1994年から2004年まで10シーズンにわたって続いた大人気シットコム『フレンズ』。昨年は25周年を迎え様々なイベントも開催されたが、最近になって初めて見る人々も当然いる。そんな若い視聴者から、作品の設定やセリフの内容が現代の基準では古臭かったり差別的だと批判されていることについて、英Guardianのインタビューの中でロス役のデヴィッド・シュワイマーが語った。
「(何と言われようと)気にしないよ。『フレンズ』はあの当時としては、カジュアルな交際や同性愛者同士の結婚、そして人間関係を画期的に扱った作品だった。シリーズ第1話のロスは他の女性と浮気した妻に捨てられていて、のちに元妻と恋人の結婚式に出席するんだからね」と、1994年時点で早くもLGBTQ要素を採り入れていたことを強調。
続けて、「今の社会の問題点は、物事の全体像をきちんと把握せず、一部分だけ取り上げる向きが強いことだ。作品がその時やろうとしていたことの観点から考えないといけない。(『フレンズ』に関して)何かがおかしい、不適切なんじゃないかと最初に言ったのは僕だが、自分のバロメーターはあの当時かなりいい方だったと思っているよ。社会における問題、不平等に対する認識がすでにあったんだ。主要キャスト全員がアフリカ系だったりアジア系のバージョンもあるべきなのかもしれないね。(キャストが白人ばかりで)ダイバーシティに欠けることは気がついていた。だから何年も僕はスタッフに呼びかけて、おかげでロスの初期のガールフレンドにはアジア系の女性がいたし、のちにアフリカ系の女性ともデートすることになったんだ」と、人種のダイバーシティなどを気にして、改善に努めていたことを告白している。
また、ロスがユダヤ教徒であることにも言及。「ユダヤ教のキャラクターをうまく描いていたと思うよ。衝撃的でも画期的でもなかったけど、クリスマスだけでないエピソードがあったことは嬉しかったね。ハヌカー(クリスマスとほぼ同時期に行われるユダヤ教のお祭り)のアルマジロになってみたりね。少なくとも、宗教的観点の相違を認識できて良かったと思う」
なお、時代を超えて『フレンズ』が愛される理由については「SNSで世界が変わる少し前の時代を描いていることが大きいのかもしれないね。あの6人は膝を突き合わせて語り合う。それがノスタルジーを誘うんだろう」と説明。さらに、ほかのキャストとは今でも定期的に会っていると語りつつ、続編を作るアイデアには批判的な見方を示した。「みんなが同じ気持ちだと思うけど、ふさわしい形で完結したものをなぜ無理にいじろうとするんだい? お金のためにはやりたくない。やるなら納得のいく形であるべきだけど、そういう話は今のところ聞いてないよ」
(海外ドラマNAVI)
Photo:『フレンズ』シーズン9で登場したロスの恋人チャーリー(右)と (C)Warner Bros. Entertainment Inc.