2度のアカデミー賞ノミネートをはじめ、映画やドラマで高い評価を得ていた名優、マックス・フォン・シドーが90歳で逝去した。3月9日(月)に彼のマネージャーがAP通信に、マックスが前日の8日(日)にフランスで息を引き取ったと告げたという。マックスはスウェーデン出身だが、2002年にフランスの市民権を得ていた。
1929年生まれのマックスは、14歳の時にウィリアム・シェイクスピアの「真夏の世の夢」の舞台を見て俳優を志し、1949年に映画デビュー。1950年代から同胞の名匠イングマール・ベルイマンと『第七の封印』『野いちご』など約10本の作品で組み、世界的に知られるようになる。ジョージ・スティーヴンス監督による1965年の映画『偉大な生涯の物語』で主人公のイエス・キリストを演じハリウッドに進出。アカデミー賞10部門で候補になった1973年のホラー映画『エクソシスト』でベテランのメリン神父を演じた時は実際は40代前半だった。1987年の『ペレ』でアカデミー賞主演男優賞、2011年の『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』では同賞助演男優賞にノミネートされた。2016年には大ヒットドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』の三つ目の鴉役で3話のみの出演にもかかわらず強烈な印象を残し、エミー賞候補となった。
「子どもの頃はすごくシャイだったから、学校で演技を学んだことで、それまでなら絶対に言えなかったようなことも表現できるようになった」ことに魅力を感じたマックスは、約70年にも及ぶキャリアで160本以上の作品に出演。「いろんな役をやりたい。似たような役ばかり演じるのはとても退屈だからね」という自身の言葉通り、『コンドル』の殺し屋、『勝利への脱出』のナチス将校、『ネバーセイ・ネバーアゲイン』のジェームズ・ボンドの宿敵ブロフェルド、『コナン・ザ・グレート』の王、『ニードフル・シングス』の悪魔、『ハイジ』のおじいさん、『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』の口を利かない間借り人、『THE TUDORS~背徳の王冠~』の枢機卿、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のロー・サン・テッカーなど、様々なキャラクターをこなした。
多種多様な役柄で映画&ドラマファンを楽しませてくれたマックスのご冥福を祈りたい。(海外ドラマNAVI)
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マックス・フォン・シドー
(C)HUBERT BOESL/FAMOUS