大人気ファミリードラマ『フルハウス』のジェシーおいたん役で親しまれているジョン・ステイモスが主演する新作ドラマ『ビッグショット!』が、いよいよ本日4月23日(金)よりDisney+(ディズニープラス)にて配信スタート。ジョン・ステイモスのインタビューをお届け。
『ビッグショット!』は、『アリー・myラブ』や『ビッグ・リトル・ライズ』などを手掛けたデビッド・E・ケリーと、『iゾンビ』のディーン・ローリーが手掛ける再起を図るバスケットボールの鬼コーチとエリート女子高生たちとの絆と、成長していく姿を描いたスポーツドラマ・シリーズ。
ジョン・ステイモスは、カッとなる性格が災いして NCAA(全米大学体育協会)から追放されたバスケットボールの鬼コーチ、マーヴィンを演じる。彼は名声を取り戻すため、不本意ながらエリート私立女子高のチームコーチに着任するも、非情に徹してきたマーヴィンとくせ者揃いの"お嬢様高校生"たちは互いに反発。しかし、選手たちとの絆を築いていくうちに、マーヴィンの心にも変化が生まれ、自らが内心こうありたいと感じていた人間像へと近づいていく―。
2019年に製作開始された本作だが、実は7年も前に企画されていたとジョンは明かす。「『Hey!レイモンド』などに出演している素晴らしい役者ブラッド・ギャレットは、デビッド・E・ケリーとディーン・ローリーと一緒に仕事(2013年から米FOXで放送されていた『クレイジーワン ぶっ飛び広告代理店』)をしていたとき、二人にこの番組を売り込んだんだ。『The Big Ugly』とか何とかいうタイトルだったと思う。彼みたいに大きくて機嫌の悪い男が高校で教えているというものだった。でも、それは作られなかった」
一度は見送りとなったが、それから数年後、ちょうどディズニープラスが始まった頃にこの番組の話が持ち上がる。「製作総指揮の一人が僕たちに「何か、過去のパイロットか番組で、あなたたちが好きだったものはある?」って聞いたんだ。その一つがこの番組だった。興味深かったよ。ちょうどディズニープラスが始まったところで、彼らはどういうものにするか、どんな番組をやりたいかを考えた。そして、僕は台本読みをやったのを覚えているよ。そのときデビッドは僕の方を見て、「僕はこれを全部書き直すよ」と言ったんだ」
ジョンは書き直された脚本を読んだ時のことを振り返り、「それは見事だった。素晴らしかった」と絶賛。しかし、第2話の脚本が届くまで数カ月あったという。「展開をどれほどダークに、どれほど先端的に、どれほど深いものにするかについての議論があったからだと思う。僕は彼らがそれについて考えたのを嬉しく思うよ。なぜなら、先端的なものにするかわりに、ハートとエモーションで満ちたものにしたと思うからだ」と述べ、本作はよく練られたストーリーだということがわかる。
ジョンが演じるマーヴィン・コーンは人から好かれないキャラクターで、彼はある意味、他の人たちと違う。これまでジョンが演じた『フルハウス』のジェシーや、『ER 緊急救命室』のトニー・ゲイツにつながるところがあるのか聞くと、「あると思う」とジョンは述べるが、周囲の反応は違うようだ。「この番組に対する反応や批評はこれまでとは"違う"というものだ。多くの人々は僕がやってきたたくさんの舞台を見ていないし、小さな作品でやったもっとシリアスな演技を見ていないと思う。だから、人々は「ワオ、あれは違う」って思うんだ」と分析する。
またマーヴィンを演じるにあたり、父親を手本にしたという。「父はとても大きな声で話す。彼はギリシャの男なんだ。僕がこのキャラクターを演じるにつれて、僕は父に、そして父がどういう人かということにどんどん近づいた。でも、僕は人から好かれない人でいないといけなかったんだ。また彼は怒りっぽい。人々は僕がそういうのを演じているのを見たことがないと思う」
さらに、「妻ケイト(・マクヒュー)に「みんなが"これは違う人"だって言うけど、僕にある意味近いよね?」って聞くと、彼女は「そう、そう。あなたはああいうふうに怒鳴るわ。あなたは物事に対して情熱的よ」って言うよ」と述べ、自身がマーヴィンに似ている部分もあるという。
――あなたが若かった頃、高校とはどんな関係がありましたか?特にスポーツのコーチと。また、この役のインスピレーションに使えるような思い出はありましたか?
