マーベル映画『ブラックパンサー』でティ・チャラ/ブラックパンサーを演じていたチャドウィック・ボーズマンが亡くなった。43歳とあまりにも早すぎる死だった。米Varietyをはじめ多くのメディアが一斉に報じている。
— Chadwick Boseman (@chadwickboseman) August 29, 2020
チャドウィックは8月28日(金)、4年にわたり大腸ガンと闘った末に息を引き取ったという。彼のTwitterアカウントには、チャドウィックが笑顔で写った画像とともに下記の声明が投稿された。
「計りようのない悲しみとともに、チャドウィック・ボーズマンが亡くなったことをお伝えします。チャドウィックは2016年にステージ3の大腸ガンと診断され、ここ4年にわたって闘ってきましたが、ガンはステージ4へと進行していました。
それでも、真のファイターであるチャドウィックは病気であることを周囲に感じさせることなく演技し続け、皆さんに多くの映画を届けました。すでに公開されている2017年の『マーシャル 法廷を変えた男』から2020年の『ザ・ファイブ・ブラッズ』までの作品のほか、(全米で)年内の封切りが予定されている『Ma Rainey"s Black Bottom(原題)』などほかにも数作の作品が公開を控えていますが、それらはすべて、彼が数えきれないほど多くの手術や化学療法を行いながら撮影されたものなのです。
『ブラックパンサー』のティ・チャラ王に命を吹き込めたことは、彼にとって名誉なことでした。
彼は自宅で、妻と家族に見守られながら息を引き取りました。
家族は皆さんの愛と祈りに感謝しています。どうぞ、困難な時を迎えている彼らのプライバシーを引き続き尊重してください」
公の場では一度も病気について語らず、寡黙に闘い続けたチャドウィック。今後は『ブラックパンサー』続編はもちろん、監督・脚本家・プロデューサーとしての顔も持つ彼は、今月には1957年に実際にアメリカで起きた事件をドラマ化する企画に関わることが報じられるなど、様々なプロジェクトが待機していた。
1976年に米サウスカロライナ州で生まれたチャドウィックは、バスケットボールやボクシングなどで秀でたスポーツマンだった。全米屈指の名門大学であるハワード大学に通ったのち、英国のオックスフォード大学で演劇を学んだ。20代半ばから俳優業をスタートさせ、『サード・ウォッチ』『LAW & ORDER』『CSI:NY』『ER 緊急救命室』『コールドケース』といった人気ドラマにゲスト出演した後、2010年のミステリードラマ『Persons Unknown ~そして彼らは囚われた』でレギュラーキャストに起用された。その後、2013年の映画『42 ~世界を変えた男~』で史上初の黒人メジャーリーガーであるジャッキー・ロビンソンを、2014年の映画『ジェームス・ブラウン ~最高の魂(ソウル)を持つ男~』ではソウルの神様と言われたジェームズ・ブラウンを演じて、大きく注目されるようになった。
ちなみに、チャドウィックが亡くなった8月28日は、奇しくも彼がかつて演じたジャッキー・ロビンソンを称える記念日だった。本来の記念日は4月15日だが、メジャーリーグ開幕の遅れによって今年はこの日が記念日に設定されていたのだ。8月28日は、ロビンソンがのちに入団するドジャースのオーナーと初めて出会った日であり、ロビンソンも駆けつけたマーティン・ルーサー・キング・Jrのワシントン大行進が行われた日でもあった。
人種問題を扱った『42 ~世界を変えた男~』『マーシャル 法廷を変えた男』といった映画にも出演していたチャドウィック。43年という輝かしくも短い生涯を駆け抜けた彼の冥福を心より祈りたい。(海外ドラマNAVI)
Photo:
チャドウィック・ボーズマン(本人のTwitterより)