アメリカで値上げのNetflix、原因はパスワードを共用しているユーザーのせい!?

Cordcutting.comの最近の調査によると、他者とパスワード共有をしている人たち(フリーローダー)により、Netflixは年間で23億ドル(約2500億円)も損をしているという。米Yahoo Financeは、Netflixの12年間の歴史の中でこの数字が積み重なったことが、同サービスの大幅な値上げに反映されたと推測している。

Netflixはベーシックプランを8ドルから9ドルに、最も人気のあるスタンダードプランを11ドルから13ドルに、そして最も高いプレミアムプランを14ドルから16ドルに、それぞれ値上げした。

パスワード共有により失われた利益を計算するため、今回の調査では米国で暮らす18歳から81歳の1127人を対象に、使用状況についてアンケートを実施。既存のユーザー数を見ると、Netflixについてはサービスを利用したことのある2400万人が支払いをしていないという見積もりが算出された。その結果、最低料金の7.99ドルで計算すると、年間23億ドルの収入を失っていると推定されたのだ。

単刀直入に言えば、Netflixのリード・ヘイスティングスCEOは、パスワードの共有を制限するつもりはない。2016年にラスベガスで開催されたConsumer Electronics Showにて、CEOはパスワードの共有が他者に勝つための最初のステップになると考えていると明かしていた。

「ソファに二人いようが、10人いようが、私たちはNetflixを共有する人たちを歓迎しています。(パスワードの共有は)ポジティブなことであり、ネガティブなことではありません」

しかし現在、Netflixの思惑を超えて、パスワードの共有を監視するための開発が進んでおり、近い将来、フリーローダーも自身のアカウントを作らなければいけなくなるかもしれないという。この開発を進めているのが、英国に拠点を置く新興企業のSynamedia。同社はパスワードの共有を検知するAIを発表した。

調査によれば、もしNetflixが「すべてのユーザー」に課金を求めた場合、少なくとも毎月1億1200万ドル(約123億円)の収益を生むことができるという。回答者の約60%は、パスワードの共有を検知された場合、Netflixの利用料を支払う意思があると回答しているという。ちなみに、この数字は、米Huluでは40%、米Amazonプライムでは27.6%と少なくなっており、Netflixが圧勝。パスワードの共有による両社の年間損失額は、Huluが4億8000万ドル(約530億円)、Amazonプライムが5億4000万ドル(約600億円)と推定されている。

また、ミレニアル世代がNetflixとHuluで、ベビーブーマー世代はAmazonプライムでパスワードを共有している傾向にあることも判明。ほとんどのフリーローダーは、両親のNetflixとAmazonプライムを使用しており、特に男性がAmazonプライム、女性がNetflixを頼りにしていることもわかった。

結果として、今回の調査では、X世代の人たちが最も誠実に動画配信サービスを利用しているということが証明された。(海外ドラマNAVI)

Photo:Photo:Netflix