イギリス在住ライター/英国ドラマ愛好家の名取由恵です。このコラムでは、イギリスで話題になっている英国ドラマを中心に、最新のエンタメ情報を現地からリアルタイムで発信していきます。
日本でも大人気の英国俳優の一人、デヴィッド・テナント。ドラマ・映画・舞台・ナレーション・声優・朗読・司会など、様々な分野で活躍する人気者だ。デヴィッドが主演の人気ドラマ『グッド・オーメンズ』の最終章に当たるシーズン3の配信が5月13日に決定したことも伝えられている。今回はイギリスが誇る国民的俳優、デヴィッド・テナントのキャリアに焦点を当て、2020年代に入ってからの主な出演ドラマを、日本未放送・未配信作品も含めてご紹介!
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デヴィッド・テナントのプロフィール
1971年4月18日生まれ。スコットランド中部ウェスト・ロージアン出身。父親はスコットランド国教会の聖職者だった。幼い頃からBBCの長寿SFドラマ『ドクター・フー』の大ファンで、俳優を目指す。16歳の時にプロ俳優としてデビュー。17歳から20歳までロイヤル・コンサヴァトワ・オブ・スコットランド(旧Royal Scottish Academy of Music and Drama)で学ぶ。ドラマ、映画に出演して着々と実力をつけた後、2005年末から『ドクター・フー』の10代目ドクター役で大ブレイク。2010年に11代目ドクターと交代する形で番組を去るまで、5年間にわたり『ドクター・フー』に出演した。降板後も記念番組に再出演するなど、ファンからは「歴代最高のドクター」として根強い人気を誇る。その後もドラマ、映画を中心に様々な分野で活躍中。
20 years ago today, the Tenth Doctor and Rose set course for NEW EARTH – and began a whole new series of adventures in #DoctorWho Series 2! ❤️❤️ pic.twitter.com/vG2zcY1CWg
— Doctor Who (@bbcdoctorwho) April 15, 2026
『ドクター・フー』のシーズン4で共演したジョージア・モフェットと2011年に結婚。ジョージアは5代目ドクター、ピーター・デイヴィソンの娘でもある。二人の間には4人の子どもが生まれ、ジョージアの連れ子であるタイ・テナント(『宇宙戦争』)も正式にデヴィッドの養子として迎えられている。
本国イギリスでは、TVや雑誌の人気投票で常に上位に入る人気者。2025年に英市場調査「YouGov」が行ったランキングでは、「世界で最も人気がある俳優」の26位、「世界で最も人気がある人物」の31位にランクインを果たした。
デヴィッド・テナントの魅力を一言で言うなら、その演技力と役柄の幅広さだろう。『ドクター・フー』や『グッド・オーメンズ』ではチャーミングな愛されキャラで魅了し、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』や『木曜殺人クラブ』『ジェシカ・ジョーンズ』では冷酷な悪役、『ブロードチャーチ ~殺意の町~』ではシリアスな刑事など、どんな役柄もこなす。『DES 英国史上最凶のシリアルキラー』や『リトビネンコ暗殺』といった実話ベースのドラマでは、完璧に本人に寄せてくる芸の細かさだ。また、舞台俳優としての評価も高い。ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーでは『ハムレット』『リチャード二世』をはじめ数多くのシェイクスピア劇に出演。近年では『マクベス』と『善き人』で主演を務めた。声優、ナレーターとしての仕事も多く、第77回英国アカデミー賞授賞式やBBC局の慈善番組『コミックリリーフ』では見事に司会の大役を果たした。今後もどんな活躍をしてくれるのか楽しみだ。
デヴィッド・テナントが出演した2020年代の主なドラマ
『グッド・オーメンズ』(2019年~)

英作家ニール・ゲイマンとテリー・プラチェット原作の小説をもとにしたブラックコメディ・ファンタジー『グッド・オーメンズ』。天地創造から6000年来の付き合いがある天使アジラフェルと悪魔クロウリーが手を組んで、世界の危機を阻止するために奔走する。天使と悪魔に扮するマイケル・シーン(『プロディガル・サン 殺人鬼の系譜』)とデヴィッドの掛け合いが楽しく、彼らのブロマンスぶりも話題を集めた。最終章となるシーズン3は、原作者でドラマ版にも関わっていたゲイマンに性的暴行疑惑が浮上したために保留となっていたが、およそ3年ぶりに90分の完結エピソードが5月13日に配信スタートとなる。
『グッド・オーメンズ』はAmazon Prime Videoにて配信中。
『ステージド』(2020~2022年)

