世界中で社会現象を巻き起こし、多くの人々の心を温めてきたApple TVの大人気コメディドラマ『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』。シーズン3で見事な結末を迎え、世界中のファンが惜しみない拍手を送った本作だが、待望のシーズン4が配信開始となった。今回は、主演・企画を務めるジェイソン・サダイキスをはじめ、ブレンダン・ハント、そして新キャストのターニャ・レイノルズを迎えた特別インタビューをお届け。完結と思われた物語のその先を描く決断、新たな舞台への挑戦、そして今作に込められた普遍的なメッセージまで、たっぷりとお話を伺った。
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『テッド・ラッソ』シーズン4をキャストが絶賛!「ファンの期待に応える内容」
Apple TVの大人気シリーズ『テッド・ラッソ:破天荒コー …
復帰への決断と「未知なる世界」への飛び込み
—シーズン3はまるで完全なお別れのような形で終わりましたよね。「ただ『テッド・ラッソ』を続ける」のではなく、「まだ語るべき物語があるんだ」とクリエイティブ面で納得できるようになったきっかけは何だったのでしょうか?
ジェイソン・サダイキス:まず自分の中でアイデアのカップを満たす必要がありました。たぶん32オンス(約1L)入るくらいの巨大なカップですね。でもその後、幸運にもこのドラマを一緒に作ることができている仲間たち、ブレンダンや共同クリエイターのジョー・ケリー、そして脚本チームのメンバーと話し合いました。それぞれ個別に話すだけでなく、何も決まっていない段階でライター合宿を開いてみんなで意見を出し合ったんです。自分の中に湧き上がっていた情熱が、みんなのところにも波及しているか確認するためにね。そして、実際に波及していたんです。
それでもなお、なぜまたやるのか?という健全な自問自答や不安と向き合わなければなりませんでした。自分の中でそうした疑問に答えを出していって、一度やると決めた以上は、誰も失望させたくないですからね。そうやって僕たちの制作が再び動き出したんです。
—「考える前にまず飛び込め(Leap before you look)」というスローガンについて伺わせてください。これは企画の最初からあったものですか?それとも制作を進める中で徐々に浮かんできたものでしょうか?
ジェイソン:最初からあったと思います。以前作ってあんなに誇らしく思えた完結編の後に、もう1シーズン『テッド・ラッソ』を作るというのは、メタ的な意味で不思議な挑戦ですからね。
それって、テッド自身が女子チームの監督という新たな挑戦に対して「深く考えずにまず飛び込む」と決断したこととすごく似ているんです。向かう場所は同じイギリスで、家族のサポート体制などがあっても、女子チームを指導するというのは彼にとって完全に未知の新世界です。彼がその状況に立ち向かえるかどうか。うん、このスローガンは最初から作品の根底に組み込まれていたと思いますね。
—復帰するにあたって一番大変だったことは何ですか?また、再び役に没入するのは簡単でしたか?
ブレンダン・ハント:役に戻るのは一瞬でしたね。僕の場合、あのサングラスが演技の大部分を担ってくれていますから(笑)あれを掛けた瞬間、演劇の舞台に立っていなくてもトニー賞の半分を手中に収めたような気分になれます(笑)
ストーリー作りに戻るプロセスにはいくつかの段階がありました。ジェイソン、ジョー・ケリー、そしてライターたちと集まって話し合い、一歩進むごとに「よし、まだ語るべきものがある」と手応えを得ていきました。そして本格的なライターズ・ルームが始まってからは、一気に走り出しましたね。
ジェイソン:今回面白かったのは、見慣れた舞台に戻りつつも新しい要素が入ってきたことです。これまでの世界観を再構築しながら、新キャラクターたちと一緒に新たな世界を作っていく必要がありました。だから、ロイ・ケントやジェイミー・タート、そして“偉大なるネイト”を生み出していたシーズン1の時のマインドセットに戻らなきゃいけなかったんです。それが作品を再び新鮮にしてくれて本当に楽しかった。そして新キャストのメンバーたちが加わり、期待以上の素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたんです。本当に最高の撮影体験でした。編集も、撮影も、執筆も楽しかった。僕たちが作った時のこの熱量が、観てくれる人々にも伝わるといいなと思っています。
伝統を守りつつ描く、リアルなストーリーテリング

—このドラマを熟知し、深く愛している世界中のファンがいる中で復帰することの一番の難しさは何でしたか?伝統と斬新さのバランスをどのように取りましたか?
