【レビュー】Amazon『ハンナ ~殺人兵器になった少女~』命を狙われる少女、政府が隠蔽しようとする秘密...

『ハンナ ~殺人兵器になった少女~』は、2011年のサスペンス映画『ハンナ』をベースに誕生した新作スリラードラマ。国家の秘密計画が生んだ少女が、プロジェクトの隠蔽を目論むCIAエージェントたちから狙われる...。Amazon Prime Videoで3月下旬から独占配信開始となった話題作だ。

殺りくを逃れた少女に政府の追っ手

ただの気弱な少女に見えるハンナ(エスメ・クリード=マイルズ)は、政府の遺伝子操作計画が生んだ兵器人間。ルーマニアの施設で管理されていたが、幼いときに虐殺処分にあう直前、父・エリック(ジョエル・キナマン)に救出される。以来、東欧の森の奥深くに匿われてきた。チョコレートスナックすら目にしたことがないほど文明とは無縁のハンナ。しかしエリックの絶え間ない訓練の成果があって、武術とサバイバル術だけは超一流を極めている。

ハンナの生存を知ったCIAのウィーグラー(ミレイユ・イーノス)は、配下のエージェントたちに捜索を命令。街に移り住んだハンナの身柄を確保しようと、近しい人物の拷問や親友一家の命を脅迫材料とした脅しなどでハンナを揺さぶる。身寄りのない少女に、国家機関の包囲網がじわじわと接近。ハンナを処分することで、国家が闇に葬ろうとしている機密とは? 一人の少女の出生の秘密を巡る、緊迫のストーリーが始まる。

映画版の脚本家続投で納得のクオリティ

8年前の映画版と同様に、まさに表現の限界を超えるような作品だと英Telegraph紙は評価。ドラマの脚本を担当するデヴィッド・ファーは映画版の共同執筆の実績があるほか、英BBCのスパイドラマ『ナイト・マネジャー』も手掛けており、スリラーには定評がある。本作では舞台の一つとして荒涼としたポーランドの地を導入するなどで、ドラマ版ならではの空気感を追加。北欧の寒々とした恐怖感が加わった、とTelegraph紙は新シリーズのクリエイティビティを評価している。

一方で映画から継承した要素もあるため、旧作のファンは懐かしいエピソードを再び楽しむことができる。第2話では、孤独なハンナの数少ない親友となる少女・ソフィー(リアン・バレット)が、家族とともにモロッコを訪れているくだりが展開される。好感の持てるキャラクターで映画版のエピソードを再度描いたシーンに、米Hollywood Reporterは満足した様子。さらに、続く3話からはハンナ役・エスメの魅力が炸裂。映画の高い品質を引き継いだ良作となっている。

スーパーボウルにちゃっかり便乗

配信前の今年2月には、高視聴率を叩き出すフットボール中継「スーパーボウル」のピーク時間帯から放送直後(放送地域によって異なる)に、第1話の限定公開をスタート。したたかな便乗戦略で話題になった。去年の同中継直後には、SFホラー映画『クローバーフィールド・パラドックス』をNetflixが公開しており、この手法に追随したものと見られる。件の映画への評価は今ひとつだったものの、本作『ハンナ ~殺人兵器になった少女~』が酷評に晒されることはないだろう、とTelegraph紙は品質に太鼓判。

スーパーボウルを機に24時間限定で1話が公開されて以降、当シリーズは時間をかけて少しずつ披露されてきた。ベルリン国際映画祭では2話までを上映し、批評家には3話までを先行公開するといった具合だ。現在では全話公開済みなので、次のエピソードまで待たされたくないという方も安心してドラマの世界に浸ることができるだろう。

政府の極秘計画を巡る『ハンナ ~殺人兵器になった少女~』は、Amazon Prime Videoで全8話を配信中。

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Prime Original『ハンナ ~殺人兵器になった少女~』