『SHERLOCK/シャーロック』をはじめとする数々の名作ドラマを生んだ英BBCの規模が縮小されると報道され、ネット上で同放送局を救おうというキャンペーンが展開されている。24時間以内に10万以上の署名が集まり、本日2月20日(木)現在では25万に届く勢いで署名が集まっていることが明らかとなった。米Deadlineが伝えている。
BBCが「視聴者ニーズの変化」を理由に、局の貯蓄目標額達成のため、ニュース編集部450人の解雇を発表したのは現地時間1月29日(水)のこと。その1週間前にはBBCのトニー・ホールが会長職を退く意向を明らかにしていた。
BBCは従来のTV放送の視聴者減少が続いており、その傾向は特に16歳から34歳までの層で顕著である。英国では生放送を視聴するためにライセンス料(=受信料)の支払いが法律で国民に義務付けられているが、2000年以降75歳以上の高齢者がいる家庭ではライセンス料の支払いが全額免除されており、BBC側は免除されている年間37億ポンド(約5300億円)分を税金で賄ってきた。高齢化が続く中で免除額の負担が今後大きくなっていくことは必至で、その財源だけでなく、そもそもライセンス制度そのものについて見直しの声が高まっていた。
英ボリス・ジョンソン首相に近しいという匿名の情報提供者によると、BBCの縮小について記された書類には、BBCに37億ポンドの税金を供給する制度を廃止し、放送局はNetflixのような配信を基盤にしたモデルに移行する必要があると綴られていたとのこと。また情報提供者は、BBCはRadio2を含む主要ラジオ局を売却せざるを得ず、現在10あるTVのチャンネル数も減らさなければならないだろうと述べていたと、英紙The Sunday Timesは報じている。
そんな中、ジョンソン首相が2027年に同局を解体する計画を打ち出したとの情報が報じられると、オンライン署名サイト「38 Degrees」をはじめ、いくつものサイトで「BBCを救おう」と銘打った著名運動が開始された。
そのキャンペーンでは24時間以内に10万以上の署名が集まり、一部のサイトでは数字が現時点で24万を超えて25万に届く勢いとなっている。
「38 Degrees」のキャンペーンでは、「BBCに対する政治的な攻撃を止めよう。政府が独立して説明責任を果たす役割と、BBCを弱体化させる試みにストップをかけよう。ライセンス料の廃止を止めさせ、TV&ラジオ局やサービスを停止させるな」とのスローガンが掲げられている。
これまでにBBCでは『SHERLOCK』や長寿SFドラマシリーズ『ドクター・フー』、トム・ヒドルストンが主演したスパイドラマ『ナイト・マネジャー』、歴史ドラマ『ウルフ・ホール』、クローンをテーマにした『オーファン・ブラック 暴走遺伝子』、歴史ギャングドラマ『ピーキー・ブラインダース』といった人気シリーズが製作されている。
果たして、報じられているようにBBCが規模縮小の憂き目に遭うのか、今後の動向を見守っていきたい。(海外ドラマNAVI)
Photo:『SHERLOCK シャーロック』 © Hartswood Films 2010