ジェイソン:それはおそらく、輝かしい歴史を持つ伝統あるクラブに新加入するサッカー選手たちの気持ちと同じだと思います。僕が10年間出演していた『サタデー・ナイト・ライブ』も、スポーツチームのような場所でした。49年間ずっと「新人メンバー」が叩かれ続けてきた番組です。最初のキャストの時からそうで、チェビー・チェイスが降板してビル・マーレイが入った時もファンは不満を言っていたし、僕らの世代が入った時もウィル・フェレルやティナ・フェイ、ジミー・ファロンが去った後で叩かれました。歴史は繰り返すんです。でも、やるしかない。「ショー・マスト・ゴー・オン」です。
だから、古き良き要素と新しい要素を混ぜ合わせるのは楽しかったですよ。僕たちは昔から、細かな演出や伏線、過去作へのオマージュを散りばめるのが大好きで、それを「自分のクローゼットから服を選ぶようなもの」と呼んでいます。今回もそういう仕掛けがたくさんありますよ。100人中一人の熱狂的なファンしか気づかないようなマニアックなネタもあります。
古いものの中に新しさを見つけ、新しいものの中に懐かしさを見出す作業は、本当に楽しいプロセスでした。常に頭をフル回転させてくれます。不安定な足場の上に立ってダンベルを挙げさせられるトレーニングってあるじゃないですか、全身と脳の意識が全開になるような。まさにあの感覚がずっと続いている感じでした。
—数々のアイデアや、物語とキャラクターが進み得た無数の可能性について伺いたいです。没になった面白いアイデアを教えてもらえませんか?
ジェイソン:パッと情景が浮かびやすかったので検討したアイデアを一つ覚えています。ただ、アートのためではなく、単に僕たちのプライベートで話していただけだったので、深く掘り下げず不採用にしました。それは「テッドがアメリカのチームを率いていたらどうなるか?」というものです。男子プロリーグか女子プロリーグのチームですね。
これは僕たちが女子サッカーを描くことにまだ正式決定する前の話です。「レベッカがスポルティング・カンザスシティを買収したら?」なんて軽く話し合いました。結局そこへは行き着きませんでしたけどね。ただ、仕事に行くために13時間も飛行機に乗らなくて済むという点だけは、すごくイメージしやすかったです(笑)目の前に降りてきた魅力的な選択肢でしたね。
あと、初期の初期からあって、(シーズン4の)第1話に使われたアイデアもあります。それは、ヒギンスとキーリーとレベッカがカンザスシティで全身ソースまみれになりながらバーベキューを食べているというシーンです。最初からずっと僕のツボに入っていてね。自分が考えたそういうシーンが形になるのを見るのは最高ですよ。特に、制作費を他の誰かが払ってくれている時はね(笑)
—脚本チームはプロの監督や選手たちにも取材を重ねたと思います。そうした対話によって、ドラマへのアプローチや演技などに変化はありましたか?
