名探偵ポワロや『ビバヒル』『スター・ウォーズ』のスターも...2019年に亡くなった22人+α【前編】

2019年ももうすぐ終わりですが、その前に今年惜しまれつつも亡くなった人たちを取り上げたいと思います。天寿を全うしたと思われる人とのお別れも寂しいものですが、若くして急死してしまった場合はショックもいっそう大きかったですね...。ドラマ界で活躍した人を中心に、ぜひ今一度取り上げたい人たちを前後半の2回に分けてご紹介。まずは2019年前半(1月~6月)に亡くなった12人。

■アルバート・フィニー

アカデミー賞に5度、ゴールデン・グローブ賞に9度ノミネートされた英国出身の名優アルバート・フィニーは、2月7日に82歳で永眠。2000年代後半に肝臓ガンと診断されるも手術を受けてこれを克服しましたが、感染症によりロンドンの病院で息を引き取りました。ピーター・オトゥール(『アラビアのロレンス』)とともに英国の王立演劇学校(RADA)で学び、舞台を経てスクリーンへ進出。アガサ・クリスティの有名小説をローレン・バコール、イングリッド・バーグマン、ショーン・コネリーらオールスターキャストで映画化した1974年の『オリエント急行殺人事件』で名探偵エルキュール・ポワロを演じたように、役によって外見や雰囲気がガラッと変わるのが印象的でした。主に映画界で活躍した印象ですが、母国ではいくつかのTVシリーズに出演しており、2000年代前半のファミリードラマ『My Uncle Silas(原題)』ではタイトルロールを演じています。私生活では、1970年から1978年までフランス人女優アヌーク・エーメ(『男と女』)と結婚していました。

■ジャン=マイケル・ヴィンセント

1970年代後半から1980年代にかけて活躍したジャン=マイケル・ヴィンセントといえば、日本でもヒットした映画『ビッグ ウェンズデー』の主人公マット役や、アクションドラマ『エアウルフ(超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ)』の主人公ストリングフェロー・ホーク役を思い出す人も多いのではないでしょうか。全7話の重厚な戦争ドラマ『戦争の嵐』など2作品でゴールデン・グローブ賞候補になったこともありました。2月10日に73歳で亡くなった彼は、2002年を最後に俳優として活動していませんでしたが、2012年に感染症が元で右脚の一部を切断するなど、晩年は健康上の問題を抱えていたようです。

■ブルーノ・ガンツ

スイス人俳優のブルーノ・ガンツ(写真中央)は、2月16日に77歳で逝去。2018年に大腸ガンと診断されていたそうです。カンヌ国際映画祭でヴィム・ヴェンダースが監督賞を受賞した西ドイツ/フランス合作映画『ベルリン・天使の詩』で主人公の天使ダミエルを演じて注目され、2004年にはドイツ/イタリア合作映画『ヒトラー ~最期の12日間~』でアドルフ・ヒトラーを熱演するなどヨーロッパを中心に活躍。ハリウッドでも『クライシス・オブ・アメリカ』『悪の法則』といった映画に出演しました。上の画像は、『ファイティング・ダディ 怒りの除雪車』で共演したステラン・スカルスガルド、ハンス・ペテル・モランド監督と2014年のベルリン国際映画祭で楽しそうに過ごしていた姿です。亡くなる直前まで俳優活動を続け、出演した作品は120本以上。テレンス・マリック監督作『名もなき生涯』が2020年2月21日(金)より全国公開されます。

■スタンリー・ドーネン

2019年は大物監督が何人かあの世へと旅立ちましたが、その一人が1998年にアカデミー賞名誉賞を贈られたスタンリー・ドーネン。ジーン・ケリー主演の『雨に唄えば』をはじめ、ハリウッドを代表するミュージカル作品の数々でメガホンを取りました。ジーン以外にも、『パリの恋人』や『シャレード』でオードリー・ヘップバーンと、『よろめき休暇』や『無分別』ではケイリー・グラントと組むなど、スター出演作を数多く手掛けています。2月21日、心不全により94年の生涯に幕を下ろしました。

■ルーク・ペリー

2019年にいくつもあった訃報の中でも特にショックだった一つは、『ビバリーヒルズ高校白書/青春白書』のディラン役で知られるルーク・ペリーではないでしょうか。2月27日に脳卒中で緊急搬送された彼は、その5日後の3月4日、52歳で還らぬ人となりました。『ビバヒル』のオリジナルキャストが顔を合わせた新作シリーズ『ビバリーヒルズ再会白書』に参加する矢先の出来事だったため、シャナン・ドハティら共演者のショックの大きさもひとしおでした。遺作となった青春ミステリードラマ『リバーデイル』では彼の死を受けて特別エピソードを製作。また、死後に公開されたクエンティン・タランティーノ監督の映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』にも出演していました。

■ジェド・アラン

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前述のルークの死からわずか5日後と、そのショックからまだ醒めやらぬ中で届いたニュースは、『ビバヒル』の別のキャストとの永遠のお別れ。スティーブの父ラッシュ・サンダースを演じていたジェド・アランは3月9日、家族に見守られながら84歳で安らかに旅立ちました。スティーブ役のアイアン・ジーリングが"父"を失ったことについての悲しみを綴っています。ジェドは『Days Of Our Lives(原題)』『サンタバーバラ』といった長寿のソープドラマにも出演していました。

■リチャード・アードマン

 

