2018年米国で最も観られたテレビ番組10本 1位は打ち切りになったあのドラマ...

リサーチ会社ニールセン発表による、2018年アメリカの最多視聴番組が明らかになった。今年の傾向は、タイムシフトによる放送当日以外の視聴と、番組間の競争の激化。熾烈な争いを勝ち抜いて1位に君臨したのはドラマ『Roseanne(原題)』だが、とある悲劇により放送が打ち切りになっている。

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■第1位が打ち切りに

1位のシットコム『Roseanne』はある意味で衝撃的。視聴者数でトップに輝いた同番組は、わずか9回の放送でキャンセルされたからだ。元々は1988年から1997年に放送されていた同作を今年春にリバイバルし、視聴者を喜ばせた。ところが、主演女優ロザンヌ・バーのTwitter上での差別発言を受け、放送中止が決定した。

1位のショッキングな顛末を振り返る米TV Guideは、今年最も人気だった番組はもう放送すらされていない、と悲しむ。米ABCで放送されたリバイバル版の初週には1844万人という絶大な視聴者数を獲得したものの、主役の攻撃的なツイートが波紋を呼び、3月にシリーズは打ち切り。その後、主役以外で構成するスピンオフ『The Conners(原題)』が10月から放送されている。

■タイムシフト視聴が顕著に

2018年の番組視聴の傾向としては、放送当日のリアルタイム視聴ではなく、録画やオンデマンド放送によるタイムシフト視聴が増えている。

Netflixなど配信サービスが人気を集め、既存のTV番組にとっては必ずしも視聴者数に恵まれた年ではなかった、と振り返る米USA Today。それでも7位の新作ドラマ『Manifest(原題)』は、タイムシフトによる視聴で数字を稼いだ話題作となった。USA Todayによると、同作の第1話の放送当日視聴者数は1040万人。録画などを観た視聴者もかなり多く、放送後1週間で計1840万人と、初日の約180パーセントにまで数字を伸ばした。11月までの平均視聴者数は1400万台に落ち着いたものの、放送第一週の数字としてはトップを誇っている。他の番組についても一般に、録画などによるタイムシフト視聴が多い、とUSA Todayは伝えている。この傾向はケーブルテレビで放送される番組に顕著のようで、放送終了後から翌週までに数字が大きく伸びるという面白い現象が起きている。

ただし、人気番組が勢いを増す一方で、番組間の視聴者数争いはより熾烈に。2018年は既存作にも新番組にも恵まれたと述べる米BGRは、視聴プラットフォームが分散するにつれ、特定の人気番組以外は数字を稼ぐことが難しくなっているとも指摘する。安定した人気を誇るのは、やはり伝統的手法のドラマ。凝ったカット割りはせずに複数台のカメラで一気に撮影する「マルチカメラ」形式のシットコムや、犯罪捜査番組などがいまだに根強い人気とBGRは述べる。

■10位までのランキングはこちら

ニールセン発表による、米国の主要局(ネットワーク)で放送されたTV番組の人気ランキングは以下の通り。2位のスポーツ中継と9位のオーディション番組を除き、実に10本中8本がドラマ作品が占めた。集計対象は5回以上放送された5分間以上の連続番組で、録画やオンデマンドなどリアルタイム以外の視聴も含む。(2018年1月1日〜11月18日放送分。数字は平均視聴者数)

1.『Roseanne』(ABC/1996万人)
2.『NBC SUNDAY NIGHT FOOTBALL』(NBC/1956万人)
3.『ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則』(CBS/1833万人)
4.『NCIS ~ネイビー犯罪捜査班』(CBS/1672万人)
5.『THIS IS US』(NBC/1659万人)
6.『Young Sheldon』(CBS/1567万人)
7.『Manifest』(NBC/1462万人)
8.『グッド・ドクター 名医の条件』(ABC/1452万人)
9.『AMERICA"S GOT TALENT』(NBC/1427万人)
10.『BULL/ブル 法廷を操る男』(CBS/1351万人)

(海外ドラマNAVI)

Photo:ロザンヌ・バー
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