米Huluが実写ドラマ化した『マーベル ランナウェイズ』は、同じ学校に通いながらも話もしない高校生6人が集い、両親たちとの対決を通じてスーパーパワーに目醒める青春アクション・シリーズ。マーベル・シネマティック・ユニバースに属し、同ブランドの他のアクション大作と世界観を共有する。12月下旬、待望のシーズン2が登場した。
♦両親は悪の組織
6人の少年少女たちは前シーズンの冒頭で、親たちが属する慈善団体「ザ・プライド」の秘密を知ってしまう。深夜に集い、少女を殺害していたのだ。現場を目撃した彼らは家に留まることができなくなり、逃亡生活をスタート。さらに悪いことに、親たちは特殊能力を持ったスーパーヴィランであることが判明する。シーズン終盤では窮地に陥るも、マーベル作品の意外なヒーローに救われることとなった。
「ザ・プライド」の魔の手が去ったシーズン2では、ロサンゼルスの隠れ家に移った少年少女に、街のヴィランたちが襲い掛かる。前シーズンでの闘いを通じ、その身に宿るスーパーパワーに目醒めたメンバーたち。黒魔術を使いこなすニコ(岡野りりか)、宇宙人の血を引き飛行能力を持つカロリーン(ヴァージニア・ガードナー)、恐竜のおもちゃを操ることのできるガート(アリエラ・ベアラー)など、不思議な能力に覚醒した面々がチームワークを発揮して危機を乗り切る。
♦物語の真のスタート
第1シーズンは脇道とストーリーの足踏みが目立ったという米Vultureは述べる。しかし、今期は期待したような展開になっていると一定の評価を与える。戦闘用グローブなどの発明が得意なチェイス(グレッグ・サルキン)や天才的頭脳でチームの指揮を執るアレックス(レンジー・フェリズ)など、チームメンバーの能力を活かした活躍が大きな魅力だ。悪の集会を開く親たちから、才能豊かな高校生グループがいかに逃れるかというのがストーリーの主題。シーズン2では、この設定の面白さを引き出すことに成功したと同誌は分析している。本作の最大の特徴は、疾走感と神話的モチーフにあふれた物語を、多くのキャストを通じて描き出している点。そのユニークな設定がついに花開いた格好だ。
シーズン2の躍動感ある展開を喜ぶのは米AV Club誌も同様。前シーズンでは山場となる最終話までの道のりが長かったと振り返る。一方、今期はシーズン1で積み残していた要素をシーズン半ばで早々に解決しているほか、新たに導入されるサイド・ストーリーにも、興奮のシーンや良心の呵責など興味を持って観られる題材が盛り込まれている。より伸びやかなストーリー・テリングを楽しむことができると同メディアは評価している。
♦チームの絆、そして恋
メンバー間の人間模様も見どころの一つ。恐竜のおもちゃを操る少女ガートと、発明家チェイスの間に芽生えた恋にVultureは注目。正反対の性格をもつ二人だが、それだけに互いの欠点を補うようにして惹かれ合う。周りのことが目に入らないまでに夢中になり、やがて訪れる不信と裏切りの谷を越えて、かけがえのないパートナーと言えるまで関係性を高めてゆけるのか。ダークなシーンの多い作品だが、青春のサイド・ストーリーにも注目したい。
一方、AV Club誌は、ストーリー展開のキレに今シーズンの良さを見出している。反対に、人間関係の描写は前進感を奪ってしまうと批評。ガートとチェイスの恋や、ニコとカロリーンの人間関係のストーリーは、若干間延びした印象を作品に与えてしまうと見ている。このあたりは批評家の好みにもよるだろう。
ティーンエイジャーのチームという、マーベルの世界としては異色の作品となる『マーベル ランナウェイズ』。シーズン2は現在米Huluで配信中だ。日本ではHuluでシーズン1を配信中。(海外ドラマNAVI)
Photo:『マーベル ランナウェイズ』©2017 MARVEL & ABC Signature Studios