「これは天使と悪魔のラブストーリー」『グッド・オーメンズ』出演者インタビュー

何千年も前からの腐れ縁である二人、天使のアジラフェルと悪魔のクロウリーが力を合わせて世界を破滅から救おうとするファンタジーコメディ『グッド・オーメンズ』が現在Amazon Prime Videoで配信中だ。『LUCIFER/ルシファー』(キャラクター造形)、『アメリカン・ゴッズ』(原作)などを手掛けたことでも知られるニール・ゲイマンが、テリー・プラチェットとの共作で1990年に出版した同名小説を元に、自らショーランナー・製作総指揮・脚本を担当する。主人公二人のブロマンスっぷりが『SHERLOCK/シャーロック』と比較されることもある話題作から、当の二人、マイケル・シーン(アジラフェル役)デヴィッド・テナント(クロウリー役)のインタビューをお届けしよう。

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――マイケル、あなたが演じる天使はどんなキャラクターですか? その役のどんな点に惹かれたのでしょう?

マイケル・シーン:僕が演じるアジラフェルは、エデンの園を神が作った時から地球にいるんだ。彼は自尊心が高く、善悪について熟知していて、自分は善の立場だとはっきり意識していた。しかし地球で何千年も過ごすうちにこの世界や人々のことを好きになり、自分が善の側にいるとは言い切れなくなっていく。次第に境界線がぼやけてくるんだ。とはいえ彼は正しいことをしようと思っている。必ずしも天国の上層部とは意見が合わないから、なるべく関わらないようにしようとしているけどね。しかも彼は悪魔のクロウリーと交流がある。天使としてそんなことはするべきじゃないんだが、彼との関係を断ち切ることはできないんだ。

世界のあちこちでクロウリーは人間を堕落させ、アジラフェルは人間を救済するのが役目なわけだが、ある時、クロウリーがこんなことを提案する。二人がそれぞれ同じ場所へ行くのは非効率的だから、どちらか一人が目的地へ行って悪魔と天使の役目を両方やってくればいい、とね。そんな協定が秘密裏に二人の間で成立し、親しくなっていくわけなんだ。そして二人は世界の終わりが近づいていると知り、すっかり愛着を抱いているこの世界を救うため、どうにかして止めようと力を合わせることになる。とても面白い設定だよ。

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――デヴィッド、あなたが演じる悪魔クロウリーについて教えてください。

デヴィッド・テナント:僕が演じるクロウリーは人生を楽しんでいて、自信家だ。そして悪魔なので超自然的な力も持っている。彼のように何でも可能なキャラクターだと、演じる側としてはいろんな方向へ想像を広げることができるので、凄い解放感が味わえるんだ。

――クロウリーとアジラフェルの関係は斬新ですね。

デヴィッド:僕(クロウリー)は悪魔でマイケル(アジラフェル)は天使。二人は6000年前にエデンの園で出会い、何千年も一緒に過ごすうちに相手への理解を深めていくんだ。お互いに好意を持ち、それぞれの生活が楽になるよう助け合ったりもする。そうやってかけがえのない存在になっていくんだ。これはバディものであり、現代版の『おかしな二人』とも言える。喧嘩することもあるし、親友であることはどちらも決して認めないけどね。それでも、信頼し合い、強い結びつきを築いていく。

そんなクロウリーとアジラフェルはこの世界が気に入っているんだ。リッツで食事したり、車を走らせるのもね。自己中心的な理由だけど、彼らはそのお楽しみがなくならないように世界の終焉が来るのを防ごうとして力を合わせるんだよ。

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マイケル:天国と地獄、天使と悪魔というものほど対照的なものはないんじゃないかな。でも、本作ではそんな二人がそれぞれの違いを乗り越えて関係を築き、その結果としてより人間らしくなるんだ。二人の特別な絆は、現代に向けた大事なメッセージになっていると思うよ。

――デヴィッド、あなたは『ドクター・フー』や『ジェシカ・ジョーンズ』でも超自然的な役を演じていますが、そうしたジャンルの魅力とは?

デヴィッド:現実世界とはまったく違うという意味で面白いよね。俳優として演じ甲斐があるし、バラエティも広がる。超常現象ドラマと一口に言ってもそれぞれの作品によって別個のストーリーがあるしね。コミックやSci-Fiの本を読んで育ってきた僕にはぴったりの仕事だよ。

――クロウリーとあなた自身に共通点はありますか?

