大人気ドラマの新たなスピンオフ、『ウォーキング・デッド:ワールド・ビヨンド』(以下『ワールド・ビヨンド』)がAmazon Prime Videoにて10月2日(金)より配信中だ。10年前に世紀末を経験し、現在は壁に守られたコミュニティで暮らしている少年少女たちが、ある人物から助けを求められたため、安全な世界を飛び出して自分たちだけで冒険に出る様を描いている。『ウォーキング・デッド』の原作コミックには登場しない新たなキャラクターを演じるキャストたちを直撃! 今回取材したのは、冒険に出るグループのアリーヤ・ロイヤル(アイリス役)とハル・カンプトン(サイラス役)。冒険に出た理由やお気に入りの武器、組みたい『ウォーキング・デッド』キャラクターなどについて語ってもらった。
――本作ではゾンビのことをウォーカーと呼びませんね。
アリーヤ:ええ、私たちの番組ではウォーカーたちのことを「エンプティ」と呼んでいるの。その理由の一つは、ゾンビには何も残っていないから。同時に、"空が堕ちた夜"、つまりアポカリプトが起きた日から私たちはシェルター生活を強いられてきた。6歳とか、そのくらい幼い頃からね。そしてシェルター内で誰かが亡くなってゾンビになってしまうのを目にすると、自分たちもいつかはああなるんだと考えてしまう。その虚無感がこの名前に繋がっているの。
――アイリスやサイラスは私たちのように多くの服を持ち、電気が通った綺麗な家に住み、シェイクスピアを勉強と、一見すると普通の暮らしを送っています。彼らはなぜそこから危険な世界へ出て行くことにしたのでしょう?
アリーヤ:ある意味で私たち自身も一種のシェルター生活を送っていると思うの。なぜなら、不自由のない生活を送っているけれど、何かやりたいことがあっても、若すぎるといった理由で自分が望むように行動できないことがあるから。だから、アイリスたちがどうすべきかを自分たちで決めたことはすごくクールだった。
ハル:アイリスに賛成だな。彼らは外の世界がどんなに危険かをまだ知らない子どもたちだけど、自分たちが思うように行動することを選んだ。それぞれの理由は同じではないけどね。
アリーヤ:エルトンが一緒に来たのは、"空が落ちた夜"に行方不明になった母親の手がかりを見つけたいから。そしてアイリスは特効薬を研究する父親のようになりたい。でも、コミュニティにいたままだと何にもなれないの。"空が落ちた夜"の後で子どもたちはずっと守られてきたけど、彼らはもう何も恐れないということを決断しなければならなかった。世界の状況を見極め、その中で最善を尽くさなければならないの。
――あなたたち自身も同じような状況だったらアイリスたちのような行動を取りますか?
ハル:もちろん。ほかのキャストはどうか分からないけど、僕自身はやると思うよ。
アリーヤ:私もやれると思うわ。この作品を通してスタントを学べたし、武器を手にしていると特別な力が身体にみなぎってくるのを感じるの。第1話でアイリスが槍を手に初めて本物のゾンビに立ち向かった時の、あの高揚した気持ちそのままにね。『ウォーキング・デッド』ユニバースのキャラクターはみな、自分の武器を手にすると何でも可能な気分になるのよ。もしアイリスの武器を私が実際に持っていたら、誰にも止められないと思うわ(笑)
ハル:アドレナリンを発散するにはいい方法だね(笑)
アリーヤ:そうでしょ?
ハル:もちろんアポカリプトは起きてほしくないし、家族が死んでしまうのは嫌だけど、実際にそういう状況になったらとりあえず武器を手に取らないとね。こういう作品では「自分は生き抜ける」と思うキャラクターも多いけど、実際にはその多くが命を落とす。だから、おそらくだけどやった方がいいのは、今いる場所に留まるのではなく、放浪することだね。
――もしアポカリプトが起きた場合、お二人が手に取るのはどんな武器ですか?
