脳性小児まひでゲイ。そんな青年がはじめて社会に飛び出していく。彼は母親から離れて理想の人生を自分の手でつかむことができるのか? クリエイターで主演を務めたライアン・オコンネルの実体験に基づいたNetflixオリジナルシリーズ『スペシャル 理想の人生』はゲイの日常を赤裸々に描くだけでなく、脳性小児まひという障害があることで特別視されたくない青年の心の葛藤を笑いのスパイスを交えながら描く。製作総指揮には、『ビッグバン★セオリー/ギークなボクらの恋愛法則』で絶大な人気を誇り、同性愛者として知られるジム・パーソンズが名を連ねる。
ゲイで小児まひの青年は、理想の人生をつかみ取れるか?
軽い脳性小児まひのため、片足を引きずって歩いたり、手を使った作業が苦手だったりするライアン。母親は「障害もあなたの一部」と、自信を持って生きるようにと促すが、「ゲイで小児まひの人」というレッテルを貼られることに躊躇する。
そんななか、ライアンは人気ウェブサイトのライターとして女性編集長の下でインターンを始めることになる。舞い上がるライアンに、編集長は彼自身のことをさらけ出した記事が欲しいと言う。本当のことを言えないライアンは、車に轢かれたという経験を拡大解釈されたのをいいことに、生まれつきではなく事故の後遺症のため足を引きずっているということにしてしまう。
女性編集長の生態を知り尽くした同僚の人気ブロガーと仲良くなるライアンだが、彼女にも小児まひであることは言い出せない。半分だけカミングアウトという中途半端な状態で、ライアンは自分の理想の人生を送る足掛かりを作れるのか?
短いなかにエッセンスを詰めこんだ秀作
主人公がゲイで脳性まひを患っているというだけが『スペシャル 理想の人生』のユニークな点ではない。配信中のシーズン1は全8話。どのエピソードも11分から17分と短めの尺なので映画感覚で全編を一度に見ることができる。
Hollywood Reporter誌はこの点を評価。エピソードやシーンに"盛られている"感じがないのが良いと書く同誌は、会員制のネット配信というNetflixの媒体としての特性をよく利用しているとする。「この消化しやすい形なら、このドラマは何か特別なものになり得るかもしれない」とシーズン2への期待を高める。しかし、キャラクター構成などの面で急かされていると感じる点がマイナス面だとする。
このマイナス面は、Vulture誌も同じように感じているようだ。同誌はレビューで、「15分以下(のエピソード構成)は薄く感じることが欠点である」としている。やはり、メインの登場人物についてもう少し掘り下げて欲しいと感じるようだ。
それでもこのドラマが魅力的なのは、主人公を演じるライアンによるところが大きい。Vulture誌は、彼の実経験をもとにしたエピソードが詰まっているので、より人間味のある主人公が描かれているとする。
Netflixオリジナルシリーズ『スペシャル 理想の人生』シーズン1は独占配信中。まずは、五体満足でも共感できる"痛い"瞬間や思わず同情してしまう瞬間、友情・恋愛ともに未経験のライアンが巻き起こす笑いを一気に観賞しよう。(海外ドラマNAVI)
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Netflixオリジナルシリーズ『スペシャル 理想の人生』は独占配信中。