Netflix『ターン・アップ・チャーリー』イドリス・エルバが贈る心温まる笑い

2018年に米Peopleが選ぶ「最もセクシーな男性」に輝いたイドリス・エルバ(『刑事ジョン・ルーサー』)が主演、共同クリエイターとして名を連ねる『ターン・アップ・チャーリー ~人生アゲていこう!~』。初の黒人ジェームズ・ボンドになるか、と話題の彼のお茶目な部分が見られる、イギリス発のNetflixオリジナルシリーズだ。自身もDJとしての顔を持ち、ヘンリー王子とメーガン妃の結婚式のレセプションにも呼ばれたというイドリスのDJ姿が見られるこのコメディ。40歳を超えてもキュートなパイパー・ペラーボ(『コヨーテ・アグリー』)とともに、耳に心地良いダンスナンバーと笑いを楽しもう。

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売れないDJへの仕事の依頼はベビーシッター

一発屋で今はまったく売れないDJのチャーリー(イドリス・エルバ)は、ガールフレンドにもフラれ、ナイナイ尽くしの状態で叔母の家に居候している。それに引き換え、子どもの頃からの親友デヴィッド(JJ ・フィールド)はハリウッドで俳優として成功し、有名なDJである妻のサラ(ハイパー・ペラーポ)とともに生まれ育ったロンドンに戻ってきた。そんなデヴィッドからの「仕事の相談」に期待するチャーリーだが、デヴィッドとサラの依頼は、音楽のコラボレーションでなく、なんとベビーシッターだった。

デヴィッドとサラの11歳になる娘、ギャビー(フランキー・ハーヴェイ)は多感な時期。両親ともに忙しくてなかなか構ってもらえない寂しさを、ベビーシッターへの嫌がらせや生意気な態度でごまかしている。そんな彼女に振り回されるチャーリーは、ギャビーと仲良くなり、デヴィッドとサラの応援を受けられれば音楽業界にカムバックできる、と奮闘するが......。

使い古されたストーリー、だが温かさが心地良い

英Financial Times紙はこのコメディには「温かい心」が込められていると評する。イドリスのコメディといえば、過去には英Sky Oneで放送された『In the Long Run(原題)』があり、本人の幼少期が元になった本作はアフリカのシエラレオネから来た家族が文化のまったく異なるイギリスで起こすひと騒動を描いていた。『ターン・アップ・チャーリー』でも、ナイジェリア人のチャーリーの両親と叔母がドラマにピリッとスパイスを与えている。周りの空気を読むことなく、自由で奔放、すぐ怒るけど優しい叔母と、子供のチャーリーを愛しているがかなり手厳しい母親と、ステレオタイプなアフリカ人女性が魅力的に描かれている。もちろん、典型的なイギリス人キャラクターも存在してストーリーに温かい笑いをもたらしているとして、星4つの評価を獲得した。

米Entertainment Weekly誌も、ギャビーといる時のチャーリーを演じるイドリスは「ちょっと田舎臭い魅力」を放ち、魅力的としているものの、総合評価はB。Financial Timesと同じく満点まであと一歩だった理由は、ストーリーが定番な点にあるようだ。これまで家に来たベビーシッター全員を追い出していたギャビーが、チャーリーだけは近くにいていいとするストーリー展開に、「物語がこれからどうなるか、大体わかる」とEntertainment Weekly。同誌は、「これが90分の映画で、イドリスがここまで有名でなかった頃なら一番良かったのかもしれない」と評している。

とはいえ、全体に流れる温かさと散りばめられた笑いは、多くのメディアから高評価を受けている。冴えないDJという役柄ながらセクシーさを隠しきれないイドリスが子どもと交流していく姿は万人が楽しめる(ただし成人向け指定作品)コメディドラマと言えるだろう。

Netflixオリジナルシリーズ『ターン・アップ・チャーリー ~人生アゲていこう!~』は現在配信中。(海外ドラマNAVI)

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『ターン・アップ・チャーリー ~人生アゲていこう!~』
(C)Nick Wall/Netflix