オリジナル作品の提供に力を入れているYouTubeの有料版サービスYouTube Premiumから、SFコメディ『ウィアード・シティ』が登場。クールなアプリやガジェットの溢れる未来の都市で、ホッと心温まるユーモアと人間ドラマが展開する。全6話の視聴にはYouTube Premiumの購読が必要。2話までは無料公開中。
♦︎出会い系サイトから辿る運命の糸
近未来の都市、ウィアード・シティ。上層世界の住人である若い男性・スチュ(ディラン・オブライエン)が出会い系サイトに登録すると、妻を亡くした初老の男性・バート(エド・オニール)となぜかマッチング。ゲイではないスチュだが、これも何かの縁とばかりに下層世界に一緒にディナーへ。食べ物の好みも好きなTVも不思議なほどぴったりだったスチュとバート。別れ際に思わずハグしそうになり、それを恥じらうと奇妙な沈黙に包まれる。
翌日偶然の再会を果たした二人は、同性という壁も親子ほどの年の差も忘れ、そのままベッドにダイブ。バートの優しい瞳とおかしなユーモアのセンスに惹かれたスチュは、あっという間に惹かれてゆく。ところが出会い系サイトに勤める研究者が告げた真実をきっかけに、二人の愛が終焉に近づき...。架空の都市ウィアード・シティを舞台にした、ハートウォーミングなコメディ・アンソロジー。
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♦︎優しいユーモア、そして鋭い風刺
エネルギーとウィットに富んだ作品、と米Los Angeles Times紙は評価。全6話という構成はボリューム感にこそ欠けるものの、画面から溢れる活力はそれをカバーして余りあるほど。各話が完全に独立したアンソロジー形式のため、好きなときに好きなエピソードから観ることができるのも嬉しい。メディア向けに最初と最後のエピソードが公開されているが、これら2話を鑑賞した同紙記者は、残りのエピソードもすべて視聴したい衝動に駆られたほどだという。
最終話は、上層世界で放映中の犯罪ドラマに登場するキャラクターたちの物語。20分弱という短いエピソードだが、豊富なユーモアを楽しむことができる。垢抜けない解説パートが続いた後は、ドラマのキャラクターがそれに対して愚痴をこぼすといった、メタ視点のジョークも。『ウィアード・シティ』は、基本的にゆったりとしたストーリーと、くすりと来るセリフを楽しむタイプの作品。しかし、ときに偏見への鋭い風刺を不意に挟んでハッとさせるなど、油断ならない秀作となっている。
♦︎懐かしいSF世界
見知らぬ都市と道具が楽しい本作の世界観を、米IndieWireは「そう遠くはない未来」と表現。貧富の差で分断された世界という設定だが、それほど悲惨なディストピアが描かれているわけではない。下層世界でも一般的な現代の家庭ほどの描写となっており、身構えずに観ることができる。
決してハードなSFではないが、目が離せない本作。Los Angeles Times紙はその秘密はを、軽快なテンポで登場する近未来のグッズにあると解説する。まるでスキップのような軽やかなペースでガジェットが登場し、二つの世界の架け橋となるシャトルや、デジタル画面で飼育するペット、そして体内に埋め込まれたアプリなど、さまざまな装置がとめどなく姿を現す。現代に似ているようで少し違う不思議な近未来の街を、ガジェットと気の利いたジョークが彩る本作。元気いっぱいの目が離せない作品だと同メディアは述べている。
各話20分ほどで気軽に楽しめる『ウィアード・シティ』は、日本でもYouTube Premiumで公開。シーズン1最初の2話を無料視聴可能だ。日本語字幕も歯車のアイコンから選択できる。(海外ドラマNAVI)
Photo:
ディラン・オブライエン&エド・オニール
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