女優としてキャリアをスタートし、後に映画監督として活躍したペニー・マーシャルが12月17日(月)、糖尿病に伴う合併症のためカリフォルニア州ハリウッドヒルズの自宅で亡くなった。75歳だった。トム・ハンクスら交友のあった俳優らがコメントを発表している。米Varietyなど複数のメディアが報じた。
マーシャル監督は、1976年から8シーズン続いたシットコム『ラバーン&シャーリー』のラバーン役で主演し、一躍お茶の間の人気者に。その後、女優が監督業にキャリア転換するということがほとんどない時代に1979年から監督への道を歩み始める。当時は、そのように方向転換するマーシャル監督をあざ笑う者もいたような時代だった。
『ラバーン&シャーリー』のエピソードを監督し、米国監督協会DGA(Directors Guild of America)への仲間入りの切符を手に入れる。そして1986年の『ジャンピン・ジャック・フラッシュ』で映画監督デビューを果たし、1988年の『ビッグ』で女性監督初となる興行収入1億ドルを超える大ヒット作を生み出した。
その後も、アカデミー賞作品賞など3部門で候補となった『レナードの朝』や『プリティ・リーグ』といったヒット作でメガホンを取る。また映画『プリティ・ウーマン』などで知られ、2016年に亡くなった映画監督ゲイリー・マーシャルは実の兄でもあり、監督業には自然と親しみを持っていたのかもしれない。
そんな女性監督の草分け的存在だったマーシャル監督の訃報を受けて、業界関係者より追悼コメントが寄せられている。映画『スタンド・バイ・ミー』や『ア・フュー・グッドメン』の監督で、俳優としても活躍する元夫のロブ・ライナーは、「ペニー、愛しているよ。私は彼女と共に成長したんだ。持って生まれた才能のある女性だった。ユーモアがあってそれをどう生かすかを本能的に知っている人だった。寂しくなるよ」とツイートしている。
・トム・ハンクス(『ビッグ』『プリティ・リーグ』出演)
「さようなら、ペニー。ああ、僕たちたくさん笑ったね。今も一緒に笑いたいよ。愛しているよ」
・ロバート・デ・ニーロ(『レナードの朝』主演)
「ペニーがいなくて寂しいよ。安らかに」と取材に応じた。
・マーク・ウォールバーグ(マーシャル監督作『勇気あるもの』で映画デビュー)
当時のものと思えるモノクロ写真と共に、「安らかに。なんて素晴らしくて面白くて、才能豊かな女性だったのだろう。彼女のサポートと激励がなければ僕は今ここに存在しない。寂しくなるよ」
・キャロル・キング(歌手)
「友人のペニーがいなくなってしまい、ただただ悲しいわ。ペニー、この世に色々なものを与えてくれてありがとう。ペニーが私に曲を書いてと言ってくれなかったら、これは存在しないの」と、『プリティ・リーグ』のエンディング曲である「Now and Forever」のビデオを掲載。
・ヴィオラ・デイヴィス(『殺人を無罪にする方法』主演)
「安らかに、ペニー・マーシャル。貢献してくれてありがとう。一緒に仕事ができて光栄です」
・ジェイソン・プリーストリー(『カレンダーガール』主演)
「ペニー・マーシャルと仕事ができてとても幸運だった。彼女は比類なき才能の持ち主で、とても心優しい人間だった。安らかに」
その他にも、ウィリアム・シャトナー(『スター・トレック』シリーズ)、ビリー・クリスタル(『恋人たちの予感』)、ベット・ミドラー(『ローズ』)、ジョッシュ・ギャッド(『オリエント急行殺人事件』)、ヴィンセント・ドノフリオ(『Marvel デアデビル』)など数多くの著名人がマーシャルを偲んだ。
女優から女性監督という道を切り開いたペニー・マーシャルがいなければ、業界での女性の躍進はもう少し遅れていたかもしれない。ご冥福を心よりお祈りしたい。(海外ドラマNAVI)
Photo:ペニー・マーシャル
(c)FAM009/FAMOUS