『グッド・オーメンズ』で共演した親友マイケル・シーンとともに本人役で出演するコメディドラマ『ステージド』。新型コロナウイルスの影響でウエストエンドの芝居が延期になった二人がオンラインでリハーサルを行うという設定で、抱腹絶倒の掛け合いを披露。主演の二人だけでなく豪華ゲストが本人役で出演しており、コロナ禍のスターの素顔をドキュメンタリー風に捉え、ロックダウンを題材にした最高のエンタメとして大絶賛された。デヴィッドとジョージアの夫妻は英ショービズ界のおしどり夫婦として知られるが、今作ではジョージアも本人役で出演しており、一家の自宅や夫婦の仲睦まじい様子も垣間見ることができる。
『ステージド』はAmazon Prime VideoのBS10プレミアムにて配信中。
『DES 英国史上最凶のシリアルキラー』(2020年)

『DES 英国史上最凶のシリアルキラー』は、実際に起きた事件を再現する英民放ITV局の犯罪ドラマ・シリーズ。1970年代後半から1980年代初めにかけて北ロンドンでおよそ15人の若い男性が殺された猟奇殺人事件を題材に、連続殺人犯のデニス・ニルセンの犯罪と警察による捜査、法廷裁判の様子を描く。見どころは、スコットランド出身のニルセンを演じるデヴィッドの変身ぶり。冷たい目で表情を少しも変えずに、凄惨な殺害の詳細を他人事のように話す姿がゾッとするほど恐ろしく、デヴィッドの演技の幅広さが伺える。共演はダニエル・メイズ(『英国ミステリー「リンリー警部の事件簿」』)、ジェイソン・ワトキンス(『マクドナルド&ドッズ 窓際刑事ドッズの捜査手帳』)。
『DES 英国史上最凶のシリアルキラー』はU-NEXT、Huluにて配信中。
『80日間世界一周』(2021年)

ジュール・ヴェルヌの原作を映像化したアドベンチャードラマ『80日間世界一周』。ヴィクトリア時代のイギリスを舞台に、紳士社交クラブでの賭けをきっかけに80日間で世界を一周することになった資産家フィリアス・フォッグと仲間たちの冒険を追う。世間知らずで上から目線ながらも、実は秘められた情熱と悲しい過去を持ち、時にずば抜けた行動力と勇気を示すフォッグは、デヴィッドに打ってつけの役柄。お茶目でどこか憎めず、シリアスとユーモアを絶妙なバランスで演じるのは彼が一番得意とするところで、魅力が十二分に発揮された作品だ。息子タイ・テナントとの親子初共演も話題になった。
『リトビネンコ暗殺』(2022年)

『リトビネンコ暗殺』は、前述した『DES 英国史上最凶のシリアルキラー』に続き、実際に起きた事件を再現する英民放ITV局の犯罪ドラマ・シリーズ。旧ソ連国家保安委員会(KGB)の流れをくむロシア連邦保安庁(FSB)の元工作員で、反ロシア活動家のアレクサンドル・リトビネンコが、2006年にロンドンで猛毒の放射性物質を盛られて暗殺された事件とその後10年間の捜査の全貌を忠実に再現したもの。デヴィッドがロシア語訛りの英語のアクセントに挑戦し、死の床で警官に「(自分の)暗殺を指示したのはウラジーミル・プーチンだ」と訴える渾身の演技を見せている。
『Rivals(原題)』(2024年~)
英ベストセラー作家ジリー・クーパーの代表作を映像化したDisney+(ディズニープラス)のダークコメディ。1986年、コッツウォルズにある架空のラトシャー州を舞台に、独立系TV制作会社を経営するライバル同士が、地方局のフランチャイズを獲得するために闘う姿と様々なキャラクターの人間模様を描く。デヴィッドが演じるのは、自らの成功のためには手段を選ばないトニー・バディンガム卿。こういう腹黒い悪役をさらりとこなすのもデヴィッドの魅力だ。共演はエイダン・ターナー(『容疑者~ねじれた犯罪心理~』)、アレックス・ハッセル(『ダーク・マテリアルズ』)ほか。シーズン2がイギリスで今年配信予定。
『The Hack(原題)』(2025年)