デヴィッド:あまり多くはないと思うよ。何と言っても彼は悪魔だからね。ただし、本物の悪人というわけじゃない。何千年も人間の世界で暮らすうちに次第にソフトになっていくんだ。世紀末が来たら人類が滅んでしまうことを気にかけているんだよ。

僕がこの役を受けたのは、脚本が素晴らしかったからだ。キャラクターもストーリーも見事だし、共演者はマイケル・シーンだしね。そんな企画に「ノー」と言うのは難しいよ。

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――アジラフェルとクロウリーには、演じるあなたたち自身の性格がにじみ出ているようでした。

デヴィッド:この作品には素晴らしいキャラクターがたくさん登場する。アジラフェルとクロウリーは何千年も生きてきたから、特に人間くさいと言えるだろうね。そんな彼らの面も原作の魅力の一つだと思う。それはニール自身が手掛けた脚本にも間違いなく含まれているよ。

マイケル:アジラフェルとクロウリーは二人で行動する。長い間一緒に過ごしてきたから、どこかしら似てきているんだ。二人はある意味で僕ら人間に似通ってもいる。そんなキャラクターを演じるのはすごくしっくりきたよ。脚本を初めて読んだ時に一番強く感じたこともそれだった。だから、アジラフェルが自分にピッタリの役だと思ったんだ。

――ただ、当初あなたはアジラフェル役ではなかったんですよね。

マイケル:ニールのことはかなり前から知っていたので、この企画の初期段階から関わることができたんだ。そして彼と最初に話し合った時、なぜか僕はクロウリーを演じるという前提になっていた。僕は本当はアジラフェルがやりたかったのに怖気づいてしまってうまく切り出せなくてね。でも話し合ううち、ニールが「君はアジラフェルをやるべきだと思う」と言ってくれたんだ。少し回り道をしたけど、正しい道筋に戻ることができて良かったよ。

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――ニールはずっと前から本作にあなたを出演させるつもりだったそうですね。

マイケル:そう思ってもらえて光栄だよ。僕がニールの本と出会ったのは演劇学校へ行っていた時だった。そこで知り合った友人の一人がコミック好きで、4冊の本を貸してくれたんだ。「ウォッチメン」「スワンプ・シング」「Vフォー・ヴェンデッタ」、そしてニールの名作「サンドマン」だった。ほどなくして「グッド・オーメンズ」が出版され、ニールの本だから読んだんだ。もう30年近く前のことだね。その後、ニールと知り合って友達になり、彼が本作の脚本を書いて僕に送ってくれた。まだ草稿段階のものをね。そうやって一緒に企画の初期段階から関わってきたんだよ。そんな念願の企画が実現して、ニールの傍で毎日働けるなんて、まさに夢のようだよ。

――デヴィッド、あなたがクロウリー役に決まったのはいつですか?

デヴィッド:マイケルの話したようなことがすべて済んだ後だよ。僕の方は企画について全然知らなかったからね。撮影が始まる少し前に、完成した状態の脚本が届いたんだ。原作もニールのことも知らなかったけど、マイケルのことは共演したことこそなかったものの、ずっと前から知っていた。だから、この作品に呼んでもらえて良かったよ。30年にわたって企画が進められてきたなんて全然知らなかったから、初めて脚本を読んだ時にはまるで天啓を得た気分だった。しかも相手役は、ずっと組みたいと思っていたマイケルだからね。まさに天にも昇る気持ちさ(笑)

――多くのファンがいる作品を映像化するにあたって少しはプレッシャーを感じたのでは?

デヴィッド:少しだって?

マイケル:(デヴィッドの顔を見ながら)少しどころじゃないよね(笑)

デヴィッド:ものすごいプレッシャーだったよ。特に原作を知らなかった僕は役を引き受けた後でこの作品がどれだけ愛されているかを知ったんだ。それからというもの、ちょっとしたパニック状態だったよ。みんなの夢を壊してしまうんじゃないかってね。

マイケル:原作が出版された当時からこの作品を映画化なりドラマ化なりしたらメチャクチャになってしまうだろうと言われていたからね。それを承知の上で僕は参加することにしたわけだけど、みんなが気に入ってくれればと思うよ。とりあえず、僕としては自分たちの仕事ぶりに満足している。

デヴィッド:そうだね。

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マイケル:英国の人々に愛される作品が映像化されていない例は珍しいから、責任の重さは感じたよ。だからこそ、原作者のニールがショーランナーを務め、自ら脚色もして、セットに毎日来てくれたことはとてもありがたかった。彼がいなかったらすごく恐ろしい未来しか見えなかっただろうね。

デヴィッド:そうならなくて本当に良かったよ(笑)

