7月よりDisney+(ディズニープラス)で世界同時配信予定のブロードウェイ・ミュージカル『ハミルトン』 のクリエイター、リン=マヌエル・ミランダが、6月23日にアメリカで発売されたジョン・ボルトン著のドナルド・トランプ大統領の暴露本のタイトルについて、『ハミルトン』からの無断借用だとして茶々を入れている。米Deadlineをはじめ、いくつかのメディアが報じている。
前大統領補佐官のボルトンは、2019年9月に解任されるまで、国家安全保障問題を担当していた。その回顧録「The Room Where It Happened(原題)」は、トランプ政権の内情を暴露するものだとして、ホワイトハウスが出版差し止めを求めて訴訟を起こすなど、泥沼化していた。最終的にワシントンD.C.の連邦地裁が訴えを却下し、本は無事出版された。
この本の中でボルトンは、トランプ大統領を「無能」「危険」と糾弾し、中国の習近平国家主席に対し再選を手助けするよう求めるなど、自身の再選のことしか考えていないと、厳しく批判している。6月21日夜に米ABCが放送したボルトンへの特別インタビュー番組『John Bolton Interview(原題)』は、裏番組の、コロナ禍で医療関連業務に従事する者たちにエールを送る、米CBSの『United We Sing(原題)』の2倍以上の614万もの視聴者を獲得して時間帯トップにつき、注目度の高さを窺わせた。
一方、本のタイトル「The Room Where It Happened」は、ミランダの『ハミルトン』の代表曲の一つである、「The Room Where It Happens」にそっくりということでも話題になっていた。『ハミルトン』は、アメリカでは社会現象化するほど注目され、誰でも知っている。ボルトンの著作はその曲名をほとんどそのまま借用しており、ミランダはそのことについて、『ハミルトン』の別の歌に「誰かが歌を借用して本を書いて金にすることをコントロールできない...」と新しく歌詞を付け足してツイートした。
ちなみに『ハミルトン』は、アメリカ建国の父の一人として知られるアレクサンダー・ハミルトンの生涯を、ラップなどのリズムに乗せて描く歴史ミュージカル。時代衣装に身を包んだハミルトンを筆頭とする面々がラップを歌いまくる『ハミルトン』は、近年のブロードウェイ空前の大ヒットとなり、2015年の初演から5年経った現在でもコロナ禍によるブロードウェイ休演までチケット入手が困難だったほど、ヒット公演を続けている。
ミランダは『ハミルトン』以降、飛ぶ鳥を落とす勢いでキャリア街道を驀進中。『モアナと伝説の海』では楽曲を提供、『メリー・ポピンズ リターンズ』ではエミリー・ブラントと共演、英ファンタジードラマ『ダーク・マテリアルズ/黄金の羅針盤』にも出演している。本来なら今年6月全米公開予定だったが来年公開に延期されたミュージカル映画『イン・ザ・ハイツ』でも音楽を担当するなど、アメリカで現在最も注目されている才能の一人だ。(海外ドラマNAVI)
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リン=マヌエル・ミランダ
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