ジェイソン:100パーセント変わりましたね。試合を観ることもそうです。「あらゆる出来事はネタになる」という名言がありますが、まさにその通りだと思います。ショートフォームの即興コメディ出身の人間からすると、日常は「お題」に溢れているんです。世界中にあるお題を拾い上げて、そこから何かを作り出す。
だからピッチの上で起きているリアルな状況や、ピッチの外で起きている泥臭い現実を作品に取り入れることは非常に重要なんです。そして何より、ブレンダンがサッカーの歴史に詳しく、言葉巧みで、心からサッカーを愛しているという存在であることが大きいですね。ネットで検索することもできますが、ブレンダン・ハントの情報量にはインターネットだって敵いませんから。
だから僕たちはそのリサーチを続けました。それに、現役のクラブ所有者や選手側のコンサルタントも何人か参加してくれました。彼らの心理や現実を深く理解したかったので、そうした要素をストーリー展開にも盛り込んでいます。ただし、聞いた話をそのままドラマにするわけではありません。コメディやドラマとしての演出上、あえて「よくある典型的な展開」を把握した上で、その逆を行くことも必要だからです。でも、そうした現場の生の声に触れられたのは素晴らしい体験でした。
指導法の違いと、広がる女子スポーツの熱気
—女子チームを指導する際、特にテッドやビアードのように思いやりのある監督にとって、どのような違いや難しさがありましたか?
ジェイソン:そうですね、テッドとビアードのように女子チームの指導経験がほとんどない状態だと、著しく不利な状況に置かれます。リサーチの過程で、南カルフォルニア大学の女性教授とお会いする機会がありました。彼女が違いを凝縮して説明してくれた話が、まさに素晴らしい例えだったんです。
その教授が言うには「男子チームの場合、跳べ!と指示すると、彼らはどれくらいの高さまでですか?と聞いてくる。でも女子チームの場合、彼女たちはなぜ?と聞いてくる」と。理由をちゃんと説明して納得させれば、彼女たちは完璧にやってくれるんです。これは本当に素晴らしい比喩ですし、理にかなっています。こういった指導の手掛かりを掴むことで、シーズンを通じて近づいたり距離をとったりしながら描いていくことができました。
ブレンダン:その対話の違いが実に面白いので、後半でもそのバージョンを描いています。これを障害や進行を遅らせるものとして捉えるべきではないと思うんです。テッドも最終的にはこれをチャンスだと捉えます。なぜなら、お互いに意見を言い合える対等なコミュニケーションの扉が開き、自然と双方向の信頼関係が生まれるからです。そうすれば、嫌でもお互いを知ることになり、絆が深まって、結果的に強いチームになれるわけです。
現場の空気感と、新キャストがもたらした化学反応

—ターニャ、あなたの経歴を拝見したところ、即興コメディの経験がおありですね。すでに完成されているこのキャスト陣に加わるにあたって、その経験は役に立ちましたか? それともあまり関係なかったでしょうか?
ターニャ・レイノルズ:実は私、即興が得意なわけじゃないんです(笑)大学を卒業した後にインプロのクラスに通ったんですが、それはコメディが上手くなりたくて受けたというより、社交不安を和らげるためだったんです。「予想外の出来事を極度に恐れないようにする」「自分を意識しすぎないようにする」ための訓練でした。
でも、この二人は即興の天才たちなので、共演は本当に大変でした! アリス(ターニャの役)としての即興といえば、彼らが全力で即興演技をしている横で、ひたすら超厳しい真顔をキープすることくらいで(笑)だから今回の現場では、私は即興という面では大した貢献はできていないんです。だって二人がすごすぎて……。
ジェイソン:だけど、現場での脚本の変わり方にはある種の即興性がありますからね。展開がどんどん新しくなっていくので。「失敗する可能性を受け入れることを学べる」という意味では、僕もターニャと同感ですよ。インプロは「考える前にまず飛び込む」ことを教えてくれますから。アリスも即興をやった方がいいですよ。彼女には絶対それが必要です(笑)
—ターニャ、ジェイソンとの共演はいかがでしたか? 特に性格やアプローチが常に衝突し合う二人のキャラクターの掛け合いを演じるのはどんな体験でしたか?
