爽快な気分になれるコメディ・ドラマは、忙しい夏を乗り切るための一服の清涼剤だ。イチオシのイギリス発コメディを、米Hollywood Reporterがピックアップしている。どれもシーズンあたり4から8話と、気負わず観られる作品ばかり。うち3作品が日本でも視聴可能だ。
息抜きにぴったりの英コメディ
アメリカでは7月4日の独立記念日以降、暑さも忙しさにも拍車がかかっているという。息抜きになるはずのTVドラマも大型作品が期待ほどの出来ではなく、イギリス作品に目を向けるに絶好のタイミング、と同メディアは述べ、夏にオススメの英コメディとして以下の作品を挙げている。
- 『デリー・ガールズ ～アイルランド青春物語～』（Netflixで配信中）
- 『Travel Man: 48 Hours in...（原題）』
- 『Plebs（原題）』
- 『This Country（原題）』
- 『Friday Night Dinner（原題）』
- 『ザ・ウィンザーズ』（Netflixで配信中）
- 『ピープ・ショー ボクたち妄想族』（Netflixで配信中）
- 『Inside No. 9（原題）』
- 『Gavin & Stacey（原題）』
- 『Horrible Histories（原題）』
日本未上陸の作品が多いものの、Netflixが3作品を配信している。詳しくご紹介しよう。
どちらを観るべき？田舎のスクールライフ vs. 王室の秘密
最初に取り上げるのは、『デリー・ガールズ ～アイルランド青春物語～』。アイルランドの田舎町に暮らす女子高生たちの日常コメディだ。16歳の主人公・エリン（シアーシャ＝モニカ・ ジャクソン）は、あか抜けないデリーの町の高校2年生。何もかもがくすんだこの町で、精いっぱい青春をおう歌しようと奮闘している。学期初日には制服のルールを破ろうと仲間と誓うも母親に叱られ断念、約束を守った友達を裏切るなど、登校初日から一悶着。さらに先生役である厳格なシスターたちから大目玉をくらったり、宗派の違う高校とのゆるい論争に巻き込まれたりと、彼女たちの高校生活をミニサイズのトラブルが襲う。どうでもいいスケールの「非常事態」の数々にも、本人たちは至って必死。そういえば自分の高校時代もこんなだったかも、と懐かしい記憶を呼び起こしてくれる作品だ。シーズン2まで公開されており、既にシーズン3への更新も決定している。
Hello royal followers!! Just in time for Christmas #THEWINDSORS is on @NetflixUK!! #Hurrah #RoyalWatching pic.twitter.com/p5ePTEBj5R
-- The Windsors (@The_Windsors_) December 20, 2017
もう一点の『ザ・ウィンザーズ』は、舞台がガラリと変わってイギリス王室の物語。話題の絶えないロイヤルファミリーを、絶妙なタッチでコメディ化している。大衆との触れ合いを好むウィリアム王子（ヒュー・スキナー）はふつうの人々の暮らしを知ろうと、店員にふん装して街角のカフェに潜入。ウェールズ公妃・カミラ夫人（ヘイドン・グワイン）は威風堂々として見えるが、実はプリンスの人気に嫉妬している。そしてキャサリン妃の妹・ピッパ（モルガナ・ロビンソン）は、ヘンリー王子（リチャード・グールディング）を誘惑しようと色仕掛けを開始。パロディのなかにも王室への愛を感じる作品だが、日本人からすると「ここまでやってもいいの!?」と正直驚かされるシーンも多い。こちらもシーズン2まで公開済みで、シーズン3への更新が決定している。
残る8作品の魅力
残る8作品のうち7本は日本未公開だが、どれも個性ある作品ばかり。『Travel Man』では、コメディアンのリチャード・アイオアディが世界の都市を探訪。滞在時間48時間というリミットのなかで、ゲストとともにその土地ならではの見逃せないスポットを慌ただしく巡る。『Plebs』は、今年5シーズン目を迎えた人気シリーズ。あか抜けない男3人組が恋人と職業を求めて奮闘――というのはよくある設定だが、場所を古代ローマにした点が何ともユニーク。続いて『This Country』は、現代イギリスの若者にスポットライトを当てた作品。イングランド南東部の村に住むいとこ同士の二人は、地方の生活を楽しみつつも、都会へ出るべきか悩んでいる。
このほか、毎週金曜日に巣立った息子二人を迎えて食卓を囲むユダヤ人ファミリーの、そこで起こる出来事を面白おかしく描くドラマ『Friday Night Dinner』。サイコロジカル・ホラーの要素も見え隠れするアンソロジー『Inside No. 9』など、興味深い作品が多数。
ルームメイト二人がトラブルを巻き起こす『ピープ・ショー ボクたち妄想族』は、2003年に放送スタートした人気コメディ。恋人に追い出された、ミュージシャンを夢見るうぬぼれ屋で怠け者のジェレミーが、真面目なサラリーマンの友人マークと同居することに...。世渡りの仕方は対照的だが、地に足が着いてないところはソックリな二人が、恋人を作ろうとあの手この手で女性に近づくものの、そのたびに思わぬトラブルが発生してしまう。本国ではシーズン9、日本ではNetflixでシーズン8まで配信中だ。『女王陛下のお気に入り』でアカデミー賞主演女優賞を受賞したオリヴィア・コールマンも出演している。
ロムコム好きに人気の『Gavin & Stacey』も注目のタイトル。ネットと電話越しにしか会話したことのない二人の結婚に、家族は猛反対。シリーズはすでに完結しているが、英BBCでは約10年の空白期間を経て今年のクリスマスに特別編の放送を予定している。最後の『Horrible Histories』は、教科書が教えてくれない歴史の一端を解き明かす。石器時代の暮らしやローマ帝国のグラディエーター、そして20世紀の出来事の真相を教えてくれるというが、どこまで信じて良いものやら...。
イギリスを舞台にした『デリー・ガールズ ～アイルランド青春物語～』『ザ・ウィンザーズ』から、世界に目を向けた『Travel Man: 48 Hours in...』『Horrible Histories』まで、同じイギリス発のコメディといってもさまざまだ。さらに多くのタイトルが日本に上陸するのを待ちたい。（海外ドラマNAVI）
Photo:『ザ・ウィンザーズ』© Channel Four Television Corporation 2019 『デリー・ガールズ ～アイルランド青春物語～』Netflixで配信中 『ピープ・ショー ボクたち妄想族』© Channel Four Television Corporation 2019