『DES 英国史上最凶のシリアルキラー』『リトビネンコ暗殺』と同じく、実際に起きた事件を再現する英民放ITV局の犯罪ドラマ・シリーズ。ジャック・ソーン(『アドレセンス』)の脚本・製作総指揮で、英大衆紙の電話盗聴スキャンダルを描く。デヴィッドの役柄はフリーランスジャーナリストのニック・デイヴィス。ガーディアン紙の編集長とともに、メディア王ルパード・マードックが所有するニューズ・オブ・ザ・ワールド紙の電話ハッキングをすっぱ抜いた立役者だ。ジャーナリストの視点で事件の真相を暴いていく過程が面白い。共演はロバート・カーライル(『フル・モンティ』)、トビー・ジョーンズ(『ミスター・ベイツvsポストオフィス』)。
『木曜殺人クラブ』(2025年)

リチャード・オスマンのベストセラー小説を映像化したNetflixの犯罪コメディ映画。ケント州にある架空の高齢者施設を舞台に、未解決事件の調査を趣味とするクセ者ぞろいの老人グループが実際に起きた事件の真相解明に挑む。デヴィッドが演じるのは、施設を共同経営する野心的なビジネスマンのイアン・ヴェンサム。ヘレン・ミレン(『モブランド』)、ピアース・ブロスナン(『モブランド』)、ベン・キングズレー(『ワンダーマン』)など豪華キャストも話題になった。
『木曜殺人クラブ』はNetflixにて配信中。
『Time(原題)』シーズン3(2026年)
『ACCUSED/罪の真相』の元ネタを手掛けたジミー・マクガヴァーン企画・脚本による、刑務所を舞台にしたBBCのヒューマンドラマ。シーズンごとに舞台やキャストが代わり、シーズン1はショーン・ビーン(『World on Fire』)とスティーヴン・グレアム(『アドレセンス』)、シーズン2はジョディ・ウィッテカー(『ドクター・フー』)とベラ・ラムジー(『THE LAST OF US』)が主演し、高い評価を受けた。今年放送予定のシーズン3ではデヴィッドが看守役で主演することが発表されている。共演はシヴォーン・フィネラン(『ハッピー・バレー』)。
新作ドラマ情報
3月にイギリスで放送・配信された主な英国ドラマ5本をご紹介!
『ヤング・シャーロック ~オックスフォード事件簿~』

ガイ・リッチー監督・製作総指揮、シャーロック・ホームズの若き日を描いたアクションコメディ。19歳のシャーロックが、親友ジェームズ・モリアーティとともに殺人事件の謎に挑む。出演はヒーロー・ファインズ・ティフィン(『アンジェントルマン』)、ドーナル・フィン(『ホイール・オブ・タイム』)ほか。全8話。(Amazon Prime)
『ザ・キャプチャー 歪められた真実』シーズン3

ベン・チャナン脚本・監督・製作総指揮、監視カメラに翻弄される現代社会の恐怖を描き、高い評価を得たクライムミステリーの最新作。出演はホリデイ・グレインジャー(『私立探偵ストライク』)、パーパ・エッシードゥ(『ギャング・オブ・ロンドン』)ほか。全6話。(BBC)
『Gone(原題)』

ジョージ・ケイ(『Lupin/ルパン』)が企画・脚本を手掛ける犯罪スリラー。妻が失踪して容疑者となった私立学校の校長マイケルと、真相を追う刑事アニーを描く。出演はイヴ・マイルズ(『ハイジャック』)、デヴィッド・モリッシー(『刑事シンクレア シャーウッドの事件』)ほか。全6話。(ITV)
『The Other Bennett Sister(原題)』

ジェーン・オースティンの「高慢と偏見」の世界をもとにした、ジャニス・ハドロウ原作の同名小説を映像化。摂政時代のイギリスを舞台に、三女メアリーがロンドンで新生活を始め、自分の人生を見つけていく姿を描く。出演はエラ・ブルコレリ(『コール・ザ・ミッドワイフ ロンドン助産婦物語』)ほか。全10話。(BBC)
『A Woman of Substance(原題)』
バーバラ・テイラー・ブラッドフォードの小説「女資産家」をドラマ化。ヨークシャーの貧しい村の娘として生まれたエマ・ハートが一代で莫大な資産を築き上げていく。主演はブレンダ・ブレシン(『ヴェラ ~信念の女警部~』)。全8話。(Channel 4)
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2025年振り返り〜本当に面白かった英国ドラマ10選【英国ドラマ ビンジウォッチング】
イギリス在住ライター/英国ドラマ愛好家の名取由恵です。このコ …
(名取由恵/Yoshie Natori)





