【2010年代ベストドラマ】『ブレイキング・バッド』『マッドメン』などが並ぶ「ドラマの第2黄金時代」

このところ胸躍るような秀作ドラマがハイペースでリリースされている。既存の放送局に加え、ストリーミング各社の参入でオリジナルコンテンツが充実してきたことも大きいだろう。このような背景を米Paste誌は指摘し、2010年代はTVドラマの第2の黄金時代だと述べている。ここ10年間のシリーズのうち、同誌が最も薦めている作品をチェックしてみよう。

ヒット作が名を連ねるランキング上位

毎年500本以上のシリーズが公開されるなか、Paste誌がトップ10に選んだドラマは以下の通り。ここではドキュメンタリーやアニメなどを除外し、純粋なドラマ作品のみを7本抜粋した。日本での配信情報はかっこ内に媒体名を追記している。（※配信状況は都度ご確認を！）

1位：『ブレイキング・バッド』（Netflix）
2位：『MAD MEN マッドメン』
3位：『ジ・アメリカンズ』
5位：『Fleabag フリーバッグ』（Amazon Prime Video）
7位：『グッド・プレイス』（Netflix）
8位：『アトランタ』（Netflix）
9位：『Parks and Recreation（原題）』

『ブレイキング・バッド』『グッド・プレイス』など誰もが一度は耳にしたことがあるであろう著名作が揃った。近年話題の『Fleabag フリーバッグ』も5位と健闘しているようだ。それでは、各作品のあらましを紹介したい。

広告業界にスパイ...専門の世界に浸る上位3作品

サスペンスであれ人間ドラマであれ、新しい世界を見せてくれる職業もののドラマにはとりわけ興味を引かれる。1位から3位には専門分野の秘密を見せてくれるドラマ作品が揃った。

1位『ブレイキング・バッド』は、死を目の前に一世一代の勝負に出る男の物語。平凡な化学教師だったウォルターは、ある日突然のがん宣告を受ける。これを機に家族に遺産を遺してやりたいと考えるようになり、危険なドラッグの精製に手を染めるように。徐々に設備を充実させ、ギャングと対等に渡り合うようになってゆくウォルター。スリルとブラックジョークが病みつきになるシリーズだ。

2位『MAD MEN マッドメン』は、1960年代NYの広告業界が舞台。巨額の予算が飛び交うビジネスの場で、パワーバランス、恋の駆け引き、そして人々のエゴが複雑に作用し合う。『LOST』を抑えてエミー賞を受賞した本シリーズは、2015年までに7シーズンが製作されている。

3位は知られざるスパイたちの生活を描いた『ジ・アメリカンズ』。ロシアKGBの命を受けた男女のスパイコンビが、ワシントンDC近くでアメリカ人夫婦を装った二重生活を送る。スリリングなストーリーは、クライムドラマやサスペンス好きの人に強く訴求するだろう。暗殺、盗聴、身内への疑心暗鬼と、スパイ作品の美味しいところをギュッと凝縮したシリーズだ。冷戦時代のダークでシリアスな空気感を背景に、家族とは何か、愛国心とは何かを考えさせるヒューマンドラマのような一面も。

5位以下にはコメディがずらり

5位から9位はコメディ作品が占めている。暗いニュースも多かったここ10年だけに、心の底から笑えるシリーズは生活に欠かせない癒しだ。

今年のエミー賞（コメディ部門作品賞）で作品賞を含め6冠を獲得した『Fleabag フリーバッグ』は、本ランキングで5位となった。現代ロンドンに生きるフリーバッグは、その破滅的な性格で自ら不幸を呼び寄せる性分。耳を疑うような秘密と性欲の強さを隠しながら、今日も彼女は虚勢を張って生きてゆく。強烈な家族のキャラクターも見逃せない抱腹絶倒シリーズだ。

7位『グッド・プレイス』はそのタイトルの通り、「いい所」と呼ばれる死後の世界に迷い込んだ女性の物語。生前に破茶滅茶な暮らしを送っていたにもかかわらず、手違いで快適な生活を手にしてしまったエレノア。経緯がバレて「悪い所」に送られないよう、あの手この手でごまかし続ける。天国での奇想天外な出来事を描いた平和な作品と思いきや、やがて予想外の事態が彼女と仲間たちを襲う。

8位の『アトランタ』は、ラップを武器にアメリカの音楽シーンにデビューしたい若者の物語。アトランタ州に住む青年・アーンは、アーティストとして羽ばたき始めた従兄弟のような成功を夢見ている。意気揚々と音楽の世界に飛び込んだまでは良かったが...。期待とは裏腹にギリギリの暮らしが続くアーンをシュールかつシニカルな視点で取り上げる。

そして9位は、日本未上陸の『Parks and Recreation』。こちらは米インディアナ州の架空の公園管理課を舞台にしたオフィス・コメディだ。資金調達や用地買収などにメンバーが取り組み、その様子をカメラが追うというモキュメンタリースタイルになっている。各話もっともらしい業務が進むなか、個性爆発の職員たちの周りで珍事が頻発。シーズン7まで更新し、惜しまれつつも2015年に幕を下ろした。

ちなみに、割愛したドラマ以外の作品は、4位がBBCの自然番組『プラネットアース』、6位がアニメ作品『アドベンチャー・タイム』、10位が料理大会を取り上げるリアリティ番組『ブリティッシュ ベイクオフ』となっている。

以上、米Paste誌がプッシュする2010年代の名作シリーズをお伝えした。数年前に終了したシリーズも含まれているため、最近海外ドラマにハマり始めた方には思わぬ名作に出会うチャンスとなるかもしれない。（海外ドラマNAVI）