『クイーンズ・ギャンビット』、印象的な天井のチェス盤にまつわる製作秘話

チェスの世界を描くNetflixの新作ドラマ『クイーンズ・ギャンビット』。アメリカのレビューサイトRotten Tomatoesで100パーセントと高評価を得ている(10月30日時点)同作では、印象的に天井のチェス盤が登場する。その製作秘話を、VFXを手掛けたチームのプロデューサーが明かしている。米Varietyが伝えた。

『クイーンズ・ギャンビット』は、1983年に出版されたウォルター・レヴィスの小説をドラマ化。冷戦時代を舞台に、児童養護施設で人並外れたチェスの才能を開花させたベス・ハーモンを主人公に、依存症に苦しみながらも、想像もしていなかったスター街道を上り詰めていく姿が描かれる。

ベスは、孤児院で管理人を務めるシャイベル氏がチェスをプレイする様子を目にして、すっかりゲームに心を奪われてしまう。それ以来、ベスがベッドに入って天井を眺めると、彼女が頭の中で駒を動かす度に、天井に現れた駒もチェス盤の上で同じように動き、その様子がVFXで表現される。

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この特殊効果を手掛けたVFXのスーパーバイザーであるジョン・マンジアとプロデューサーのアリッサ・ブラシンゲイムは、『クイーンズ・ギャンビット』に携わるまでまったくチェスの知識がなかったため、まずはゲームやルールについて学んだと語っている。よって、天井のチェス盤の駒はランダムに動いているのではなく、戦術的に意味を成す動きになっているとのこと。

マンジアのチームはプリプロダクションの早い段階で製作に参加し、本作のクリエイターで脚本も務めるスコット・フランクとプロダクション・デザイナーのウリ・ハニシュと協力し、どのシーンでVFXを使うか最初に決めたという。「チェスの駒がどのようなデザインで、どのように動くかといった詳細についても話し合ったんだ」

そしてVFXチームは、天井の撮影に使われた部屋とセットの正確な3D測定値をキャプチャするスキャニングライダーという技術を使用。そのシーンは完全にコンピューターで生成され、スキャニングライダーの使用により、特殊効果を制作する段階で忠実にカメラの動きを再現することができると説明。

またマンジアは、ベスの環境が変わっても駒の形が同じままだったのは、第1話で使用されたデザインと結びついていたからだとも語っている。

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「チェスの駒はベスにとって心を落ち着けられる対象であり、彼女は地下室でチェスについて学んだため、何か問題にぶつかったらそこへ戻っていた。ベスはチェス・プレーヤーとして成長していくが、それでも彼女の心は出発点である地下室とシャイベル氏にあり、ベスのルーツを表すためにチェスの形は変えなかった」と明かした。

VFXチームが細部にこだわった天井のチェス盤にも注目したい『クイーンズ・ギャンビット』は、Netflixにて配信中。(海外ドラマNAVI)

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Netflix『クイーンズ・ギャンビット』