世界中で猛威をふるう新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で、ほとんどのドラマや映画が製作中断を余儀なくされているが、ここにきて撮影再開の目途が立ったところもあるようだ。AmazonとNetflixが、3月半ばのロックダウン以降、ストップしていたフランスでの撮影再開に向けて準備を進めていると、米Varietyなどが報じている。
Amazonの新作ドラマ『Voltaire, Mixte(原題)』は、1960年代のフランスを舞台に男子校だった高校が女子学生も受け入れて共学になる模様を描くコメディ作品で、南フランスで7月中旬より撮影再開。一方、怪盗アルセーヌ・ルパンを主人公にしたNetflixの新作ドラマ『Arsène Lupin(原題)』は、俳優のスケジュールの都合で9月以降の再開になるという。なお、同作は撮影を行っていたルーブル美術館が閉館したため中断していたが、6月2日から同館も再開予定。ルパンを演じるのは、日本でもヒットした映画『最強のふたり』や『ジュラシック・ワールド』で知られるオマール・シーだ。
フランス国立映画センター(CNC)が銀行や保険会社と共同で創設した一時的補償基金のおかげで、プロダクションは徐々に再開し始めている。文化相フランク・リーステールによれば基金には5月6日時点で5000万ユーロ(約58億5000万円)を超えるお金が集まっており、これはパンデミックによって中断されたりキャンセルになったドラマや映画の撮影資金に充てられるという。さらに連帯・保健省から撮影の衛生ガイドラインが近く発表される予定だ。AmazonとNetflixはこの件に関して正式なコメントを発表していないが、エンターテイメント業界にも少しずつ復活の兆しが見えてきているようだ。
何十万人もの失業者がいるとされるハリウッドにも徐々に光は射している。中断期間中、一部の製作会社は外出規制などがない韓国やアイスランド、スウェーデンでプロダクションを行っていたが、映画の都にも遠からず活気が戻るようだ。
カリフォルニアのギャヴィン・ニューサム州知事は、今月20日(水)にNetflixのCCOテッド・サランドスや俳優のジョン・ウエルタス(『キャッスル ~ミステリー作家は事件がお好き』『THIS IS US』)ら業界関係者たちとビデオチャットを行い、来週から映画やドラマの製作現場を含むいくつもの業界が段階的に再始動できるようになると発言。ただし、ロサンゼルスは翌週からの対象には含まれていないようだ。ロスに関しては、パンデミックをテーマにしたマイケル・ベイのスリラー映画『Songbird(原題)』が今後5週間のうちに製作開始となると発表されており、これがパンデミック後にロス市内で撮られる最初の映画となるかもしれない。(海外ドラマNAVI)
Photo:
ルーブル美術館前で待機している『Arsène Lupin』のオマール・シー
(C)Emmanuel Guimier / Netflix