『NCIS ~ネイビー犯罪捜査班』のスピンオフで、オリジナル同様に人気を博している『NCIS:ニューオーリンズ』。今年4月にシーズン6への更新が発表されたばかりだが、現在放送局である米CBSは、本作の舞台であり撮影地でもあるニューオーリンズからの撤退を検討しているという。米Cinema Blendなどが報じた。
撤退を検討するきっかけとなったのが、5月末にルイジアナ州議会で可決され、知事の署名により成立した、人工妊娠中絶を禁止する法律。胎児の心音が確認された時点でいかなる理由があっても中絶してはならないとする極めて厳しい法であり、相次いで反発の声が上っている。
同じく中絶禁止法が成立したジョージア州は、現在公開中の映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』をはじめ多くのディズニー映画が撮影されてきた場所だが、ディズニーは法が施行されれば同州から撤退するという意思を表明している。大ヒットドラマ『ウォーキング・デッド』もジョージア州に拠点を置いているため、同様の問題に直面する可能性は高い。
しかし、法の施行により各スタジオが撤退を決定した場合、『NCIS:ニューオーリンズ』はどの作品よりも大きな転換を余儀なくされるだろう。タイトルに地名が入っていることはもちろんだが、ニューオーリンズという街の独特な建築、景観、文化は他の街から引き出すことはできないからだ。
ショーランナーのクリストファー・シルバーは米Varietyに対し、「今シーズンはニューオーリンズで製作を続けています。これからの進展を見守り、裁判所でどんなことが起こるのか待つつもりです。法が施行されるのであれば、女性の健康と権利を危険にさらす厳しい法を制定する州で製作を続けることは適切ではないと、私は思います」と声明を発表している。
一方で、同じくニューオーリンズで撮影されているキム・キャトラル(『SEX AND THE CITY』)主演の米FOXの新シリーズ『Filthy Rich(原題)』は、同地での撮影を続ける意向を示した。企画・監督のテイト・テイラーと製作総指揮のジョン・ノリスは、権利を守るためのそれぞれの闘い方を尊重した上で、「雇用を創出し、ここに住む家族を守ることによって私たちはそれを実現します。私たちは両方(撤退と製作続行)の道が同じ目標につながると考えますし、みなさんがどのような形でこの闘いに参加するか、その権利を尊重します」とVarietyに声明を出した。
TV業界にも大きな影響を与えている人工妊娠中絶の禁止法。今後の動向を見守り、施行されないことを願うしかない。(海外ドラマNAVI)
Photo:
『NCIS:ニューオーリンズ』
TM & (c) 2016 CBS Studios Inc. CBS and related logos are trademarks of CBS Broadcasting Inc. All Rights Reserved.