第78回ゴールデン・グローブ賞予想〜現地メディアはどう見る?

その年の最も優れた映画とドラマを、ハリウッド外国人映画記者協会の所属会員が選定するゴールデン・グローブ賞。現地時間2月28日(日)にロサンゼルスにて第78回授賞式が開催されるが、現地メディアはどんな予想をしているのか? 複数のメディアの予想を、各賞ごとにご紹介しよう。

TV部門の各ノミネートは以下の通り。

ドラマ部門 作品賞

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『マンダロリアン』...大穴
『ザ・クラウン』...本命
『ラヴクラフトカントリー 恐怖の旅路』
『オザークへようこそ』...対抗
『ラチェッド』

シーズン1では作品賞に輝き、全てのシーズンで本部門へのノミネートを果たしてきたNetflixオリジナルシリーズ『ザ・クラウン』が本命に。昨年は『キング・オブ・メディア』に取られていたが、今年はどうなるか? 

"2020年に最も違法ダウンロードされたシリーズ"となってしまったDisney+『マンダロリアン』だが、その人気を無視することはできず、受賞する可能性も捨てきれない。

そして、HBOの『ラヴクラフトカントリー 恐怖の旅路』はこの5作品の中で唯一、タイムリーな話題である人種差別反対運動を扱っていることに注目するメディアも。

ドラマ部門 女優賞

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エマ・コリン『ザ・クラウン』...本命
オリヴィア・コールマン『ザ・クラウン』...対抗
ジョディ・カマー『キリング・イヴ/Killing Eve』...大穴
ローラ・リニー『オザークへようこそ』
サラ・ポールソン『ラチェッド』

今年の有力候補として名が挙がったのは、シーズン3から『ザ・クラウン』に登場したダイアナ妃役のエマ・コリン。チャールズ皇太子との結婚生活が始まったものの、夫の不倫や伝統に縛られた王室での暮らしに馴染めず心も体もボロボロになっていくダイアナを見事に演じている。次のシーズンでは、エリザベス・デビッキ(『ナイト・マネジャー』)にバトンを渡すことから、昨年の受賞者であるオリヴィア・コールマンから"クラウン"を取れるのかが見ものになりそうだ。

また、賞レースの常連となっている『キリング・イヴ/Killing Eve』のジョディ・カマーに期待する声も。

ドラマ部門 男優賞

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ジェイソン・ベイトマン『オザークへようこそ』...本命
ジョシュ・オコナー『ザ・クラウン』...大穴
ボブ・オデンカーク『ベター・コール・ソウル』
マシュー・リス『ペリー・メイスン』...対抗
アル・パチーノ『ナチ・ハンターズ』

本命には、3度目のノミネートとなる『オザークへようこそ』のジェイソン・ベイトマンが。『ペリー・メイスン』のマシュー・リスを挙げるメディアもいたが、その理由は『ジ・アメリカンズ』での素晴らしい演技が今まで十分な評価をされていなかったからだそうだ。実際、二度のノミネートを果たしていたが、一度も受賞したことはない。

ファン人気が高い『ザ・クラウン』のジョシュ・オコナーは、ダイアナ妃演じるエマとのダブル受賞になるか?

コメディ/ミュージカル部門 作品賞

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『エミリー、パリへ行く』
『The Flight Attendant(原題)』...大穴
『シッツ・クリーク』...本命
『THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~』
『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』...対抗

エミー賞を総なめにした『シッツ・クリーク』が間違いなく受賞するだろうと、どのメディアも予想している。本作はシーズン6で幕を閉じているが、今まで一度もゴールデン・グローブ賞にノミネートされたことがなかったため、今年の5部門でのノミネートはその"穴埋め"だろうとまで言われている。

終了済みのシリーズではなく、新作に花を持たせたいならばApple TV+の『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』だろうとLos Angeles Timesは予想。

コメディ/ミュージカル部門 女優賞

リリー・コリンズ『エミリー、パリへ行く』
ケイリー・クオコ『The Flight Attendant(原題)』...対抗
エル・ファニング『THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~』...大穴
キャサリン・オハラ『シッツ・クリーク』...本命
ジェーン・レヴィ『ゾーイの超イケてるプレイリスト』

受賞済みの『Fleabag フリーバッグ』のフィービー・ウォーラー=ブリッジと『マーベラス・ミセス・メイゼル』レイチェル・ブロズナハンがノミネートされない今年はニューカマーが目立つノミネート結果に。その中でもやはり本命は『シッツ・クリーク』のキャサリン・オハラに。

12シーズン続いた『ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則』では一度もノミネートされたことのなかったケイリー・クオコが高い評価を受けているHBOの新作『The Flight Attendant(原題)』。シーズン2への更新も決定済みの本作で受賞となるだろうか?

