今後はDisney+に注力!Netflixに勝負を挑むディズニー

新型コロナウイルス(COVID-19)によるパンデミックの影響で、世界のエンターテイメント業界は苦境に瀕しており、それはアメリカの業界最大手ディズニーにとっても例外ではない。そのディズニーが、今後企業の主力部門をストリーミングサービスに据えて展開すると発表した。米Gizmodoが伝えている。

ディズニーのストリーミングサービス、Disney+(ディズニープラス)は、アメリカでは昨年11月に配信を開始、サービス開始当日に加入申し込みが1000万件を超え、回線が繋がらなくなるほど反響を呼んだ。CEOのボブ・チャペックによると、現時点での加入者数は1億件を超える。

しかしパンデミックの影響により、ディズニー傘下の企業、端的に言えばディズニーランドなどのテーマパーク施設が閉鎖による大打撃を受けた。ディズニーは先頃、テーマパーク従業員2万8000人の解雇を発表したばかりだ。逆に言うと、だからこそ室内型エンターテイメントのDisney+の業績が飛躍的に伸びたとも言える。これらの環境の変化を踏まえて、今後ディズニーは、コンテンツ製作部門はDisney+に注力すると発表した。

ディズニーは今春、目玉作品の実写版『ムーラン』がパンデミックのせいで何度も公開延期を余儀なくされ、最終的に北米では9月にDisney+で配信された。月6.99ドル(約730円)の毎月の視聴料に加え、さらに29.99ドル(約3,160円)の追加視聴料が課金されるプレミアム・ビデオ・オンデマンド(PVOD)という形態で配信された。当初料金が高すぎると結果が不安視されたが、視聴者はこれに飛びつき、Disney+加入者しか購入できないのにもかかわらず、結果として900万件、2億7000万ドル(約284億円)の収益を上げた。現在では『ムーラン』はケーブルを介しての通常のVODサービスやDisney+以外の各種ストリーミングサービスでも、29.99ドルで視聴可能になっている。

アメリカでは現在でも多くの映画館は閉鎖中であり、映画館チェーンのビジネスから撤退する企業も出てきた。そのため、ディズニーはまだ今後どうなるか分からない映画館での公開に固執するのではなく、『ムーラン』のような目玉作品はPVODでの配信を検討している。

オリジナルコンテンツの提供の場としてストリーミングを主軸に据えるというビジネス展開で最も似ているのは、現在、業界を代表するNetflixに他ならない。そのため、ディズニーが本気でNetflixに勝負をかけていると考える業界関係者も多い。一方で、現在ヒット作品が途絶え気味で、新作を乱発しているNetflixの轍を踏まないか懸念する声も、業界から上がっている。(海外ドラマNAVI)

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ミッキーマウス&ミニーマウス
(C)PAULINE FRENCH/FAMOUS