マイケル:この作品のように、ある媒体でうまくいったものを別の媒体でやることは簡単じゃないんだ。何かしらの変更を加えるにあたって大胆で自信もないといけないから、ニールがいなければどうなっていたか分からないよ。多分、何か変えるのが怖いから、オリジナルにひどく忠実な内容になっていただろうね。でもそれじゃ楽しめないと思うんだ。原作を知っている人たちも、何かしら新しい要素がある方がもっと楽しめるものだからね。

デヴィッド:その通りだ! とはいえ、原作にある独特のカラーはそのままだよ。それは、ニールが関わってくれたからこそできたことなんだ。ほかの脚本家だったら、もっと普通にしてしまうか、いわゆるTV番組っぽくしてしまっただろうね。ニールの独特の視点がなければ無理なんだろうな。

ファンの中にアジラフェルやクロウリーが息づいているから、それを裏切るようなことはしたくなかった。幸いなことに正しい方向へ進めたという手ごたえがあるよ。僕らが作り上げたものは、原作ファンの誰もが思い描いたものではないだろうけど、一部の人にとってはより良いものになっているはずだよ。逆に怒っている人もいるだろうね。でも全員を満足させることはできないから、僕らはただベストを尽くすだけだ。

人生ではまるで世界の終わりが近づいているように感じられることも珍しくない。だから、仕事に来て世界が終わることについてのジョークを言うのは楽しい経験だったよ(笑) これは僕ら全員に必要なことなのかもしれない。そういう風に行動することで、みんな、何かしらのプレッシャーから自由になれると思うんだ。

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――どう役作りしたのですか?

デヴィッド:少なくとも僕の場合は、マイケルもそうかもしれないけど、実際に演じてみるまで分からなかった。初日にマイケルとこんな会話を交わしたのを覚えているよ。「作品のトーンって何かな? どう演じるの? コミカル、それともドラマティック?」ってね。でもひとたび二人で公園のベンチに座ると、それが僕らの最初の撮影シーンだったんだけど、すべてがうまくいったんだ。何をすべきかがはっきり分かったんだよ。

マイケル:僕が演じるアジラフェルにとってのよりどころは、デヴィッド演じるクロウリーなんだ。だから、デヴィッドの演技によって僕の役柄も明確になるんだよね。そんな僕らの関係はダイナミックでとても生き生きしている。互いに刺激を与えているんだ。僕らのうち一人が何かをしたら、もう一人がそれを受けて掘り下げるんだよ。"そうか! 君はそうやるんだね! なら僕はこうだ!"って感じにね。

キャラクター造形がとにかく素晴らしいので、僕らはさほど役作りで苦労することはなかった。デヴィッドの演技は見惚れてしまうくらい見事だしね。そんな僕ら二人の関係が物語の核になっているんだ。僕にとって演じる上で唯一大変だったのは、デヴィッドのことが大好きなのを隠さなきゃいけないことだね。

デヴィッド:(爆笑) たしかに愛ってのは面倒だよな(笑)

マイケル:彼らの物語はある意味でラブストーリーなんだ。原作のファンにもそのことを気にしている人は多いみたいだね。本編であからさまに二人の愛が描かれたりはしないけれど、ちゃんと存在はしているんだ。僕は、アジラフェルがクロウリーに対してある種の愛情を抱いているように演じたかった。長い歴史を持つ二人はとても強く結びついているし、天使というのは愛の存在だから、彼がクロウリーを愛するのは必然なんだ。デヴィッド本人を愛するのもとても容易だったよ。

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――その愛というのは、ロマンティック、プラトニック、エロティックで言うと何に当たるのでしょう?

マイケル:君が言っているのは、天使でなく人間が考える愛の形だろう? とはいえ、それも演じる上で面白かった点の一つだね。アジラフェルとクロウリーというカップリングでファンがいろんなストーリーを考えているのを知っているから、僕らが作り上げたものをどう受け止めるかにすごく興味があるんだ。

――『グッド・オーメンズ』は1シーズン限りのリミテッドシリーズですが、もし続編ができるなら出演するつもりはありますか?

マイケル:ああ。ニールとテリーは次作の出演者を誰にするか考えてたよ。まだ原作を書いてもいないのにね! これは僕の大好きなジョークなんだ。多分その作品では、668という電話番号を持つ"獣の隣人"に電話することになるんだろうね。

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『グッド・オーメンズ』(全6話)はAmazon Prime Videoにて独占配信中。

Photo:

Amazon Prime Original『グッド・オーメンズ』