『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』ゼンデイヤ主演 『Euphoria』ドラッグ、暴力...最高にダークなティーンドラマ

米HBOで放送中のティーンドラマ『Euphoria(原題)』は、ティーンドラマの概念を覆すようなダークなシリーズ。若者たちの恋と友情、そしてドラッグと心の闇を赤裸々に映し出す。イスラエルで製作された同名のTVドラマを原作として、6月中旬から放送中。『スパイダーマン』シリーズのMJ役ゼンデイヤが、ドラッグに溺れる少女を熱演する。

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■偽りの幸福にすがる少女たち

ドラッグの過剰摂取で危機的状況を迎えたルー(ゼンデイヤ)は、妹ギア(ストーム・リード)のおかげで一命を取り留めたものの、数カ月経つ今でも薬物とアルコールの魅惑を断ち切れていない。幸福感を求め、ドラッグがもたらす束の間の多幸感に日々身を任せる。最近は、少女としての性別を自認するジュールス(ハンター・シェーファー)と親しくしている。そのジュールスは夜な夜な街をふらつき、ゲイ向けデートアプリで出会った男性と大人の関係を楽しんでいる様子。

ドラマは彼らを中心に、群像劇の形式で若者のリスキーな暮らしぶりを追う。クラスメートのカット(バービー・フェレイラ)は、処女を失う瞬間の映像がネットにアップロードされたことで動転。さらにスポーツ万能で学校の人気者ネイト(ジェイコブ・エロルディ)は、その腹のなかに陰湿な計画を抱えていた。ティーンならではの青春や恋愛などに加え、ドラッグ、セックス、トラウマなど、高校生ライフの闇を映し出すシリーズ。

■スリルの味、その代償は

爽やかな青春ドラマを予想した視聴者は、あっという間にその期待を裏切られることになるだろう。未成年のキャラクターたちがリスキーな行為の激流に呑まれるドラマだ、と米Rolling Stoneは紹介。スリルに魅力を感じる年頃の少年少女たちが、人知れず薬物や暴力行為などに耽る。十代の無謀さを大げさに描写し過ぎていると感じる場面すらある、と同誌は指摘するが、恐怖感漂うシーンに夢中になってしまうことも実に多いとも認めている。

ダークな世界観に満ちた本作の片隅には、少女期特有の密な友情ドラマも息づく。ルーとジュールスの親密な関係について米Observerは、陰鬱なドラマの世界に差すあたたかな光のようだ、と論評している。コカインが少女たちを惨めにしてゆくなかでさえ、心の奥底に眠るトラウマも含めてすべてさらけ出せる親友同士の関係は、決して揺らぐことがない。暗くシリアスなメインストーリーに晒されるルーとジュールスだけに、互いを必要とする気持ちが痛いほど伝わってくる。

■オトナで多層的なキャラクター

ルーとジュールスはそれぞれ、歌手としても活躍するゼンデイヤと、実生活でもトランスジェンダーだというモデルのハンターが演じる。二人の演技が『Euphoria』の最大の見どころ、とObserverは賞賛。とくにゼンデイヤに関しては、自然体の演技のなかに生まれ持った才能が発揮されている、と同紙は手放しで褒め称えている。

ゼンデイヤはディズニー・チャンネルのTVドラマ『シェキラ!』や『ティーン・スパイ K.C.』の主役で知られるほか、映画『グレイテスト・ショーマン』では空中ブランコ乗りのアンを演じた。またマーベル映画『スパイダーマン:ホームカミング』および現在公開中の『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』では、ヒロインMJに扮する。ディズニー・チャンネル出身の彼女が、本作では薬物依存の少女という尖った役に挑戦。子役が成長するに従って極端なキャラクターに挑戦する典型的な例と述べるRolling Stoneは、ゼンデイヤが本作で見せる深みのある人物像を高く評価している。

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高校生たちのダークでワイルドな日常を切り取る『Euphoria』は、HBOで放送中。日本ではスターチャンネルにて今秋放送予定。(海外ドラマNAVI)

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ゼンデイヤ『Euphoria』
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