志す話題のコメディ・ドラマ。笑いだけでなく温もりと勇気を届けてくれるストーリーが人気だ。シーズン1はゴールデン・グローブ賞を受賞したほか、エミー賞のコメディ部門をほぼ総なめに。このたび公開されたシーズン2で主人公ミッジは、キャリアと家庭の二択を迫られる。

♦満ち足りた主婦、離婚のピンチで新たな才能が開花

1958年のNYマンハッタン。高級住宅街に住み、大学卒の学歴を持ち、愛する夫と二人の子供にも恵まれたミッジ(レイチェル・ブロズナハン)。その生活は、まさに彼女の描いた理想通りだった。しかしある晩、仕事の失敗に苛立った夫ジョール(マイケル・ゼゲン)は、それまで秘書と不倫していたことを明かした上に、ミッジの元から去ってしまう。ワインをあおったミッジは勢いに任せ、バーのステージで観客に向かって自らの不運を面白おかしく語る。聴衆の爆笑を誘ったこの夜が、彼女のコメディアンとしての初舞台となった。

先日配信が始まったシーズン2では、元夫ジョールがミッジの二重生活に気付き始める。生計を立てるため昼間はデパートの電話交換手として働く彼女は、夜になるとニューヨーク界隈で舞台に立ち、聴衆を笑いの渦に。トークが話題を呼び、いつしか業界のビッグネームにも注目されるようになっていた。ジョールはコメディアンとしての活動を知った上でよりを戻したいそぶりを見せるが、ミッジの反応は...?

♦人気急上昇の傑作コメディ

スマッシュ・ヒット作品にシーズン2が登場した、と歓迎するのは英Telegraph。テンポが良く笑える作品で、しかも心温まるストーリーだと評価している。Amazon Primeで人気が沸騰した本作シーズン1は、ゴールデン・グローブ賞で2つの賞を受賞。エミー賞ではコメディ部門で7つの賞が送られ、同部門をほぼ制覇。さらに音楽監督賞も贈られた。

愉快で軽妙なドラマだ、とコメントするのは米Entertainment Weekly。一度目は派手な衣装に目を奪われ、二度目はキャラクターの心情の機微に没入できるという、一本で二度おいしいドラマだ。中盤となる5話以降では、後述するある選択にミッジが苛まれる。周囲を巻き込んだ彼女の決断は興味深く、コメディでありながらヒューマンドラマとしての厚みも備える点が人気の秘密のようだ。

♦キャリアか? 愛する元旦那か?

今シーズンでミッジは、キャリアと人間関係の二択に迫られる。Telegraphはこの問題の複雑さを解説している。彼女のトークのスタイルは、身内のネタを面白おかしく観客に披露するというもの。コメディアンとしてのさらなる出世は、ジョールや友人たちとのプライベートの切り売りを意味する。元夫や友人からの信頼とプロコメディアンとしての道を両立できるのか、ミッジの選択に注目したい。特に別れた夫ジョールとの関係は、復縁か否かを決める大切な時期に差し掛かっている。なんとか関係修復を試みる二人だが、それが胸を締め付け、そして愛情を感じさせる。しかし、甲斐性のないジョールとコメディアンとして成功しつつあるミッジの間には決定的な溝ができつつあり、復縁は楽観視できない。互いへの思いが胸中にありながらも将来を決断できない二人。視聴者にとっても彼ら自身にとっても、もどかしい時間がしばらくは続きそうだ。

さらに、仮に復縁が叶ったとしても、ミッジにとって福音とは限らない。1950年代のドラマの世界において、ミッジがジョールと縁を戻すことは、芸の道を諦め家庭に戻ることにも繋がる。Entertainment Weeklyは、作中の大御所コメディアンのセリフを引きながら、この事実を指摘。「(自宅のキッチンで)またゼリーを作る生活に戻れると本当に思うのかい?」とのコメディアンの問いに対し、彼女の答えは果たして?

注目度急上昇の『マーベラス・ミセス・メイゼル』シーズン1と2は、Amazonプライムで配信中。見どころなど作品情報はこちらから。(海外ドラマNAVI)

Photo:Prime Originalシリーズ『マーベラス・ミセス・メイゼル』