米CWが打ち切りとなったDC作品の放送権利を取得、他局の作品を放送する意味とは

2018年に立ち上げられたDCの配信サービス「DC Universe」で製作され、第1話が配信された直後にシーズン1をもってのキャンセルが決定してしまった異色ヒーロードラマ『Swamp Thing(原題)』。この度、同作が放送局を変え放送することが決定した。米Hollywood Reporterなどが報じている。

DCコミックスが原作の『Swamp Thing』は、植物の成長を促進する薬剤を開発中に爆発事故に巻き込まれたアレック・ホランドが、焼けただれた全身に薬品を浴びた結果、沼に落ちて新たな生命体スワンプシングとなるストーリー。

この打ち切りとなっていたドラマ版では、謎のウィルスを研究する米疾病予防管理センターの女性研究者アビー・アーケイン(クリスタル・リード)が主人公に設定され、ルイジアナ州の小さな町にある不気味な沼の秘密に迫る姿が描かれていた。

現地時間5月11日(月)、『THE FLASH/フラッシュ』や『SUPERGIRL/スーパーガール』など数多くのDCドラマを放送する米CWは『Swamp Thing』の全10話の権利を獲得したことを発表。同作は、DC映画『アクアマン』でメガホンを取ったジェームズ・ワンが製作総指揮を務めたことでも大きな話題となっていたが、昨年5月31日に第1話が配信されると、第2話が配信される前日の6月6日にキャンセルが発表された上、当初予定されていた全13話から全10話へと話数が減らされていた。

スタントマンから俳優に転身した超人ブルー・デビルを演じていたアイアン・ジーリング(『ビバリーヒルズ高校白書/青春白書』)は、早期の打ち切りが決定した際、「救済される可能性は十分あると思う。(キャンセルは)自分の俳優人生において最大の失望だったよ。この作品に出演することは再び子ども時代を生きているようなもので、僕の中に存在する8歳の自分がブルー・デビルを演じ、(共演者の)デレク・ミアーズやクリスタル・リード、番組のすべての人と一緒に仕事をすることを楽しんでいた。それに(製作総指揮を務める)ジェームズ・ワンともね。信じられないほど素晴らしい番組だから、10話で未完のまま終わるなんて悲しいよ。製作チームがたくさんの計画を立てていたのを知っているからね」と残念な思いを述べていた。

またCWは、『Swamp Thing』とあわせて、米CBSの配信サービスCBS All Accessの『Tell Me a Story(原題)』やカナダCBC製作『Coroner(原題)』などの権利も取得した。

『Tell Me a Story』は、大人気ドラマ『ヴァンパイア・ダイアリーズ』のステファン役で知られるポール・ウェズレイ主演によるサイコスリラー。現代のNYを舞台に、「三匹の子豚」や「ヘンゼルとグレーテル」といった有名な童話をストーリーに織り交ぜながら、愛や欲望、復讐や殺人といったテーマを軸に物語が綴られる物語だが、この取得発表と同時にシーズン2でキャンセルすることが決定した。

『Coroner』は、『マーベル インヒューマンズ』のメデューサ役や『グレイスランド 西海岸潜入捜査ファイル』のペイジ・アーキン役で知られるセリンダ・スワンが出演する犯罪サスペンス。こちらはシーズン2の最終回が今年の2月24日に放送されたばかり。

すでに放送、配信されている作品の権利を得て自社で放送するのは、現在製作が中断されている業界の事情にある。放送するコンテンツがないゆえに、すでにある作品を買い付けて、今後の放送枠に当てていくということだ。製作中断が長引くようであれば、各局も放送するコンテンツの獲得対応に追われるようになる。

DCドラマ『Swamp Thing』他、今回CWで放送することが決まった作品の放送スケジュールなどは、現時点では未定。(海外ドラマNAVI)

Photo:『Swamp Thing』公式Twitterより