その扉は、狂気への入り口!シリーズ最恐にして最終章『Channel ZERO:ドリーム・ドア』

アメリカの都市伝説系サイト「Creepy Pasta(クリーピー・パスタ)」で紹介された投稿記事を元に製作されたホラー・アンソロジーシリーズの最終章『Channel ZERO:ドリーム・ドア』が、Huluプレミアにて8月14日(金)より独占配信を開始する。暑さ厳しい夏の夜は、背筋も凍る悪夢の扉を開いてみては?【ドラマ・レビュー】

それぞれに"秘密"を抱えながらも、幸せな結婚生活を夢見る幼なじみのジリアン(マリア・ステン『Swamp Thing(原題)』)とトム(ブランドン・スコット『THIS IS US/ディス・イズ・アス』)。ある日二人は、親から譲り受けた新居の地下室で、昨日まではなかった"青い扉"を発見する。「な、なんじゃこりゃ!」......恐怖に怯えながらも、突然現れた扉への好奇心を断ち切れない二人は、親友ジェイソン(ニコラス・トゥッチ『サプライズ』)の力を借りて、ハンマーや電ノコ、ライフルなどを駆使してこじ開けようとするがびくともしない。ところが、諦めかけていたある日、ジリアンが何気なく扉に手を合わせてみるとあっさりと開き、ドア向こうの暗闇から、不気味な動きをするピエロ男が全速力で走り去っていった!

このドラマ、地下に潜伏していた変態男が脱走し、人を殺しまくるという単純なお話じゃない。事はもっと複雑だ。まず、ピエロのような謎の男。彼はどうやら、ジリアンが子どもの頃に作った想像上の友だちで、彼女の過去のトラウマと大きく関係する闇深きモンスターだ。そんなジルの心情をよそに、夫のトムはホームセンターで見知らぬ女と親しげに喋り、夜は夜で謎の女の元へ足繁く通う。ピエロ男の解放を機に徐々に明らかになっていく夫婦の秘密...。まさに"パンドラの箱"を開けてしまった二人は、やがて想像を絶する恐怖にさらされていくのだ。

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それにしても、本作に血の雨を降らすピエロ男の動きや造形がキモすぎる件。映画『IT/イット "それ"が見えたら、終わり。』のペニーワイズのような素顔はイケメンの恐怖とは程遠く、顔はただれ、殺し方も力まかせのヤンチャ坊主。急にバンザイをしたり、バック転を披露したり、はたまた『エクソシスト』のごとく逆四つん這いで迫ってきたり、動きもクネクネし先が読みづらく、それがかえって得体の知れない恐怖を生み出している。過去のトラウマ、不倫疑惑、そして心の闇が生んだモンスター...、隣に住む孤独な大学院生の存在も気になるところだが、一見、バラバラに見える点の物語が、なんだかピエロ男によって一つの線に結ばれていく予感。果たしてジリアンは、夫婦の危機を乗り越え、トラウマを克服することができるのか?

ドラマ『ハンニバル』のニック・アントスカが脚本を担当しているだけに、大いに期待できるトラウマ・ホラー。熱狂的なファンを持つ、『Channel ZERO』シリーズの最後を飾るに相応しい恐怖体験をお見逃しなく!

ホラー・アンソロジー・シリーズ最終章『Channel ZERO:ドリーム・ドア』(全6話)は、8月14日(金)よりHuluにて独占配信スタート。

(文/坂田正樹)

Photo:『Channel ZERO:ドリーム・ドア』(c) 2018 Universal Cable Productions LLC. ALL RIGHTS RESERVED.