マネキンも登場!? コロナ禍におけるハリウッドのラブシーン撮影法とは

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大による影響で、3月半ばよりハリウッドで映画やドラマの撮影&製作が中断された。その後にロックダウンや自己隔離の規制が緩和され、徐々に作品の製作が再開されつつあるが、このコロナ渦でキャストが距離を置けないキスシーンやラブシーンは一体どのように製作されているのだろうか? その疑問に英Digital Spyが答えている。

各ドラマの製作現場ではラブシーンに関する対策が採られている模様で、米CBSの犯罪アクション捜査ドラマ『S.W.A.T.』に主演するシェマー・ムーアは、「インチキなんかはしていないよ」と語り、ラブシーンだけでなく接近戦の戦闘シーンも除外されたと明かしている。

そして、CBSのソープオペラ『The Bold and the Beautiful(原題)』も全ラブシーンを削除し、キャストたちは互いに8フィート(約240cm)離れて撮影を行っているが、カメラワークと編集により、ラブシーンやそのほかのシーンでもキャストが鼻先に立っているように見えるとのこと。スタント・ダブルならぬ"ラブシーン・ダブル"として俳優の実生活のパートナーに演じてもらったり、親密なシーンや病院の場面ではマネキンがキャストの代わりを果たすこともあるそうだ。

では、もっと際どいベッドシーンなどの描写は、どのように撮影されるのだろうか? その場合は、暖炉やキャンドルにカメラをフォーカスさせたり、目の表情や声でシーンが盛り上がっていることを表現したりして、キャスト同士が接近せずとも安全に撮影する工夫を凝らしているとのこと。

米CWの青春サスペンスドラマ『リバーデイル』でクリエイターを務めるロベルト・アギーレ=サカサは、キャラクターに秘密の暗号や言葉を使わせてラブシーンを表現するアイディアを計画しているという。

また、米ABCの人気ドラマ『グレイズ・アナトミー』で製作総指揮を務めるクリスタ・ヴァーノフは、「もうあからさまにイチャつかせることはできないわね。でも『グレイズ・アナトミー』ではキスなしのラブシーンもすでにたくさんあったわ。服を色っぽく下から持ち上げてみたり、脱いだり、人の背後にセクシーに立ったりしてね。表現する方法はいくらでもあるもの」と話している。ヴァーノフはテクノロジーも有効活用する。今後は、離れた場所にいる人たちがくっついているように見える特別なレンズを用いるそうだ。

これから放送・配信される新作ドラマや人気シリーズの新シーズンでは、当分の間、キスシーンや互いに触れ合う濃厚なラブシーンはなくなるかもしれない。しかし、完全にラブシーンが消えてしまうことはなさそうだ。(海外ドラマNAVI)

Photo:

『グレイズ・アナトミー』
(C)Gilles Mingasson/ABC