ターニャ:ええ、本当に探求し甲斐のある楽しいダイナミクスでした! テッドと正反対の極端な性格を演じるのは最高に楽しかったですし、遊べる要素がたくさんありました。ただ、いつも笑いを堪えるのが本当に大変だったんです。私自身は爆笑したくてたまらないのに、アリスは絶対笑わないキャラクターですからね。彼女、人生で4回くらいしか笑ったことないんじゃないかしら(笑)でも、男たちの破天荒なバカ騒ぎに対して、真顔で突っ込むストレートマンを演じられたのは本当に楽しかったです。至福の撮影でした。
—シーズン3の最終回は、本当に見事な区切りに感じられました。だからこそ、再会した時、皆さんはどんなお気持ちでしたか? またターニャさん、初めてセットに入った時の心境はいかがでしたか?
ターニャ:私は今回が完全な初参加だったんです。最初の本読みの時も私は参加できず、ウェールズの山の中にいました。だから撮影初日にセットに行って、初めて全員と顔を合わせたんです。でも本当に温かかったですよ。スタッフの多くが過去3シーズンを共にしてきた人たちだったので、すでに出来上がっている温かい家族の中に足を踏み入れたような感覚でした。みんながお互いを知っていて、現場に戻ってこられたことを心から喜んでいました。本当に素敵な雰囲気でした。
ブレンダン:僕たちにとっては3度目か4度目のシーズンになるので、ある意味「3回目の同窓会」のようなものでした。新シーズンの撮影のためにみんなで再会するあの瞬間が、僕は毎回大好きなんです。誰もがビジネスライクではなく、心から再会を喜んでいます。でも同時に、僕たちには果たすべきミッションがあることも分かっています。だからハグも形だけのものではなく、「うわあ、会えて本当に嬉しいよ!よし、やろうか!」といった感じで、一瞬で気持ちを切り替えて現場の仕事に戻るんです。
世界中のファンへ届ける「普遍的なメッセージ」

—今シーズンは、アメリカやイギリス以外の世界に向けて、どのように響く作品になっていますか?
ジェイソン:僕たちがこのドラマで語っているテーマが、変わらず「普遍的」なものであり続けてほしいと願っています。誰もが何かを信じる必要がありますし、誰しも人生における何らかのチームの一員である必要がありますから。
それに幸いなことに、画面の下にはあの便利な文字…字幕が出ますからね! あれは本当に助かります。僕の父親なんて、いくら同じ英語でもイギリス英語のアクセントが聞き取れなくて字幕を必要としています(笑)妻がOASISのドキュメンタリーを観たがった時も、開始2分で「字幕つけるわ。彼らの言ってることサッパリ分からない!」って言いましたから。僕なんてイギリスに住んでいたのに、未だに字幕が必要です(笑)だから、そういうユニークさや普遍的な要素が、皆さんに観続けてもらえる理由になればいいなと思っています。
—『テッド・ラッソ』は多くの人にとって単なるコメディ以上の存在となり、辛い時期の心の支えになってきました。今回物語を締めくくるにあたり、最終回が終わった後もずっと観客の心に残り続けてほしいと願うものは何ですか?
ジェイソン:僕たちはみんな、一緒にこの世界を生きているんだということでしょうか。特に今は、誰もが分断されていて、アルゴリズムに基づいた「自分専用」の個別の体験ばかりを与えられ、あたかも「他人は必要ない」と思わせられるような時代じゃないですか。でも、実際は他人が必要なんです。だから、外に出ていろんな人と出会ってほしいんです。探求心を忘れず、決めつけたり批判したりせず、相手に好奇心を持って接してほしい。このドラマのキャッチフレーズを全部並べることもできますが、一番伝えたいのはそこです。「批判するより、好奇心を持とう」。そして何より、一人で抱え込まないことですね。
ブレンダン:「人生はチームスポーツだ」。ドカン! うわ、シーズン5が今始まったぞ!(笑)
ジェイソン:今の言葉、クッションの刺繍にしよう(笑)
『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』シーズン1~4はApple TVにて独占配信中。







