『ウォーキング・デッド』撮影中に死亡したスタントの裁判が開始。「事故は本人の過失」?

2017年7月12日、ジョージア州アトランタで『ウォーキング・デッド』シーズン8の撮影中に、スタントのジョン・バーネッカーが転落死するという痛ましい事故が起きた。彼の死の責任をめぐる裁判が始まり、放送局である米AMC側の弁護士が「事故は本人の過失」だと主張していることが分かった。米Deadlineが伝えている。

ジョンは、バルコニーから落ちる戦闘シーンのリハーサルでバランスを崩し、30フィート(約9メートル)の高さから転落。エアバッグを外れてコンクリートの地面に直接激突し、激しく頭部を強打したため直ちにアトランタ・メディカルセンターへ搬送されて集中治療を受けていたが、脳死状態に陥ったのちに死亡が宣告された

その翌年1月、ジョンの母親スーザンさんがAMCに対して訴訟を起こし、局側がスタントの予算削減のために安全性を怠り、バルコニーの下に適切にクッションを用意せず、しっかりとした予行演習を行うこともしなかった上、前もって現場に救急車を待機させてもおかなかったと主張していた。

今月10日(火)に始まった裁判の冒頭陳述で、AMC側の弁護士デヴィッド・A・ダイアルは「残念ながら、ジョン・バーネッカーは間違いを犯したと証拠が示しています」と、事故が起きたのは本人の過失だと論述。続けて弁護士は、なぜかジョンはレールを握り続けており、それによりジョン自身が設置したマットの安全性が確保できなくなったのだと判事と陪審員に説明していたという。

それに対して原告側の弁護士は、「彼の死は簡単に防ぐことができました」として、「落下シーンでそれまで17年間スタントの死者が出ていなかったのは確固たる安全策が確立されているから。にもかかわらず、AMCは彼の事故が起きた時はもちろん、それ以外のエピソードの撮影中も業界の安全方針に則っていません」と主張。また、現場となったバルコニーのセットが危ないことは以前から指摘されていたものの、適切な補修が行われていなかったとも述べている。

この訴訟でAMCは、ジョンが番組と直接契約を結んでいるわけでなく、『ウォーキング・デッド』の製作会社Stalwart Filmsの従業員だという書類を提出。ジョージア州の法律では、もしジョンが独立した契約者ではないと同時に、彼の雇用者がAMCではなくStalwart Filmsだと認められれば、訴訟は州の労働者補償機関の問題として扱われることになるという。

この裁判は、州裁判にて1週間以上にわたり続くものと予想されている。

2018年1月には、 労働安全衛生管理局OSHA(オーシャ)が『ウォーキング・デッド』の製作会社に対し、「雇用者を落下の危険から守ることができなかった」として最大級の罰金となる12,675ドル(約140万円)の支払いを命じていた

なお、裁判開始を受けてAMCは以下のような声明を発表。「これは悲劇的な事故であり、ジョン・バーネッカーの遺族と友人にはお悔やみを申し上げます。10シーズン、約150話にわたって『ウォーキング・デッド』の現場は安全であり、業界の基準と方針に沿っていると評価されてきました。にもかかわらず、このような非常に悲しい事故が起きてしまったのです」と述べている。(海外ドラマNAVI)

Photo:

戦闘や落下のシーンも多い『ウォーキング・デッド』の撮影現場。画像は、リック役のアンドリュー・リンカーンと彼のスタント
(C)Gene Page/AMC