それは良い質問だね。僕は中学校と高校でバンドオタクだったんだ。高校に行くまではさなぎから蝶へと変身する真ん中か最後あたりだったんだ(笑) 当時、僕はスポーツをやっている連中にからかわれていたから彼らが怖かった。すごく嫌だったよ。でも、自分自身に正直だった。みんなでアイルランドのコンペティションに行くために、たくさんのキャンディ・バーを売って資金集めをした。同時に僕たちは朝の5時に起きて練習していた。近所の人たちは気に入らなかったけどね。結果、すべてのコンペティションでナンバーワンを取ったんだ。
スポーツと同じように、もちろんベストを尽くさないといけない。それが、マーヴィンに関して素晴らしいことだよ。ただ彼は、人々にベストになってもらいたいんだ。そして彼は勝ちたい。もし彼が勝たなければ、少なくとも「きみたちは全力を尽くしたんだ」と言いたい。最初のエピソードのスピーチで、彼は「ベストを尽くせ。ベストを尽くせ。僕が頼みたいのはそれだけだ。最終的に、自分を鏡で見て、勝つために出来ることはすべてやった、と言えること。もし勝てなければそれで構わない。次回、僕たちは勝つんだ。でも少なくとも、出来ることはすべてやったんだ」と言う。それは重要なレッスンなんだ。僕は毎日それを覚えておこうとしている。もしその例えを使って、何かがうまくいかなければ、少なくともそれを出来ることがわかる。全力を尽くして出来ることがね。そういうことを出来る能力があるということだ。それは、僕たちみんなが使えることだと思う。
僕が願っていることはこういうことだよ。僕は高校生に戻って「大丈夫だよ」と、彼の耳にささやきたい。「大丈夫だ。女の子をゲット出来る。仕事につくことが出来る。家の裏庭にディズニーランドのサインを置ける。あなたは大丈夫になるよ」とね(笑)
――そんな激励のスピーチをする気分になれるように、準備したことは?
僕は多くのことのために音楽を使うんだ。ミュージシャンであることで、僕の中にある音楽のリズムをよく使っていると思う。それはゆっくりしたリズムで、時々は熱狂したリズム。またはとても強いビートだったりする。今回はマーヴィンのために、普段はまったく聞かないんだけど、ヘビーメタルを聞いていたんだ。
そして、コーチを演じるのはとても難しかった。僕はスポーツを理解していないから。それは残念なことだと思うよ。僕の父はスポーツが大好きだし、ゴルファーだったからね。トライしようとしたんだけど、うまくいかなかった。
正直、『ER』で医者を演じていた時に覚えた医学用語の方が、スポーツの用語を覚えるよりも簡単なくらいに感じたよ。だからマーヴィンを演じるために、レイカーズでプレーしていたバスケットボール選手のジェリー・ウェストと、一緒に過ごしたんだ。彼はレイカーズのロゴになっている人なんだ。
そして彼はこの前ショートメッセージを送ってくれたんだ。「ジョン、僕は(この番組の)予告映像を見たところなんだけど、まさに僕の人生にいたコーチたちみたいだ。僕はもちろん役者じゃないけど、君は多くのコーチたちが若い人々に伝えようとしているイメージを見事に捉えたよ」とね。それはまだ続くんだけど、嬉しかった。
――この番組はコロナの影響を受けました。撮影中、家族と離れて撮影を進めたそうですが、その他にも大変だったことはありますか?
撮影所で(コロナの感染者が)出たんだ。僕の友だちのダン・フォーゲルマンが携わる『THIS IS US/ディス・イズ・アス』は撮影を中止しないといけなかった。僕は彼に電話をして、「どうなってるの?」って聞いたんだ。そしたら彼は「そうなんだ。僕たちは去ったんだよ」って。まるで戦争か何か起きたみたいだった。そしてついに、僕らのところでも製作陣が「オッケー。みんな家に帰って」って言ったんだ。
そうなった時、みんなも同じように感じたと思うけど、僕たちはそれをコントロールしようとしていたけど出来なかった。それから数カ月後、「ちょっと待って。僕たちは一度もコントロール出来なかった。このこと(コロナ禍)に関して、僕たちはとても弱いんだ」と思ったよ。それからはずっと家にいて、「僕たちはどうするの?」って感じだった。
しばらくして彼らがやって来て、「仕事に戻るようにトライしてみよう」と言ったんだ。最初は怖かったよ。3歳の息子がいるし、僕たちキャストはそのことについて話し合い、何人かはオッケーで、何人かはオッケーじゃなかった。でも最終的には対策をして撮影を再開させた。その決断は正しかったと思う。今まさに、『ビッグショット』みたいな番組が必要だと思うから。でも、大変だったよ。僕たちは3度撮影を中止したんだから。
『ビッグショット!』は、本日4月23日(金)よりディズニープラスで配信開始。以降、毎週金曜日に新エピソードが配信となる。
(海外ドラマNAVI)
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『ビッグショット!』© 2021 Disney/ジョン・ステイモスの公式Instagramより