村上龍×ハリウッドの映画『ピアッシング』、日本カルチャーへのリスペクト満載の場面写真が到着!

村上龍の同名小説をハリウッドで映画化した『ピアッシング』が6月28日(金)より公開中だ。殺人衝動を持つ男と自殺願望を持つ女が出会い、オープニングからラストまで緊迫感が持続するサイコスリラーには、日本カルチャーへのリスペクトが随所で感じられるが、それを示す場面写真が到着した。また、著名人からの絶賛コメントも合わせてご紹介しよう。

監督・脚本を手掛けるのは、デビュー作で2016年ファンタスティック映画祭の5部門を受賞した、29歳のインディーズ界の新鋭ニコラス・ペッシェ。次回作で『呪怨』のリブート版に取り組むなど日本文化を敬愛する同監督は、本作でも和洋芸術の絶妙な親和性で作品に不思議な深みを与えている。

今回到着したのは、荒木経惟の作品である<若い芸者がスイカを食べている写真>と、イサム・ノグチのコーヒーテーブル。もともと荒木作品が持つシンボリズムやイメージに惹かれていたというペッシェ監督は、「彼の持つセクシャルでフェティッシュなものをあえて日常の中に見せる手法が、この作品のテイストに合っていると感じた」と、荒木作品を使った意図を説明。またイサム・ノグチの家具はこのコーヒーテーブル以外にも使われているとのこと。ほかにも、自殺願望を持つ女ジャッキーのアパートの本棚に日本のコミックがあったり、クローゼットの中には日本のデザイナーによる洋服があるなど、日本のアートやデザインが端々で作品を盛り立てている。それらがどのようなシーンで使われているのかを探してみるのも『ピアッシング』の楽しみ方の一つかもしれない。

原作者が「120%満足」と絶賛する本作について、各界著名人からのコメントも到着。ペッシェが大きな影響を受けた作品として挙げる『オーディション』の三池崇史監督からもメッセージを寄せている。

壊れた愛が美しすぎる。病んだ衝撃が愛しすぎる。
歪みすぎて、痛すぎて、切なすぎて、怖すぎて、笑える。
村上龍の小説は、映画監督を覚醒させ荒野へと解き放つ、危険な媚薬だ。
――三池崇史(映画監督)

俳優たちがまず魅力的です。
取りつかれた妄想(あるいはイマジネーション)と格闘する様はとても丁寧で、観ているこっちは何度も生唾飲んで引き込まれます。
原作のモダンさでしょうが、彼等はその妄想なりを振り払うことに格闘してるわけではありません。実現させるためなんです。それを邪魔するのがもう一方の妄想!
まさしく「怖いけど観たい」という映画です。久しぶりに指の間から観てました(笑)
――イッセー尾形(俳優)

目を背けたくなる痛々しい人間の心の闇...。
ミア・ワシコウスカ演じるジャッキーが、目を覆っている指を一本ずつ剥がすように、『ピアッシング』の世界に引きずり込んでいきました。
――はまのゆか(絵本作家)

正直、映像化は不可能だと思っていた。しかし脳裏に痛みと愛情とユーモアがゆっくりと侵食される快感が、まさに『ピアッシング』。小説と映像の違いを理解し、翻訳された演出力が本作にはある。
――松江哲明(ドキュメンタリー監督)

(敬称略・順不同)

主演の二人を演じるのは、ジョージ・クルーニーが『ER 緊急救命室』以来に本格的に関わったドラマシリーズ『Catch-22(原題)』の主役に抜擢されたクリストファー・アボットと、『アリス・イン・ワンダーランド』シリーズのミア・ワシコウスカ。共演は、『ヴィクトリア』のライア・コスタ、『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』のマリア・ディッツィア、『スニーキー・ピート』のマリン・アイルランド、『SUITS/スーツ』のウェンデル・ピアースなど。

主人公は、自分の幼い娘をアイスピックで刺したいという衝動に駆られる男。彼はその衝動を抑えるため、SM嬢をホテルに呼び出して殺害する計画を立てる。しかし計画は滑稽なほど思い通りにはいかない。ホテルにやってきた女は、いきなり自分自身を傷つけて倒れ込んでしまう。これはリアルな悪夢なのか、シュールな現実なのか? 刃を外に向ける者と内に向ける者は、磁石のプラスとマイナスのように交わり、やがて共鳴していくのだろうか...。

『ピアッシング』(配給:パルコ)は、6月28日(金)より新宿シネマカリテほか全国公開中。(海外ドラマNAVI)

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『ピアッシング』
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