LAスクリーニング2018:射殺されたパートナーを持つ同性愛者を『ER』ノア・ワイリーが熱演する問題作『The Red Line』

ここ数年全米で再浮上して大きな社会問題となっている警察と黒人の間で根強く残る人種問題、そしてそれを超えた人間同士の絆を描いた問題作がこの『The Red Line』だ。

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舞台はシカゴ。全米の中で最も治安が悪いとされる大都市の一つだが、学校教師で白人のダニエルと医者で黒人のハリソンは平穏無事な日々を送っていた。二人は白人と黒人男性の同性愛者カップル。養子に迎えた娘もすくすく育って、将来はパパのような医者になりたいと張り切っていた。そんな幸せな家族に悲劇が訪れる。

ダニエルに頼まれて近くのコンビニまで牛乳を買いに行ったハリソンが強盗事件に巻き込まれたのだ。白人の店主に銃を向ける犯人は黒人。店主は震える手でカウンターの下にある消音アラームを鳴らして警察に通報した。現場に急行する警官たち。

物音に驚いて逃げ出した犯人を見て、ハリソンは動揺する店主をなだめようと近づいた。負傷していた店主を見て、「私は医者だから大丈夫ですよ」と手を添えた瞬間、若い警官ポール・エヴァンズが飛び込んで来る。そして何も言わずにハリソンに向けて発砲。何が何だかわからず崩折れるハリソン。

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ダニエルが駆けつけたとき、ハリソンは既に亡き人となっていた。それも警官による完全なミスによる射殺だという。愕然とするダニエルと娘のジラ。遺された父娘にとって悪夢のような生活が始まった。優等生だったジラの成績は急降下を始め、ダニエルもハリソンの死は買い物を頼んだ自分の責任でもあると、罪の呵責に苛まれる鬱な日々を送る。

警察ではたとえ非が仲間にあろうとも違法行為を行ってでも同胞を守ろうとする動きがある。今回の誤殺も同様だった。これに加えて警察署自体もスキャンダルから守ろうと、警察官エヴァンズを擁護する動きが始まる。やがて行われた裁判ではエヴァンズ無罪の判決が下される。愛する人を奪われ、人生をメチャメチャにされたダニエルとジラにとって、この世に正義など存在しないかに思われた。だが、仲間の無罪をバーで祝う友人たちのなかで、エヴァンズは浮かない表情を隠しきれなかった。この悲劇の行く末には何が待っているのか。

人気ドラマ『ER 緊急救命室』のノア・ワイリーが、パートナーを射殺された子持ちの同性愛者の男性を熱演。久々に全米ネット局のドラマで活躍する。

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製作スタジオ:ワーナー・ブラザーズ・スタジオ
放送局&放送開始日:2019年、CBSにてプレミア放送予定
製作総指揮:グレッグ・バーランティ(『リバーデイル』)、エヴァ・デュヴァネイ(『グローリー/明日への行進』)など
出演者:ノア・ワイリー(『ER 緊急救命室 』)、ノエル・フィッシャー(『シェイムレス 俺たちに恥はない』)、エマヤツィ・コーリナルディ(『ハンド・オブ・ゴッド』)ハワード・チャールズ(『マスケティアーズ/三銃士』)ら

※パイロット版のため、放送時にはストーリーや出演者が変更されている可能性あり。

(取材・文:明美・トスト/Akemi K Tosto)

Photo:『The Red Line』
(C) Warner Bros. Entertainment Inc.