新作ドラマ製作のためキャスト引き留め!各局の対処法とは

新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の影響により、3月半ばから撮影・製作が中断されたアメリカドラマ界。ようやく各地で再開の目途が立ったというニュースも届き始めたが、スケジュールが大幅に遅れていることに伴い、各放送局は秋の新作製作に向けたキャストとの契約に試行錯誤しながら対処しているようだ。米Deadlineが報じた。

従来であれば、新作ドラマのパイロットを製作する場合、3月から5月にかけて配役を含むポスト・プロダクションが進められ、6月中に初回の撮影が完了しているというのが基本的な流れ。しかし、今年はその多くがパンデミックにより撮影開始前に中断したため、局側は6月末で契約が切れるはずのキャストをそれ以降も引き留めることが必要になった。また、キャストとしてもパイロットが無事製作されなかったりした場合の処遇が気になるところだろう。

この前例のない事態を受けて、全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)の代表と話し合った各局はキャストに対して様々な対処法を採っている。最初に動いたのはNetflixで、1億ドル(約108億円)の基金を立ち上げたことも話題になった彼らは、製作が中断されたキャストたちへの支払いを早くも3月下旬に開始。それに続いたのはHBOで、3月末に出演料の25%を渡しており、本来なら撮影が開始されるはずだったタイミングでさらに25%、そして実際に撮影がスタートしたら残りの50%を支払うという。

ディズニーとユニバーサルは5月頭の時点で6月末まで引き留めるために出演料の50%を支払っており、6月末に9月末まで引き留めるべく残りの50%を渡す予定だと報じられている。それに対し、ワーナー・ブラザースはすでに5月時点で全額支払った模様。一方でCBSは、キャストに9月末まで契約を延長することに合意してもらう代わりに報酬の50%を即時支払い、9月末までに製作が終わらず12月末まで契約を延ばすことになればその時に残りの50%を支払い、それ以上延長する場合は追加で50%を上乗せするようだ。

通常はまずパイロットが作られ、その出来によってシリーズ化するか否かが判断されるわけだが、パイロットなしで即シリーズ製作が決まった作品であれば、前述のようなややこしい契約問題に悩まされることはない。CBSの『羊たちの沈黙』続編ドラマやNBCのエリオット・ステイブラーを主役にした『LAW & ORDER』新スピンオフがそれに当たる。

逆に、ひとまずパイロットが作られる作品の主要キャストには、CBSの医療ドラマ『Good Sam(原題)』に出演するソフィア・ブッシュ(『シカゴ P.D.』)、CBSの政治ドラマ『Ways & Means(原題)』に出演するパトリック・デンプシー(『グレイズ・アナトミー』)、ABCのホラードラマ『The Brides(原題)』に出演するジーナ・トーレス(『SUITS/スーツ』)、FOXのコメディドラマ『Pivoting(原題)』に出演するジニファー・グッドウィン(『ワンス・アポン・ア・タイム』)などがいる。彼らはロケ再開や契約、支払いをめぐりしばらく悶々とした時期を過ごすことになるかもしれない。

先日お伝えした通り、カリフォルニア州ではロケが今月12日(金)から順次スタート予定で、人気ドラマの撮影地としてよく利用されるカナダのバンクーバーも再開に向けて動き出している。局側もキャストも再開が待ち遠しいだろう。(海外ドラマNAVI)

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ジーナ・トーレス (C)FAM008/FAMOUS
パトリック・デンプシー (C)NYKC/FAMOUS
ソフィア・ブッシュ (C)NYKC/FAMOUS