アリーヤ:アイリスが使っている槍ね。名前を付けるなら「シャイロ」かな。あの"親友"はすごく長くてかなり重いから、スタントシーンでは気を引き締めて持たないといけないの。でももし別の武器を使うならミショーンの刀がいいわ。
ハル:僕が武器を使うとしたらサイラスと同じ武器(レンチ)だな。すでに使い慣れているしね。ちょっと使い方が限られているけど。
アリーヤ:私は好きよ。レンチなら振り回してもいいし、刺すこともできるもの。すごく大きいし。
ハル:別に嫌いだとは言っていないよ。僕もレンチは大好きさ。でもクロスボウもいいかも。使ったことはないけどね。
――シリーズ当初の、アイリスたちが外へ出ない設定は新型コロナウイルス(COVID-19)の蔓延で外出を制限されている現実世界と重なるものがあります。それについてはどう思われますか?
アリーヤ:その通りね。先行きが見えなくて不安だし、命が危ないかもしれない状況という点でも重なるものがあるわ。でも、みんなにはアイリスたちのように希望を持ち続けてほしいし、前向きに考えてほしい。
ハル:パンデミックの最中にこういう作品がスタートするというのは奇妙な偶然だね。新型コロナの影響で番組のプレミアもなくなり、今はロスでなく母国(オーストラリア)にいるわけだけど、アポカリプスがどんなものなのか、世界の混沌とはどんなものなのかは想像してもらいやすいかもしれない。
――お二人が好きなホラー作品は?
ハル:『ナイト・オブ・リビングデッド』を10歳の頃に見たよ。父親と一緒にね。白黒映画だったな。ラストにはビックリした! あれを見てゾンビに興味を持つようになったよ。あとは『ショーン・オブ・ザ・デッド』もいいね。
アリーヤ:私もあの映画は好きよ。でもゾンビは昔から苦手だからなるべく避けてきたの。ヴァンパイアや狼人間なら大丈夫なんだけど。とはいえ、『ワールド・ウォー Z』や『ゾンビランド』は楽しかった。特に『ゾンビランド』は生き抜くためのルールがいろいろ紹介されるのが新鮮だったわ。もちろん『ワールド・ビヨンド』に出演できたことは名誉だけど、現実世界ではゾンビはお断りね。
――本作で気に入っていることは?
アリーヤ:エンプティね。もちろんキャストやストーリーラインも素晴らしいけど、特殊効果やセットがとにかく凄いの。『ウォーキング・デッド』シリーズにはこれまでにもいろんなウォーカーが出てきて、もうネタは出尽くしたんじゃないかと思ってしまうけど、『ワールド・ビヨンド』で新しい表現を見ることができるわ。スタッフが素晴らしい仕事をしているの。
ハル:僕が気に入っているのは映像の美しさだな。アメリカのドラマは予算が凄いけど、それにしてもすべてのショットが見事だよ。スケジュールの短さを考えると驚異的だね。
――『ワールド・ビヨンド』の中でほかの『ウォーキング・デッド』シリーズのキャラクターと出会うなら、誰がいいですか?
アリーヤ:私はお気に入りのニーガンね。彼のことがとにかく好きなの。無秩序で、時には悪役だけど、善悪どちらとも言えないようなキャラクターになることもある。ヴィランはいつも似たような選択しかしないけど、彼はまったく予想外の行動をすることもある。見ていて面白いキャラクターなの。ニーガンとアイリスならイカしたコンビになるはずよ。
ハル:『ウォーキング・デッド』と『フィアー・ザ・ウォーキング・デッド』にたくさんのキャラクターが存在しているから、誰かを挙げるのは難しいな...。ダリルは初登場の人種差別的なキャラクターから大きく変わったけど、一緒に組むには向かないかもね(笑) やっぱりリックがいいかな。
『ウォーキング・デッド:ワールド・ビヨンド』(全10話)は、Amazon Prime Videoにて独占配信中(毎週金曜日新エピソード配信)。
Photo:
『ウォーキング・デッド:ワールド・ビヨンド』
(C)Macall Polay/AMC
(C)Jojo Whilden/AMC