一難去ってまた一難?『フレンズ』"ロス"の発言が新たな火種に

1994年から10シーズンにわたって続いた大人気シットコム『フレンズ』。新たに同作を見た若い視聴者から、作品の設定やセリフの内容が現代の基準では古臭かったり差別的だと批判されたことに対して、ロス役のデヴィッド・シュワイマーがコメントしたことは先日当サイトでお伝えした通り。ところが今度はそのデヴィッドの発言が新たな火種をもたらしてしまったようだ。米Deadlineが報じている。

問題となった発言は、英Guardian紙に掲載されたデヴィッドのインタビューの以下の部分。批判について問われた際に「(何と言われようと)気にしないよ。『フレンズ』はあの当時としては、カジュアルな交際や同性愛者同士の結婚、そして人間関係を画期的に扱った作品だった」と反論したほか、キャストが白人ばかりというダイバーシティの欠如に関しては「主要キャスト全員がアフリカ系やアジア系のバージョンもあるべきなのかもしれないね」と述べていた。

このコメントを疑問視したのは、『SUITS/スーツ』のサラ・レイトン役や『ザ・プロテクター/狙われる証人たち』のテレサ・シモンズ役で知られるエリカ・アレクサンダー。彼女は、自身がレギュラーを務めていたアフリカ系キャストによるシットコム『Living Single(原題)』を引き合いに出して、彼へ以下のようにツイートした。「デヴィッド、まさか本気で『Living Single』を知らないって言ってるの?『フレンズ』の元になってる作品よ。どういたしまして」


エリカが引き合いに出したこの作品は、日本未上陸ながら本国アメリカでは米FOXにて『フレンズ』開始の1年前である1993年から5シーズン続いた、アフリカ系アメリカ人にスポットを当てた人気のシットコム。登場人物は4人の女性と2人の男性という6人の独身の友人同士で、舞台はニューヨークのブルックリン。レンガ造りのアパートの2部屋に住む彼らが織りなす日常を面白く描いたもので、まさに『フレンズ』と言っても過言ではないくらい似ている設定だ。

以前から『フレンズ』と『Living Single』の成功の違いについてメディアでも異議を唱えていたエリカ。そんな彼女からのコメントにデヴィッドは以下のように返答した。

「やあ、エリカ。ご存知の通り、この発言はGuardian紙のインタビューで『フレンズ』のリブートについて(これまで何千回も聞かれていることだけど)聞かれた返答の直後で、ダイバーシティについてのコメントをしたんだ。リブートするにあたっての可能性の一つとしてね。『Living Single』が『フレンズ』の前に存在しなかったといった意味ではないんだよ。僕もあの作品については知っていたしね。インタビューのコメントというものは、切り取られて編集されることが珍しくないことを覚えておいてほしい。そんなインタビューから、他の媒体が刺激的なものにしようとして一部だけ引用していることもね。僕は『Living Single』のファンだし、『フレンズ』があの手の作品の先駆者だとほのめかしたつもりはない。『Living Single』の1年後にスタートした『フレンズ』は、僕の知る限りだけど、(クリエイターである)マルタ(・カウフマン)とデヴィッド(・クレーン)が、自分たちが20代の時にニューヨークで暮らしていた様子とその友人を元にした作品なんだ。『Living Single』が元になっているかどうかは、彼らに聞いてみてよ。『Living Single』のヒットがあったから、NBCとワーナー・ブラザースが『フレンズ』を製作した可能性も十分ある。真偽のほどは僕には正直分からないけど、そうだったかもしれないね! だとしたら、『フレンズ』は『Living Single』のおかげで道が拓けたんだ。いずれにせよ、あの内容は僕が話した意図とは違うもので、それは僕にはどうにもできないことなんだ。不快にさせるつもりはまったくなかったと約束するよ。デヴィッドより」


この投稿を受けて、エリカは「デヴィッド、思いやりのある言葉をありがとう。私ももう少し深みのある言葉を口にしたいと思うから期待しててね。本当にありがとう」と返答しており、二人の間にわだかまりが残ることはないようだ。


思わぬところでデヴィッドの発言が火種になってしまった形だが、実際に『フレンズ』が『Living Single』を真似たかどうかは分からない。今回の件によってアフリカ系キャストによる『フレンズ』と似た作品はすでに存在していたことが改めて知られるところとなったわけだが、だとすると次はアジア系『フレンズ』が実現する番だろうか。(海外ドラマNAVI)

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『フレンズ』
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