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テレビ史に名を刻む傑作『ブレイキング・バッド』とその前日譚スピンオフとして誕生した『ベター・コール・ソウル』。
この2つの作品には、どちらの主人公にも「良心を持った相棒」がそばにいたという共通点がある。しかし、この二人の“相棒”には、決定的な違いがあった。米Screenrantがその違いを分析しているので紹介したい。
良心を担う存在としての“相棒”
『ブレイキング・バッド』で、ウォルター・ホワイトの相棒だったジェシー・ピンクマンと、『ベター・コール・ソウル』でジミー・マッギル(ソウル・グッドマン)のパートナーであるキム・ウェクスラー。
『ブレイキング・バッド』において、ジェシーはウォルトの犯罪に加担しながらも、暴力や人を傷つけることに強い罪悪感を持っており、常に良心を持ち続けるキャラクターだった。ウォルトが暴走すれば、彼を思いとどまらせようとする。
一方、『ベター・コール・ソウル』のキムも、ジミーの道徳的堕落の物語における良心的存在として描かれる。彼女は彼の行動を止める一方で、ときに共犯者として深く関与する姿も見せる。
一見似たポジションに見えるこの二人だが、その関係性には決定的な違いが存在する。
パートナーか、犠牲者か
二人の最大の違いは、主人公との関係の「主導権」にある。
ジェシーは物語を通じてウォルトに操られ、利用され、精神的にも肉体的にも傷つけられてきた。もちろんジェシーが完全無欠の人間で、悪いことをしなかったわけではない。しかし、ウォルトにとってジェシーは“駒”に過ぎず、その行動の多くはウォルトの操作の結果だった。
一方でキムは、ジミーの完全なる「共犯者」であり、対等なパートナーだった。ジミーは彼女を騙すことはあっても、彼女を操ることはなかった。キムは常に自らの意志で動き、ジミーの計画に意見し、時に修正さえ加えていた。
実際、キム自身が「私たちはお互いを堕落させる存在だった」と語っており、二人の関係が対等であったことを裏付けている。
キムとジェシーが交差した瞬間
『ベター・コール・ソウル』終盤では、キムとジェシーが短いながらも印象的なシーンで交差する。互いに“破滅に片足を突っ込んだ相棒”として、どこか通じ合うような空気が漂っていた。ここに、シリーズ全体を通じて描かれてきた“相棒の役割”の対比が、鮮やかに浮かび上がる。
シリーズを通して描かれた「堕ちていく主人公」と「それを支える良心」。だが、その支え方には大きな違いがあった。犠牲にされた相棒と、共に堕ちたパートナー。あなたはどちらに心を動かされるだろうか?
『ブレイキング・バッド』と『ベター・コール・ソウル』の全シーズンは、Netflixにて配信中。(海外ドラマNAVI)
Photo:『ブレイキング・バッド』©︎2008-2013 Sony Pictures Television Inc. All Rights Reserved.