学園コメディ『コミ・カレ!!』で主人公ジェフと犬猿の仲だった老人レナードを演じていたリチャード・アードマンを覚えている人も多いのではないでしょうか? 1940年代に10代でハリウッド入りすると、『第十七捕虜収容所』や『トラ・トラ・トラ!』のようなアカデミー賞を受賞した名作戦争映画にも参加、マーロン・ブランドやジェームズ・キャグニーとも共演し、2017年まで活動していた彼の出演作はなんと170本以上! 監督や脚本家としての顔も持っていた彼は、3月16日に93年の生涯を終えました。私生活では一人娘に先立たれ、3年前に妻も亡くしていましたが、『コミ・カレ!!』ファミリーに愛されていて、自身の主演ドラマでも組んだベン・チャン役のケン・チョンらがその死を悼んでいます。

■ジョン・シングルトン

 

脚本・監督を担当した1991年の映画『ボーイズ"ン・ザ・フッド』で、史上最年少(24歳)かつアフリカ系アメリカ人として初めてアカデミー賞監督賞にノミネートされていたジョン・シングルトン。その後も『ワイルド・スピードX2』『シャフト』といった映画でメガホンを取る一方、『スノーフォール』でクリエイター、『Empire 成功の代償』や『アメリカン・クライム・ストーリー/O・J・シンプソン事件』では監督を務めるなどドラマ界でも活躍していました。しかし4月17日に脳梗塞で病院に緊急搬送され、それから12日後の29日、意識が戻らないまま還らぬ人となりました。享年51。

■ピーター・メイヒュー

 

1977年のシリーズ第1作からハン・ソロの相棒であるチューバッカを演じてきたピーター・メイヒュー。イギリス出身で身長221cmの優しい巨人は、2015年の『フォースの覚醒』を最後にチューバッカ役を別の俳優に譲っていましたが、心臓発作を起こし4月30日に74歳で別の銀河へと旅立っていきました。彼の死を受けて、ハン・ソロ役のハリソン・フォード、ルーク・スカイウォーカー役のマーク・ハミルなどがメッセージを寄せています。

■ペギー・リプトン

1990年代に大ヒットしたデヴィッド・リンチのミステリードラマ『ツイン・ピークス』とその続編でノーマを演じていたペギー・リプトンは、5月11日にガンにより死去。2017年に25年ぶりに作られた『ツイン・ピークス』続編で前作と大差ない姿を披露してファンを驚かせていましたが、亡くなった時は72歳でした。『ツイン・ピークス』のほかにも、ゴールデン・グローブ賞を受賞した1968年スタートの犯罪ドラマ『モッズ特捜隊』に主演するなどドラマ界が主戦場でしたが、『ポストマン』『僕のワンダフル・ライフ』といった映画にも出演していました。音楽プロデューサーのクインシー・ジョーンズとかつて結婚しており、彼との間に生まれた二人の娘は女優になっています。

■フランコ・ゼフィレッリ

オリヴィア・ハッセーが主演した1968年の映画『ロミオとジュリエット』でアカデミー賞監督賞候補になったイタリア人監督のフランコ・ゼフィレッリ。同作以外にも様々なシェイクスピア作品でメガホンを取ったほか、美術や衣装にも関わって数多くのオペラ作品を手掛けてきた彼は6月15日、ローマの自宅で永遠の眠りにつきました。享年96。文芸もの、舞台ものの印象が強いですが、ボクシング選手とその息子の夢を追う姿を描いた『チャンプ』や1930年代のフィレンツェを舞台に5人の女性と少年の交流を綴った『ムッソリーニとお茶を』といった作品も手掛けています。

■マックス・ライト

1986年から4シーズン続いた、地球に不時着した宇宙人アルフと人間の家族の同居生活をユーモラスに描くファミリードラマ『アルフ』で一家の父親ウィリー・タナーを演じたマックス・ライトが6月26日に死去。『アルフ』が終了して間もない1995年に悪性リンパ腫と診断されていた彼は、ガンと闘った末に75歳で息を引き取りました。『タイムマシーンにお願い』『フレンズ』『フロム・ジ・アース[人類、月に立つ]』といったドラマに出演する傍ら、1998年にはアントン・チェーホフの戯曲『イワーノフ』でトニー賞にノミネートされています。

Photo:『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』 © 2015 Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved 『ビバリーヒルズ高校白書』 © 90-91 CBS Paramount International Television 『アルフ』 © Warner Bros. Entertainment, Inc. 『超音速攻撃ヘリ エアーウルフ』 © 1984 Universal Studios. All Rights Reserved. ブルーノ・ガンツ © Hubert Boesl/FAMOUS 『オリエント急行殺人事件』 © 1974 by EMI Film Distributors,Ltd..All Rights Reserved. TM, ® & Copyright © 2006 by Paramount Pictures. All Rights Reserved. アルバート・フィニー ©AVTA/FAMOUS スタンリー・ドーネン 『リバーデイル』 © 2018 Warner Bros. Entertainment Inc. & CBS Studios Inc. All rights reserved. 『コミ・カレ!!』 © 2009, 2010 Sony Pictures Television Inc. and Open 4 Business Productions LLC. All Rights Reserved. ジョン・シングルトン © ElenaBaso/FAMOUS 『ツイン・ピークス The Return』 "TWIN PEAKS": ©Twin Peaks Productions, Inc. All Rights Reserved. フランコ・ゼフィレッリ