コメディ/ミュージカル部門 男優賞

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ドン・チードル『Black Monday(原題)』
ニコラス・ホルト『THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~』
ユージン・レヴィ『シッツ・クリーク』...本命
ジェイソン・サダイキス『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』...対抗
ラミー・ユセフ『ラミー 自分探しの旅』...大穴

こちらも『シッツ・クリーク』が強いと予想しているメディアが多い中、エミー賞のようにすべてのカテゴリーで受賞できるとは限らないだろうと言っているのがLos Angeles Timesだ。同紙は作品賞を取るだろと予想した『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』のジェイソン・サダイキスの名を挙げている。

ミニシリーズ/テレビムービー部門 作品賞

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『ふつうの人々』
『クイーンズ・ギャンビット』...本命
『Small Axe(原題)』...対抗
『フレイザー家の秘密』
『アンオーソドックス』...大穴

評論家からも視聴者からも愛されたNetflixの『クイーンズ・ギャンビット』が確実だという声が多いが、ダイバーシティを意識している場合は『それでも夜が明ける』でアカデミー賞に輝いたスティーヴ・マックィーンが手掛けた『Small Axe(原題)』(Amazonオリジナル)の受賞もあるだろうと予想しているメディアも。本作はマックィーン監督のルーツとなるロンドンのカリブ系コミュニティーにおける差別と闘いの軌跡を描いたリミテッドシリーズ。

【ミニシリーズ/テレビムービー部門 女優賞】

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ケイト・ブランシェット『ミセス・アメリカ ~時代に挑んだ女たち~』
デイジー・エドガー=ジョーンズ『ふつうの人々』
シラ・ハース『アンオーソドックス』...大穴
ニコール・キッドマン『フレイザー家の秘密』...対抗
アニャ・テイラー=ジョイ『クイーンズ・ギャンビット』...本命

オスカー女優のケイト・ブランシェットとニコール・キッドマンがノミネートされている女優賞だが、どのメディアも『クイーンズ・ギャンビット』のアニャ・テイラー=ジョイが受賞するだろうと予想。米Insiderは例えチェスを好きでもなく、ルールがわからない人でも試合中の彼女が見せた激しい競争心と有無を言わせぬ支配力はこのマインドスポーツをセクシーに見せたと評価している。

【ミニシリーズ/テレビムービー部門 男優賞】

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ブライアン・クランストン『Your Honor(原題)』...大穴
ジェフ・ダニエルズ『ザ・コミー・ルール 元FBI長官の告白』
ヒュー・グラント『フレイザー家の秘密』...本命
イーサン・ホーク『The Good Lord Bird(原題)』
マーク・ラファロ『ある家族の肖像/アイ・ノウ・ディス・マッチ・イズ・トゥルー』...対抗

数多くの名作を世に送り出しているHBO作品の中でも、ロマコメの帝王として知られるヒュー・グラントがミステリースリラー『フレイザー家の秘密』で見せた演技を絶賛する声が多い。
一方、『ある家族の肖像/アイ・ノウ・ディス・マッチ・イズ・トゥルー』で一卵性双生児の双子の兄弟を見事に演じ分けたマーク・ラファロの評価も高く、統合失調症の兄を演じるために18キロも体重を増やしたそうだ。その演技は、ほとばしるエモーションと鬼気迫るリアリティで、見る者をぐいぐいと画面に引き込むほど。

助演女優賞

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ジリアン・アンダーソン『ザ・クラウン』...本命
ヘレナ・ボナム・カーター『ザ・クラウン』...大穴
ジュリア・ガーナー『オザークへようこそ』
アニー・マーフィ『シッツ・クリーク』...対抗
シンシア・ニクソン『ラチェッド』

『X-ファイル』でゴールデン・グローブ賞の常連だったジリアン・アンダーソン。「"イエス"と答えなかったら大バカ者ね」とオファーを受け演じたのが『ザ・クラウン』でのマーガレット・サッチャー英国元首相だ。過去にはメリル・ストリープがサッチャーを演じオスカーに輝いていたが、ジリアンもそれに続けるか? ヘレナ・ボナム・カーターも同作で素晴らしい演技を披露しているが、ジリアンと票が分かれることになるだろう。

そこで、ファンのお気に入りで昨年のエミー賞を総なめにした『シッツ・クリーク』からのアニー・マーフィがどれだけの票を得ることが出来るかも注目されている。

【助演男優賞】

ジョン・ボイエガ『Small Axe(原題)』...対抗
ブレンダン・グリーソン『ザ・コミー・ルール 元FBI長官の告白』
ダニエル・レヴィ『シッツ・クリーク』...本命
ジム・パーソンズ『ハリウッド』...大穴
ドナルド・サザーランド『フレイザー家の秘密』

コメディ部門男優賞&女優賞と同じく、エミー賞で主要7部門を受賞した『シッツ・クリーク』が助演男優賞でも強いと見ており、ダニエル・レヴィの受賞を予想するメディアがほとんどだ。作品としての評価も高い『Small Axe(原題)』のジョン・ボイエガ(『スター・ウォーズ』シリーズ)に取られることなく、有終の美を飾れるか気になるところだ。

第76回ゴールデン・グローブ賞授賞式は2月28日(日)にロサンゼルスにて開催。(海外ドラマNAVI)

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Netflixオリジナルシリーズ『ザ・クラウン』は独占配信中。
Netflixオリジナルシリーズ『オザークへようこそ』は独占配信中。
『シッツ・クリーク』
『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』Apple TV+
『THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~』
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Netflixオリジナルシリーズ『クイーンズ・ギャンビット』は独占配信中。
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